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公認心理師になるにはどうすればいいの?協議進行中!決まっていることと決まっていないこと。

更新日:2017/04/19

公認心理師とは

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公認心理師とは、臨床心理の分野における「日本初」の国家資格の名称であると同時に、心理職に従事する有資格者のことを指します。有資格者は、心理学に関する専門的知識と技術を有していることが証明され、「公認心理師」の名称を用いて仕事をすることが可能になります。

公認心理師は2015年9月16日に公布された「公認心理師法」に基づく国家資格であり、業務内容についてもこの法律内で定義されていますが、簡単に説明すると今まで臨床心理士、心理カウンセラーが行ってきた業務全般が範囲ということになります。

一 心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
二 心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
三 心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助
四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供
公認心理師法 第2条より

第1項から第3項までは現在の臨床心理職の役割を広く定義した内容であり、第4項の普及や教育に関しては、国家資格になる上で新たに付加された項目になります。 また、第2条では、活躍の分野を「保健医療、福祉、教育その他の分野」と表現しています。

尚、公認心理師法は、文部科学省と厚生労働省との共管であり、国家試験を含む制度全体をとりまとめるのも両省が主体となります。

公認心理師になるには

さて、公認心理師になるにはどうすればいいかという本題についてですが、2016年の時点で「決まっている部分」と「決まっていない部分」があります。この辺りを整理しながら説明していきます。まず確定している公認心理師へのステップは以下の3つです。

1、受験資格を得る

2、国家試験に合格する

3、登録する

公認心理師は、試験のある国家資格です。必ず試験に合格する必要があります。また、一定の条件を満たさない限り、受験ができません。そして試験に合格後、公認心理師登録簿への登録を受ける必要があります。試験に合格して登録が完了して初めて、登録証が交付され「公認心理師」と名乗ることが可能になります。

公認心理師試験の受験資格

法律で定められている公認心理師の受験資格は以下の3つです。いずれかに該当すれば受験資格を得ることができます。

1、大学で「必要な科目」を修めて卒業 且つ 大学院で「必要な科目」を修了
2、大学で「必要な科目」を修めて卒業 且つ 「特定の施設」で「特定の期間以上」「心理職の業務」に従事
3、上記2つと同等以上の知識及び技能があると認定される

ご覧いただいて分かる通り、とてもざっくりとしています。実際カッコ書きの部分は詳細が未定であり、まだまだこれから検討されていくということがわかると思います。

受験資格については、附帯決議にて下記の方針が決まっています。

・「必要な科目」に関して、臨床心理学をはじめとする専門的な知識・技術があると証明できるものにすること
・受験資格は「大学院課程修了者」が基本であり、それ以外はそれと同等の能力があると証明できるものにすること

これらは、法律上大卒でも資格取得できる点において、基準が甘いのではないかという懸念に対する配慮であり、決定までには相当の議論が予想されます。

現在、受験資格をはじめとする本資格のカリキュラム等については、「公認心理師カリキュラム等検討委員会」にて検討されている最中です。2017年4月13日現在、「素案」として発表されているカリキュラムの内容を一部ご紹介します。

大学必須科目

分類 科目 内容
講義科目※1 心理学基礎科目 1.公認心理師の職責
2.心理学概論
3.臨床心理学概論
4.心理学研究法(統計法を含む)
5.心理学実験
心理学発展科目 基礎心理学
6.知覚・認知心理学
7.学習・言語心理学
8.感情・人格心理学
9.神経・生理心理学
10.社会・集団・家族心理学
11.発達心理学
12.障害者(児)心理学
13.心理的アセスメント
14.心理学的支援法
実践心理学
15.健康・医療心理学
16.福祉心理学
17.教育・学校心理学
18.司法心理学(犯罪心理学を含む)
19.産業・組織心理学
心理学関連科目
20.人体の構造と機能及び疾病
21.精神疾患とその治療
22.関係行政論
実習科目※2 23.心理演習
24.心理実習(80 時間以上)
演習科目※3

大学院必須科目

分類 科目 内容
講義※1及び演習科目 心理実践科目 1.保健医療分野に関する理論と支援の展開
2.福祉分野に関する理論と支援の展開
3.教育分野に関する理論と支援の展開
4.司法分野に関する理論と支援の展開
5.産業・労働分野に関する理論と支援の展開
6.心理的アセスメントに関する理論と実践
7.心理支援に関する理論と実践
8.家族関係・集団・地域社会における心理療法等に関する理論と実践
9.心の健康教育に関する理論と実践
実習科目※2 10.心理実践実習(450 時間以上)

※1 講義科目については、大学・大学院ともに単位数は規定しない(但し、必要な科目については1科目につき2単位以上の履修を想定)。
※2 実習科目については、主要5分野「保健医療、福祉、教育、司法、産業・労働」に関する施設において、「大学は施設の見学を中心とした実習」「大学院は3分野以上の施設で実習もしくは見学」(いずれも医療機関は必須)を行う。大学・大学院ともに時間数の下限を規定する。
※3 面接および心理検査など、模擬患者を用いたロールプレイ並びに事例検討。

■主要5分野の施設とは…?

保健医療 病院、診療所、介護療養型医療施設、保健所、精神保健福祉センター、介護老人保健施設など
福祉 障害福祉サービス、児童福祉相談所、老人福祉施設、こども園、知的障碍者更生相談所など
教育 学校、教育委員会など
司法 裁判所、刑務所、少年刑務所、拘置所、更生保護施設など
産業・労働 組織内健康管理センター、地域障害者職業センター、生活支援センターなど

現在のところこのような施設が想定されているようです。

また、重要な点として、このルールはこれから大学に入学する方を想定したものです。 現在在学中、もしくは現在心理職に就いている方に対しては、特例が適用されます。

大学や大学院に在学中もしくは既に卒業された方
→「必要な科目」などのルールに沿って受験資格が得られます。

大学や大学院を卒業していないが心理職に就いている方
→「特定の施設」で5年以上「心理職の業務」に従事している方は、「講習会の過程を修了」すれば、法律施行後5年間は経過措置として受験資格が得られます。
(講習会の内容やどの施設が該当するかについては、まだ決まっていません。)

つまり、原則最低でも大卒が条件になる資格ですが、現職の方は、大卒以上でなくても条件次第で公認心理師になることができます。

この特例における「必要な科目」についても、検討会により先に挙げた大学・大学院の必須科目の中から数科目ということで選定されるようです。
また、現在すでに「心理職の業務」に従事している方の諸条件については、以下のような内容で検討されています。

1、特定の施設
先ほどご紹介した「主要5分野の施設」が現段階では想定されています。
2、講習会
30時間程度で、「公認心理師の職責に関する事項」、「公認心理師が活躍すると考えられる主な分野(保健医療、福祉、教育、司法、産業、労働分野)に関する法規や制度」、「精神医学を含む医学に関する知識」に関する内容で行われることが検討されています。

公認心理師国家試験について

国家試験は、年に1回実施することが決まっています。また、試験を実施する機関として「一般社団法人 日本心理研修センター」が指定されています。

施行された初年度は試験を行わなくてもいいと法律にありますので、おそらくは2018年に第1回公認心理師国家試験が行われると推測されます。試験内容や難易度についても現時点では未定です。情報が入り次第記載します。

試験内容に関して現時点で決まっているのは、附帯決議にある「臨床心理学を始めとする専門的な知識・技術を有した資格となるように試験の内容を適切に定める」という部分だけです。

※2017年1月の検討会にて、「全問マークシート形式(多肢択一式等)」、「150〜200 問程度でケース問題を中心とする」などが検討されています。
また、2017年4月の検討会では、「詳細な科目は定めず『公認心理師として具有すべき知識及び技能』について出題する」、また「公認心理師としての基本的姿勢を含めた能力を主題とする問題と、それ以外の問題を設ける」ということを素案の中で示しています。

公認心理師の登録について

試験に合格するだけでは公認心理師を名乗ることができません。必ず公認心理師登録簿への登録をしなければなりません。登録についても法律で定められています。

・登録すると公認心理師登録証が交付される
・登録には手数料がかかる(金額は未定)
・資格の更新は今のところない

例えば宅地建物取引士も試験に合格後登録が必要な国家資格ですが、資格を維持するために更新が必要で費用も掛かります。公認心理師は、今のところ登録後の「更新」に関するルールはありません。

ここまでで無事、公認心理師になることができます!

公認心理師の義務と名称独占

法律で規定されている公認心理師の義務は以下の4つです。

1、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。
2、業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。
3、業務を行うに当たっては、医師や教員などの関係者と密接な連携を保つと同時に、支援を要する者に主治医がある場合は、その指示を受けなければならない。
4、業務に必要な知識及び技能向上に努めなければならない。

「医者の指示を受けなければならない」という点においては、今回の法律が成立するまでに最も議論を要した部分です。

法律では「指示」を受けることが明記されているものの、その後の附帯決議により、「公認心理師の専門性や自立性を損なうことのないよう省令等を定めることにより運用基準を明らかにし、公認心理師の業務が円滑に行われるよう配慮する」とされており、運用基準についてはまだ確定していないので、実質不透明な部分になっています。

臨床心理士との違い

これまで最も格のある心理系の資格は民間資格の「臨床心理士」とされてきました。しかし、今回国家資格の「公認心理師」が誕生したことで、臨床心理士として働いている方の立場や資格そのものの存在意義はどうなってしまうのでしょうか?当然このような不安や懸念が出てくるものと思います。

公認心理師の詳細が確定していない状況なので、まだなんとも言えない部分もありますが、現状についての見解を書きたいと思います。

・現時点で業界での認知度は上
臨床心理士には、今まで培ってきたスキル養成のノウハウと共に就職実績があります。新たな資格ができることで、臨床心理士の価値が下がるということはないでしょう。むしろ創設間もない今時点では、臨床心理士の方が採用側としても信頼性が高いのではと思います。

・臨床心理士は民間資格
臨床心理士がそのまま国家資格にならなかった点は気になるところだと思います。しかし、国家資格を持っていると給与が上がったり、手当てがもらえたりする環境が整わない限り、実質的な違いはないと言えます。

・臨床心理士は大学院卒が条件
未定要素が多い部分ですが、現状では取得するまでの期間が長い点から、臨床心理士のほうが取得難易度が高いと言われています。

・活躍のフィールドは同じ
元々臨床心理士等の業務を基準に、公認心理師の業務内容が作られてもいるので、業務範囲はとても似ています。教育分野に及ぶ点も同じです。

・医者の指示について
公認心理師の議論中の課題である「医者の指示を受けなければならない」かどうかについて、臨床心理士は、指示や指導を受ける義務はありません。

以上の点から、
日本臨床心理士資格認定協会も公表した通り、臨床心理士と公認心理師はしばらくは共存共栄関係になると思います。

今後のスケジュール

現在、残りの決定事項に関しては、「公認心理師カリキュラム等検討会」にて議論が進められています。

議論中の事項一覧
・カリキュラムの詳細
・実務経験の範囲
・現任者の受験資格を得られる範囲
・国家試験の内容詳細
・講習会の内容詳細

議論の進捗はこちらで確認することができます。興味のある方はご覧いただければと思います。

そのほか、文部科学省・厚生労働省は、指定登録機関の決定をこれから進めます。

まとめ

ご覧いただいた通り、公認心理師に関する決まりごとはまだ全て確定していないことをお伝えしてきました。最後に資格に関する情報を表にまとめました。未定部分は決まり次第追記していきます。

公認心理師 資格試験データ 2016年11月時点

資格名 公認心理師
分類 国家資格(名称独占資格)
根拠法 公認心理師法
団体 文部科学省・厚生労働省(共管)
分野 保健医療、福祉、教育その他の分野
指定試験機関 一般社団法人 日本心理研修センター
試験 年1回実施
受験手数料 未定
指定登録機関 未定
登録手数料 未定
施行 2017年9月15日 予定
プロからのコメント

たまき: 心理職の国家資格が誕生したことは大変うれしく思います。ただ、現任者の立場から言うと現状何も変わらないのではとも思います。正直な話、資格を持っているからと言ってご飯が食べられるわけではありません。資格の有無よりも、カウンセリングの実績を積み、クライアントからの信頼を集めることでようやくプロの仕事ができるようになるのです。良くも悪くもそこに資格を持っているかは関係しません。

公認心理師の資格制度は、未定の部分も多いのではっきりしたことはまだわかりませんが、技能を証明できるような立派な資格になることを期待しています。ただしそれには時間が必要と思います。スタート後もおそらく5年以上の長い年月をかけて、価値のある資格になっていくと思います。

現在、カウンセラーを目指す方は、この国家資格に限らず本当に自分に適したスクール選びをしてもらえればと思います。