ダブルバインドとは

ダブルバインドとはコラム
コラム
このページの監修者
城川 光子

1985年東京生まれ。私立渋谷幕張高等学校、上智大学文学部、関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻。
公認心理師・臨床心理士・産業カウンセラー試験合格。心療内科クリニックでのカウンセリング、小学校スクールカウンセラーなどの職務経験。

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ダブルバインドとは

ダブルバインドという言葉をご存知でしょうか。ダブルバインドは私たちの日常生活の中にも多く潜んでいます。家族間や学校、会社の中でのコミュニケーションでよく発生するのがこのダブルバインドです。ダブルバインドとは「二重拘束」という意味を持ちます。二つの違う矛盾した意味のメッセージを相手に命令することで、相手を混乱させ強いストレスを与えるといったコミュニケーションのことを指します。

文学人類学や精神医学の研究者であるグレゴリー・ベイトソンが精神疾患の統合失調症の子どもを持つ過程を調査する際に発見したコミュニケーションパターンです。現在では統合失調症の発症との関連はないとされていますが、ダブルバインドが発生するコミュニケーション環境に長年身を置くことは、相当なストレスがかかると言われます。

ダブルバインドは同時に送られる2つの矛盾したメッセージに板挟みの状態ですが、どちらを選んでも相手にマイナスな結果になるものを「否定的ダブルバインド」、逆にどちらを選んでも良い結果になるものを「肯定的ダブルバインド」と呼びます。まず否定的ダブルバインドから見ていきましょう。

否定的ダブルバインドの例 〜家庭・学校・会社〜

否定的ダブルバインドは「上下関係」に多い

否定的ダブルバインドは「親子関係」「教師と生徒」「先輩と後輩」「上司と部下」などいわゆる「主従関係」「上下関係」に多く、相手は「あなたのためを思って」などと思って、自覚がない場合が多いとされています。

2人あるいはそれ以上の人間の間で生まれ、そのうち1人が「犠牲者」となります。それは単発ではなく、繰り返し経験され、そのうちにダブルバインド構造への構えが習慣として刷り込まれてしまいます。

■1次命令
「○○しろ→さもないと罰する」「○○するな→さもないと罰する」のいずれかのパターンで否定的メッセージを出す
■2次命令
最初の命令と矛盾し、両立しないメッセージを出す(ポーズ、ジェスチャー、声の調子、仕草などの非言語メッセージや、言葉に隠された含意など)
■3次命令
関係から逃げることを禁じる

ある入院中の若者と母親の例

例えばベイトソンが挙げたものではこんなものがあります。

急性期の統合失調症で入院している若者のところへ母親が見舞いに来たところ、喜んで若者は母の肩に手を回しました。その途端、母親の体がぎゅっと硬直してしまいます。そこで若者は手を引っ込めましたが、それに対して母親は「お母さんのことが嫌いなの?」と聞き返したそうです。

この例では息子は母親に対して愛情を示しましたが、母親は非言語でそれを拒否しつつも、言語的には息子を愛しており、拒否した息子を責めるようなことを言ってしまいます。

現代の多くの例でもそうですが、母親は子どもを愛するべきであり、そうでない場合は母親失格であると烙印を押されてしまうように思うため、子どもを怖がったり拒否したい気持ちを母親自身が自覚できず、表面的には良い母親として振る舞い、非言語の部分で拒否してしまうことがあるとされています。母親から「愛している」と「拒否している」との相反するメッセージを受け取った息子は混乱してしまい、どうしていいか分からなくなってしまいます。この例でも耐えきれなくなり、ほんの数分しか母親といることはできなかったそうです。

親子関係でのダブルバインド

公園で遊んでいてなかなか帰ろうとしない子供に、親が強い口調で吐き捨てるように「もう勝手にしなさい!」と言います。言語的には「自由に遊んでいい。」といいつつも、非言語では「もう遊ぶな。帰りなさい。」というメッセージを強烈に伝えています。こういった矛盾した命令を受け取った子どもは、その矛盾を指摘できず、最終的には従わざるを得なくなり、ストレスを溜め込むとされます。

他にもスーパーで「なんでも買っていいよ」と言いつつ、持ってきたお菓子に「チョコはまだ早いからダメよ」「もっとこういうやつにしたら」など言語的には『好きなものを選んでいい』と言いつつ、結局は『なんでもいいのではなくて、親が認めるものを選びなさい』という矛盾したメッセージを送ってしまい、子どもは「なんでも好きなもの買ってくれるって言ったのに」と混乱します。

大きくなれば「好きな学校を選びなさい」と言いながら、実際に選んできたら「偏差値が低すぎる」「こっちの方が部活が強いのよ」と言い、社会人になれば「いい人いないの」と言いながら、実際に連れてきたら「職業はどうなの」「年収はいくら」「お家柄は」と言い、『好きに決めていい』と言いながらも、結局は『親の期待に応えなさい』と言う矛盾したメッセージを送ってしまうこともあります。

学校でのダブルバインド

学校教育でも先生は生徒に「自由に表現しなさい」「自分の意見を言いなさい」と言う一方、実際は指導案から脱線したり時間がなくなると、先生が強引に授業をまとめにかかることもあります。「わからないことはなんでも聞きなさい」と言いながら、実際に勇気を出して聞きにいけば「こんなこともわからないのか。授業で何を聞いていたのか。」と責められることもあります。

さらに先生個人との問題だけでなく、日本の学校ではやはり空気を読み、集団の調和を重んじ、『和を乱してはいけない』『周囲と合わせなければならない』と言う暗黙の了解があるのではないでしょうか。「何か意見がある人」と言う場面で、まずは誰が出るかなと様子見になる、みんなはどうするのだろうかと沈黙が流れがちです。個性の発揮を重んじるようで、実は右にならえの現状があり、そこから外れた子には「ちょっと変わってる」と言ってしまっているようにも思います。

多様性や個人主義的価値観を表面的には追い求めながらも、実際は協調性や関係志向が強く、このような矛盾するメッセージを強く体感しすぎて、身動きが取れなくなり、それが不登校や引きこもり、対人不安の原因の一端になっているのではないかという説もあります。

会社でのダブルバインド

上司から「なんでも聞きなさい」と言われたので実際に聞きに言ったら「こんなこともわからないのか。これくらい自分で考えなさい」と言われる。そう言われたから自分で考えて作業していて、上司に聞かずにいたら後になって「なんでもっと早く聞かないんだ」と言われる。仕事でミスをして怒られている時「なんとか言ったらどうなんだ!」と言われたので話をしたら「言い訳するな!」と言われるのは仕事でのダブルバインドの典型例です。パワーハラスメント、モラルハラスメントでもよく起こりがちです。

自己否定など悪影響が

ダブルバインドの悪影響

仕事の例ではどちらの選択をとったとしても、上司の望みどおりにしても、結局は怒られてしまい、部下はだんだん疲弊していきます。何をしても否定されるので萎縮してしまい、いかに上司に怒られないかに意識が集中してしまい、仕事でのパフォーンスが急落します。真面目で周囲に気を遣う人ほどストレスを感じやすく、さらに自責の念や自己否定が強くなると最悪の場合うつ病や対人不安などを引き起こす可能性もあります。

親子関係でも学校でも会社でも長らくダブルバインドの環境下にいた人は、自分の意思で選択したものが認められないので、自信が育ちにくくなります。「自分が悪いから怒られる」「自分がダメなんだ」という自己否定の思考回路に陥りやすくなります。ダブルバインドを受ける側は常に混乱の中にいるので、自分の考えがまとまりにくく何が正しくて何が悪いのか正常な判断ができにくい状態になることもあります。さらに自分の本当の気持ちよりも、周囲が期待するものを予測して、それに応えようとしていきます。過度に他人の顔色を伺うようになって、主体性を失っていきます。

自己否定やストレスが続くと…

そうなると与えられた指示をこなすうちはいいのですが、いざ自分で考えて動かないといけなくなった時に、どうしていいか途方に暮れてしまうでしょう。例えば学校での自由な課題を目の前に真っ白になってしまう、大学に入って主体的に授業を選択する段になって何も動けない、社会人になって昇進して部下ができるとどうしていいかわからないなどが考えられます。どうせ自分はだめだ、なにをしても最後は失敗してしまうはずだと言う自己意識を持ってしまう人もいます。

このようなストレスが過度にかかり続けると、不安が高まり、幼少期ではおねしょチックなどが現れ、学童期では対人不安不登校であったり、成人期ではうつ病アダルトチルドレン依存症などの問題にもつながるのではないかと言われています。

“される側”の抜け出し方

ダブルバインドから抜け出すには?

ではダブルバインドから抜け出すにはどうしたらいいのでしょう。 もちろん関係から離れることができるのであればそれが一番手っ取り早いでしょう。ただ、親子関係や教師と生徒、上司と部下などは、嫌だからといってすぐに離れると言うわけにはいかない現実があります。

ダブルバインドから抜け出すヒント ~臨済宗の公案の例~

そこでベイトソンは臨済宗の公案の話をあげています。

禅の修行で、師が弟子の頭上に棒をかざし、厳しい口調で「この棒が現実にここにあると言うなら、これでお前を打つ。この棒が実在しないと言うなら、お前をこれで打つ。何も言わなければ、これでお前を打つ。」といいました。

ここでは「棒があるかないか」の問いにこだわってしまうと、どちらにせよ打たれてしまいます。そこで発想を変えて「棒を師から取り上げる」とベイトソンは言っています。師は棒を取り上げてはいけないとは言っていないのです。

このように、ダブルバインド文字通りに捉えてしまってはそこから抜け出せないので、全く違う視点からその関係に働きかけることが必要なのです。

ダブルバインドから抜け出すために

【①誰かに相談する】
まずはこの状況を誰かに聞いてもらいましょう。自己否定や混乱状態にある心は、放っておくと濡れた落ち葉のように暗く湿ったままですが、風が通ると乾いてふわっと浮き上がることができるでしょう。誰かに話すことでふっと気持ちが軽くなることは、自己否定のループから抜け出すために大事なことです。

客観的に状況を見てもらい、正常な判断力を取り戻していきましょう。どちらを選んでも何をしても責められる、理不尽な状況下にいることを分析でき、問題が整理されていきます。ちょうど高く飛んだ鳥のように、出来事を俯瞰してみる視点が重要です。

学生であればスクールカウンセラー、社会人であれば会社の相談窓口や外部のカウンセリング機関を利用すると良いと思います。特に親子関係など長年ダブルバインドの環境下に置かれていた場合は、自分の思考パターンや対人関係のパターンに影響を受けている場合があり、カウンセラーと一緒に振り返りながら心の中に抑圧されていた怒りや悲しみを解放し、自分の人生を取り戻していきましょう。また、社会人の場合はパワーハラスメントやモラルハラスメントの可能性もありますので、会社側に適切に対応してもらう必要性があるかもしれません。

相談するのがためらわれる場合は、言われたことや自分の気持ちをノートに書き出してもいいかもしれません。書くことで気持ちの整理が進み、言われたことを後から客観的に見てみると、新たな気づきがあるかもしれません。ただ、書き出すことで余計辛くなる場合は、一旦やめて、誰かに相談する、気分転換をするなど違う方法を試しましょう。

【②自分の気持ちを大事にする】
「できなかった自分が悪い」と言う自己否定パターンに陥りやすいダブルバインドですが、客観的に物事が見えてくると、自分は本当は傷ついていたこと、悲しかったこと、相手に怒りを覚えていることなど、自分の気持ちが浮かび上がってきます。

「自分のためを思って言ってくれている」「自分が悪い」と言い聞かせて、相手を責める気持ちに蓋をしがちですが、それらはあって当然の感情です。そういった気持ちを大事にして、信頼できる友人やカウンセラーに話す、そんな自分をいたわり、自分を褒め、自分の好きなことに没頭する、自分にとって気持ちの落ち着くところに出かける、そうして自分の気持ちを回復させていきましょう。

【③相手を冷静に観察する】
客観的に状況を見ることができ、自分の気持ちも整理されてくると、相手の行動を冷静に観察できるようになってきます。ダブルバインドを起こす人の言動や行動の矛盾が見えてくるはずです。

親であれば、親自身が指示に従う生き方しかできていないため、子どもの自由な選択を許容できていなかった、自分ができなかったことを子供に達成させようとした、先生や上司であれば、相手を支配するパターンで権威を示し自分の弱さを隠したかった、自分のことで精一杯で周りが見えていなかったなど、精神的に未熟な点があることが多いものです。そう言った背景が見えてくると、精神的に余裕を持って相手に接することができるかもしれません。

“する側”の改善策

強い立場にいることの自覚を

親子であれば親、学校であれば教師、会社であれば上司である方がこのコラムを読んでいる場合もあると思います。まず、子どもや生徒、部下に対して上の立場、パワーを持つ立場であることを自覚しましょう。力のバランスは対等ではなく、基本的には優位な立場にあるため、感情のままに任せるとダブルバインドを生み出しやすいのです。子ども・生徒・部下に対して1人の人間として尊重する気持ちを忘れず、本人の力が発揮しやすい環境作りを目指せるといいですね。

またダブルバインドについての自覚も必要です。知らず知らずのうちにダブルバインドを重ねているのと、「あ、今のはダブルバインドだったな」と気づいて止めることができるのでは、長期的に見ると相手に対する影響力が変わってきます。

親子関係での改善策

例えば親子の例で言えば「どれでも好きなお菓子選んできていいよ」ではなく「この3つのお菓子だったらどれにしようか」とする、「テレビ見ていいよ」のではなく「一つアニメを見ていいよ」と具体的にする方法があるでしょう。してほしいことは率直に「○○してほしい」「○○してはいけない」とシンプルな伝え方をするのも大事です。

もし「何にでも好きなもの選んでいいよ」と言ってしまって、親の気にいらないものを持ってきた場合は、一旦「そっか、これがほしいんだね」と気持ちを受け止めてあげた上で「ただママは○○だと思うから別のやつがいいと思うんだ」と自分の意見を伝える形でコミュニケーションを取るといいと思います。そうして言葉と実際の対応の矛盾をなくしていく努力が、率直で風通しのよいコミュニケーションにつながるでしょう。

何より自分自身のマイナスな感情に自覚的になることが根本的な解決につながるのではないでしょうか。

例えばなかなか家に帰ろうとしない子どもに対してイライラする背景に、「子どもは親の言うことを聞くべきだ」と言う強い思い込みがあり、自分自身がそうやって親に従って生きてきた背景がある場合があるかもしれません。そうなると従わない子供に対して、自分自身がバカにされたような、無視されたように感じ、憤怒とも言えるような、コントロールの効かない強い怒りとともに「もう勝手にしなさい」と怒鳴ってしまうことがあります。そこを自覚し、思い込みを書き換えて、「子どもは親の言うことを聞くに越したことはないが、聞けない時もある」「子どもは想定外の行動をするものだ」「親をバカにしたり無視しているのではなく、ただ楽しいことに夢中なだけだ」など柔軟な考え方を身につけておくと、少し余裕が生まれるかもしれません。子どもは楽しいことがなくなるのが嫌なので「お家で○○して遊ぼっか」「何時からの○○のアニメ、今帰ったら見れるよ」など次の楽しさを伝えるのもいいですね。

それでも言うことを聞いてくれなくてイライラしてきたら「3回言っても聞いてくれないから、私はだんだんイライラしてきたよ」と自分の気持ちを実況中継のように率直に伝えるのも手かもしれません。少なくとも怒鳴り散らしてしまうのを防ぐのもお互いのために大事なことです。

教師・上司の立場での改善策

教師や上司であっても、ダブルバインドを使ってしまう場合は相手に対して支配的になってしまう背景がどこかあるはずです。「自分は完璧な先生・上司なので、弱みを見せてはいけない」「できないことがバレてはいけない」など「できる自分のイメージ」を守るために弱者を作り上げる、自分より下の者がいることを確認して安心する、などが考えられるかもしれません。そういった自分を受け入れることは勇気がいることではありますが、謙虚に等身大の自分を認めることは、自分のさらなる成長でもあり、相手との建設的で発展的な関係を築いていく一助になるのではないかと思います。

肯定的ダブルバインド

ここまではどちらを選んでもマイナスな結果になる否定的ダブルバインドの話をしてきましたが、ここからどちらを選んでもプラスな結果になる肯定的ダブルバインドの話に移りましょう。

ある統合失調症の少女の例

ベイトソンがあげた例ですが、ある精神科医のところに16歳の統合失調症の女の子がやってきて、9年間いろんな神様の指令(妄想)を受けて生活しており、そして「神様から医者にいくのはだめだと言われている」と言いました。医師は「9年間その神様と暮らして結局あなたは助けてもらっていない。その神様のところに行って、医者と話す許可をもらってきてくれますか。」と伝えました。

もし神様のところに行かなければ、そんな神様は存在しないことになり、自分の世界を否定することになる、もし行って許可をもらったら、医師は神様より強い存在であることを神様に認めさせることになる、もし許可を出さなかったら、神様は彼女を治せず苦しめる存在でしかなくなり面目を潰してしまう…結局は医師と話をすることになり、治療への一歩を踏み出すことになりました。

セールスでの肯定的ダブルバインド

セールスの世界では肯定的ダブルバインドはよく使われています。何かをやってほしいとき、それをやるかやらないかではなく、やることを前提とした選択肢を用意して、質問するというやり方です。選択肢が提示されますが、どれを選んでも結局は同じ結果に誘導されることになります。

例えば車を買うか迷っている客に「ボディの色は白がお好みですか。それとも赤がお好みですか」と話を進めていくようなことです。車を買うことを前提として、その先の選択肢に客の関心を向けてしまう。そうすることで買うか買わないかで迷っていたところから注意がそらされ、いつの間にか買うことになっているというものです。

ハンバーガーショップでも「ポテトをお付けしますか」よりも「ポテトはS、M、Lのどれにしますか」と聞いた方が売り上げが伸びるそうです。

恋愛での肯定的ダブルバインド

恋愛でもデートに誘う時に「またどこか出かけませんか」よりも「フレンチと和食どっちがいいですか」とか「水族館と買い物どっちに行きましょうか」と言った方がスムーズに次のデートにつながりやすいとされています。

子育てでの肯定的ダブルバインド

子育てでいうと「勉強しなさい」と言うと、強要されたと感じて、抵抗しようとしてしまいます。そうではなく「国語と算数、どっちからやる?」「おやつの前にやる?おやつの後にやる?」などというと、どちらを選んでも結局はやることになります。

肯定的ダブルバインドのまとめ

人の心は直接何をやるように言われると、命令されたように感じて抵抗してしまいますが、それを前提に話をされると抵抗が生じにくいのです。あまりやると相手をコントロールすることにつながりかねませんが、適切に使って、無駄な衝突を避けながらスムーズなコミュニケーションを実現するのはいいかもしれません。

まとめ

家庭でも学校でも会社でも、私たちの身の回りでよく見られるダブルバインド。特に否定的ダブルバインドに長期的に影響されてきた場合は、自己イメージ自体が悪くなり、繰り返し同じような人間関係に悩まされることもあるようですので、誰かに相談するなどして楽になっていってほしいと思います。

今まさにダブルバインド的な上司などの人間関係に悩まされている方は、1人で抱え込まず、まずは誰かに相談しましょう。否定的ダブルバインドは真っ向から戦っても、もともとのパワーバランスもあるので、なかなか解決しづらいものです。第三者の力を借りて、自分を守りながら、状況が良い方向に進むといいなと思います。

ご自身がダブルバインドを使ってしまっていた場合は、ぜひ自覚をするところから始め率直なコミュニケーションを心がけるといいのかなと思います。

セールスなどで肯定的ダブルバインドを使われた場合は、うまく見抜いて、実際の自分の判断に立ち返り、自分の意見を大切にされるといいと思います。

ダブルバインドは個人のコミュニケーションだけでなく、世界全般にも存在すると言われています。学校が「自己主張しろ」と「周りに合わせろ」と言う矛盾するメッセージを発していることを前述しましたが、「社会的不平等を解決するには経済成長が必要」「経済成長は富裕層をより豊かに、貧困層をより貧しくする」という社会的ダブルバインド、「美しい自然環境を守りたい」「経済成長を促し、生活水準を維持するために自然環境を破壊する」と言うグローバルダブルバインドがあるとされています。

2020年春に起こったコロナ禍では「不要不急の外出はしないように」と言われながら、「買いだめはしないように」と言われました。買い物の回数は少なくしなきゃいけないのに買いだめはしちゃいけないとはどう言うことなのか、困ってしまいました。結局消費できる範囲で普段より多めに買っていましたが、なんとなくこれでいいのかわからず、あまり他の人にはたくさん買ったなどとは言いにくかった記憶があります。

ダブルバインドによって混乱が生じ、ストレスとなります。個人同士でも社会の問題であっても、まずはダブルバインドに“気づく”ことです。そしてそれはストレスがかかって当然の状況ですので、混乱する自分をいたわりましょう誰かに話して客観的な視点を忘れないようにすることも大事ですね。

ダブルバインドの存在を完全に無くすことは難しいかもしれませんが、される側としてもする側としても、上手に見抜いて、うまく付き合っていきたいものです。

■参考文献■
・岡田尊司(2012)『マインド・コントロール』文藝春秋
・グレゴリー・ベイトソン(2006)『改訂版 精神と自然 生きた世界の認識論』佐藤良明訳、新思索社
・施光恒(2018)『本当に日本人は流されやすいのか』KADOKAWA
・高山恵子(2014)『ママも子どもも悪くない!しからずにすむ子育てのヒント』学研教育出版
・立石美津子,“ダブルバインド”子育てをやめよう“PHPのびのび子育て 2019年10月号
・野村直樹(2008)『やさしいベイトソン コミュニケーション理論を学ぼう』金剛出版
・平田オリザ(2012)『わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か』講談社

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