心理相談員になるには

心理相談員になるには?心理相談員
心理相談員

心理相談員とは

心理相談員とは、厚生労働省所轄「特別民間法人中央労働災害防止協会(以下、中災防)」が行っている養成研修により得られる「資格」というよりは「称号」です。試験はなく、要件を満たした上で中災防が開催する養成研修を受講することで心理相談員となります。

事業場において発生する労働者の高齢化による過失事故、職場の環境変化や長時間労働による心身の不調など、労働者の健康が損なわれつつある事態を懸念して、厚生労働省では「事業場における労働者の健康維持促進のための指針」を示した上で、「心と体の健康づくり運動=THP(トータル・ヘルス・プロモーション・プラン)」を推進しています。このプランを推進するための人材、すなわちTHPスタッフの一端を担うのが心理相談員です。

問診や診察を行う産業医、食生活の指導を行う産業栄養指導者など、全6種において養成研修が行われ、それぞれの称号を得て、THPスタッフとして労働者の健康維持のために努めています。

THPにおける心理相談員の役目は主に以下の4点で、企業におけるメンタルヘルスケアの担い手として活躍が期待されています。

  1. メンタルヘルスケアの実施
  2. ストレスに対する気づきの援助
  3. リラクゼーションの指導
  4. 良好な職場環境の雰囲気づくり(相談しやすい環境など)

主に事業場において労働者の健康管理を行う産業医の指導のもと、上記について支援することを念頭に、カウンセリングや心理療法などを行っていきます。

心理相談員になるには

心理相談員になるためのステップは下記のとおりです。

要件を満たす(※後述)

申込手続き(書類をFAXまたは郵送で送る)

養成研修を受講(3日間)

登録をする(3年ごとに更新が必要)

このステップをクリアすることで「心とからだの健康づくり指導者(THP指導者)名簿」に登録され、「THPスタッフ・心理相談員」の登録証および登録カードが発行されます。

心理相談員の要件

心理相談員の要件は以下の通り定められています。

  • 大学において心理系(認定心理士取得レベル)、社会福祉系、保険系の正規の学科を修めて卒業した者
  • 運動指導専門研修またはヘルスケア・トレーナー養成研修を修了した者(THP養成研修)
  • 保健師の有資格者
  • 看護師または助産師の有資格者で、健康に関する面接または相談の経験を1年以上有する者
  • 衛生管理者の有資格者で、健康に関する面接または相談の経験を3年以上有する者
  • 労働衛生コンサルタント(保健衛生)の有資格者で、健康に関する面接または相談の経験を2年以上有する者
  • 精神保健福祉士、臨床心理士、認定心理士、産業カウンセラー、社会福祉士の有資格者
  • 「事業場内メンタルヘルス推進担当者養成研修」及び「管理監督者・職場リーダーのためのラインケアセミナー」修了後、健康に関する面接又は相談の経験を3年以上有している者(いずれも中災防実施)

心理相談員の要件を満たすのが難しい方は

心理相談員の要件は特定の資格や実務経験などを必要とするものが多く、要件を満たせないという方も多いかと思います。

メンタルヘルス関連では心理指導員以外にもメンタルヘルス・マネジメント検定試験メンタルケア心理士(Rメンタルヘルスカウンセラーなどさまざまな資格があります。

初心者から資格取得を目指せる講座も開講されているので興味のある方は検討してみるといいでしょう。

心理相談員の養成研修について

中災防による「心理相談員養成研修(心理相談専門研修)」は、年に15回ほど日本各地で開催されています。

心理相談員養成研修
・研修開催地 東京・名古屋・大阪・広島・福岡(日程により開催地が異なる)
・研修期間  3日間
・定員    60~100名(開催地により異なる)
・参加費   48,400円(協会賛助会員43,560円)※テキスト代込み

詳しくは「特別民間法人中央労働災害防止協会・研修会案内」にてご確認ください。

心理相談員の活躍の場

心理相談員についてご紹介してきました。

心理相談員を目指す方は、心理相談員の称号を得てそれを強みに新たなフィールドで活躍するというより、現在の仕事に役立てるために取得する人が多いようです。

例えば、企業の総務・人事・労務などの担当者が心理指導員を取得し、社員の健康維持に生かすというケースや、産業医が健康診断結果をもとに心理相談やカウンセリングを行うなどのケースがあります。

また、産業カウンセラーを取得している方が、プラスアルファとして 心理相談員を取得するケースも多いようです。

まとめ

厚生労働省の「心と体の健康づくり運動(トータル・ヘルス・プロモーション・プラン)」を構成するひとつ「メンタルヘルス」について、中災防が256の事業場に行ったアンケート調査によると、ほぼ全事業場で「メンタルヘルスについて関心がある(すでに取り組んでいる)」と回答しています。

この背景には、メンタル不調者の増加があり、各企業やそれぞれの職場において対策が急務となっていることを表しています。しかしながら、「メンタルヘルスに対する社員の関心が低い」「やり方がわからない」といった問題もあり、メンタルヘルス対策に苦悩している現場が多いのも事実です。

そのような現状の中、メンタル不調者を助け、よりよい職場環境を実現するために、心理相談員に期待の目が向けられているのです。

また、前述したとおり心理指導員以外にもメンタルヘルス対策に関するさまざまな資格があります。仕事と両立して資格取得を目指せる講座もありますので合わせて検討してみてください。

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