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機能不全家族とは

更新日: 2018/07/24

一見普通にみえる家族でも機能不全家族の場合がある

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「毒親」という言葉をどこかで聞いたことはないでしょうか。
メディアやインターネット上で「毒親」と度々使われることが多くなってきた現代の日本ですが、毒親とは元々『毒になる親』というアメリカの精神医学者であるスーザン・フォワードの著書から取られています。
この『毒になる親』という本はとても有名で、読んだことのある人も多いのではないでしょうか。

「毒親」とは簡単に説明すると、子どもの人生を支配し、子どもに対して悪影響を及ぼす親のことを指します。その多くは、親自身がアルコールやギャンブルなどの依存症問題を抱えていたり、親が子どもを過度にコントロールしたり過干渉になったり、子どもの人格を認めずに自分の所有物のように扱ってしまう親なのです。
いわゆる「毒親」が存在する家庭では、家族が本来の健全な機能を果たせていません。家庭内で日常的にストレスが蔓延しており、主に親から子どもに対して、身体的虐待や精神的虐待、ネグレクト(育児放棄)が存在するなど、一人一人の人格や個性が尊重されていない家族のことを「機能不全家族」と呼びます。
逆に、健全であり家族として機能している状態は、親からの愛情が条件つきではない無性の愛があり、安心・安全であるということです。感情を押し殺すことなく、素直に気持ちを表現でき、個々のプライバシーや個性が存在し、自由な状態です。

この機能不全家族の問題は、実はそんなに珍しいものではないと感じています。実際にカウンセリングの現場でも、

「ずっと生き辛さを抱えながら生きている」

「何をしても自信が持てず、他人と比較して劣っている気持ちが拭えない」

「誰と付き合っても、その内見捨てられるような気持ちが湧いてくる」

など、実はよく話を聞いてみると機能不全家族で育ったが故に自己愛の形成がうまくいかずに、大人になってからも過度に人の期待に応えようと頑張ってしまったり、いつも自信がもてずに苦しんでしまったりという壁にぶつかっている場合も多いのが実情です。 そして一見、ごくごく普通の家庭に見えたとしても、実は機能不全家族だった、ということも大いにあります。

たとえば、
「実は家庭で子どもの人格を非難するような言葉が飛び交っている家庭」

「子どもの意見は聞かずに何でも親の言う通りに従わせる家庭」

など、家族しか知り得ない家庭内でこのような環境を築き上げていても、外面は良い親というのは多いものです。子どもは、幼少期は親に依存しないと生きていけませんが、成長とともに反抗期を経て自立していきます。しかし、いつまで経っても家族から離れることを良しとしなかったり、子どもの自立を許さなかったり(例えば反抗期を受け入れない・許さない、恋愛や結婚に反対する、子どもの就職先に過剰に口をだす等)と、個人のバウンダリー(境界線)が曖昧でプライバシーが存在しない場合は、機能不全家族だと言えるでしょう。

機能不全家族で育った子どもは、大人になってAC(アダルトチルドレン)になる傾向が強いと言われています。では、機能不全家族で育った子どもは一体どのようになるのか考えてみたいと思います。

生き辛さを日常的に感じながら生きる大人たち

AC(アダルトチルドレン)は、生き辛さを日常的に感じながら生きていると言われています。もしくは、消えてしまいたい・居なくなりたい等の強い衝動に駆り立てられることもあるようです。
機能不全家族で育った子どもは、一見大人の言うことを素直に聞く「良い子」に見えることもあります。しかし、自己愛が上手に形成されていないがために、自己否定が強かったり、何事にも傷つきやすくセンシティブだったり、他者との交流に難しさを感じます。その結果、ウツなどの精神疾患を引き起こす可能性も高まってしまうのです。

機能不全家族の中で生きていくために、自分の感情を押し殺す癖がついてしまったり、良い子を演じる癖がついてしまうので、大人になっても自分の気持ちの表現の仕方がわからなかったり、会社等でも周囲の期待に応えようと頑張りすぎて燃え尽きてしまう傾向にもあります。また、何らかの依存症(薬物、アルコール、ギャンブル、セックス等)の問題を抱えてしまうケースもあるようです。
恋愛面でも影響が出てくることもあります。自分を必要としてくれるのであれば、例え理不尽であっても相手に尽くしてばかりいる、見捨てられるのが怖くて相手の言うことを何でも受け入れてしまうなど、自尊心や自己愛が育っていないがために、他人から必要とされることを渇望する共依存症になってしまうこともあるようです。

虐待は連鎖するという言葉を聞いたことはないでしょうか。虐待と同じで、機能不全家族も世代間連鎖しやすいと言われています。子どもの人格を認めずに支配する親も、そのまた親に同じように育てられたというケースも珍しくはありません。そうならないためにも、幸せで健全な家庭を築くためにも、そして自尊心を高めて自己肯定して生きていくためにも「まずは自分の心の傷を癒すことが大切」です。
過去の出来事や心の傷は思い出したくもないと感じる人も多いかもしれませんが、蓋をしていても、やはりどこかでフラッシュバックするなど、自身の生活に影響を及ぼしてしまうものです。「私の育った家は機能不全家族でした」と認めるにも、自身のルーツを否定してしまうような苦しい気持ちを感じてしまったり、育ててくれた親に対して罪悪感を抱いてしまったりするケースもあり、なかなか問題や自分の感情と直面することが難しい場合もあって、人によっては勇気や覚悟も必要かもしれません。できれば信頼できるカウンセラーを見つけて、過去に学んだ健全ではない思い込みや生き辛さを手放していくと良いかもしれません。

カウンセラーはクライアントを否定しないので、友達や知り合いに話すよりもリスクも少なく、より自身のことについて話しやすいと思います。 また昨今では、機能不全家族について多くの書籍が発売されています。心理カウンセラーや精神科医が書いた本もあれば、最近だと作者自身の生き様が描かれたエッセイ漫画でも、機能不全家族について実体験とともに描かれています。

もし、「自分が生き辛さを抱えて生きているのは、もしかすると家庭環境に問題があったのでは?」と思う人は、まずは本や漫画を読んでみて、自分の育った環境は果たして健全なものだったのか、同じような境遇で育っている経験談はないか等を確かめてみると良いでしょう。