精神保健福祉士とは
精神障がいの方をサポートするソーシャルワーカーの国家資格!
精神保健福祉士(PSW:Psychiatric Social Worker)とは、1997年に誕生した精神保健福祉領域のソーシャルワーカーの国家資格です。精神障がい者の抱える生活問題や社会問題の解決のための援助や、社会参加に向けての支援活動を行い、その人らしいライフスタイルの獲得をサポートします。
元々は精神科ソーシャルワーカーという名称で、1950年代より精神科医療機関を中心に医療チームの一員として導入されました。
社会福祉士と名前が似ていますが、社会福祉士は対象が高齢者・障害者・児童と幅広いのに対して、精神保健福祉士は精神障がいの方のサポートを専門にしているという違いがあります。
ここでは、精神保健福祉士になるための方法や活躍の場、やりがい・将来性などを紹介していきます。これから精神保健福祉士の資格を目指そうとお考えの方は参考にしてみてください。
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精神保健福祉士になるには
受験資格を満たしてから国家試験に合格すること!
精神保健福祉士になるまでには、以下の3ステップをクリアする必要があります
1、受験資格を得る
↓
2、試験に合格する
↓
3、資格登録をする
受験資格を得るためのルート、試験概要など、以下で詳しく見ていきます
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精神保健福祉士の受験資格は?
福祉系大学で指定科目を履修!一般の大学・短大卒の方向けのルートも!
精神保健福祉士の受験資格を得る方法としては、福祉系大学等で指定科目を履修する、基礎科目を履修した上で養成施設や相談援助実務の条件を満たす、などの道があります。
一般の大学・短大卒の方や高卒の方でも条件を満たせば受験資格を得ることが可能です。
以下に精神保健福祉士の受験資格ルートご紹介します。
1. 福祉系大学・短大で指定科目を履修するルート
・福祉系大学等(4年)で指定科目を履修
・福祉系短大等(3年)で指定科目を履修 + 相談援助実務(1年)※
・福祉系短大等(2年)で指定科目を履修 + 相談援助実務(2年)※
2. 福祉系大学・短大で基礎科目を履修するルート
・福祉系大学等(4年)で基礎科目を履修 + 短期養成施設等(6ヶ月以上)※
・福祉系短大等(3年)で基礎科目を履修 + 相談援助実務(1年) + 短期養成施設等(6ヶ月以上)※
・福祉系短大等(2年)で基礎科目を履修 + 相談援助実務(2年) + 短期養成施設等(6ヶ月以上)※
3. 社会福祉士 資格取得者(登録者)
・短期養成施設等(6ヶ月以上)※
4. 一般の大学・短大卒業ルート
・一般大学等(4年) + 一般養成施設等(1年以上)※
・一般短大等(3年) + 相談援助実務(1年) + 一般養成施設等(1年以上)※
・一般短大等(2年) + 相談援助実務(2年) + 一般養成施設等(1年以上)※
・相談援助実務(4年) + 一般養成施設等(1年以上)※
※相談援助実務に該当する業務
・精神障害者の相談
・精神障害者に対する助言、指導
・精神障害者に対する日常生活への適応のための必要な訓練
・精神障害者に対するその他の援助
・援助を行なうための関係者との連絡、調整等
※短期養成施設・一般養成施設とは
福祉系大学・短大等で指定科目を履修していない方向けの養成課程を実施している施設を指します(主に専門学校、大学など)。受講期間は、短期養成施設で6ヶ月~1年程度、一般養成施設で1~2年程度となっています。
詳細については公益社団法人 社会福祉士振興・試験センターのホームページにてご確認ください。
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精神保健福祉士の試験日程・試験内容は?
試験は例年1月下旬~2月上旬に実施!
精神保健福祉士の試験は、例年1月下旬~2月上旬に実施されています。出題範囲は精神保健・福祉や障害者関連の領域の17科目。計163問が出題されています。
2022年の試験概要や過去の試験データをまとめましたので参考にしてください。
試験概要
項目 | 内容 |
---|---|
試験日程 | 2024年2月3日(土)13:30~15:50 2024年2月4日(日)10:00~12:15 |
出題範囲 | 以下の17科目から出題 ・精神疾患とその治療 ・精神保健の課題と支援 ・精神保健福祉相談援助の基盤 ・精神保健福祉の理論と相談援助の展開 ・精神保健福祉に関する制度とサービス ・精神障害者の生活支援システム ・人体の構造と機能及び疾病 ・心理学理論と心理的支援 ・社会理論と社会システム ・現代社会と福祉 ・地域福祉の理論と方法 ・福祉行財政と福祉計画 ・社会保障 ・障害者に対する支援と障害者自立支援制度 ・低所得者に対する支援と生活保護制度 ・保健医療サービス ・権利擁護と成年後見制度 |
試験場所(都道府県) | 北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県 |
合格発表 | 2024年3月5日(火)HP掲載 2024年3月8日(金)結果通知発送 |
受験申し込み期日 | 2023年9月7日(木)~10月6日(金)[消印有効] |
受験料 | 精神保健福祉士のみ受験: 17,610円 精神保健福祉士と社会福祉士を同時に受験: 28,140円 ※内訳:精神14,160円、社会13,980円 精神保健福祉士の共通科目免除により受験: 14,080円 |
合格基準 | 以下の2つの条件を満たすことで合格となります。 ・問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点がある ・受験した各科目群すべてにおいて得点がある |
■参考:公益社団法人 社会福祉士振興・試験センター「精神保健福祉士国家試験」
試験データ(受験者数・合格者数・合格率)
試験実施日 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年2月4日(土)・5日(日) | 7,024人 | 4,996人 | 71.1% |
2022年2月5日(土)・6日(日) | 6,502人 | 4,267人 | 65.6% |
2021年2月6日(土)・7日(日) | 6,165人 | 3,955人 | 64.2% |
2020年2月1日(土)・2日(日) | 6,633人 | 4,119人 | 62.1% |
2019年2月2日(土)・3日(日) | 6,779人 | 4,251人 | 62.7% |
2018年2月3日(土)・4日(日) | 6,992人 | 4,399人 | 62.9% |
2017年1月28日(土)・29日(日) | 7,174人 | 4,446人 | 62.0% |
2016年1月23日(土)・24日(日) | 7,173人 | 4,417人 | 61.6% |
■参考:厚生労働省「第25回精神保健福祉士国家試験の合格発表」
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精神保健福祉士の仕事内容・活躍の場は?
精神的な障害を抱えた方の日常生活・社会復帰をサポート!
精神保健福祉士は、障がいのある人が安心して暮らせるように、精神障がい者の社会復帰のための助言や、日常生活を支障なく営むためのサポートをします。
以下で、活躍する現場別に精神保健福祉士の仕事をご紹介します。
ー精神保健福祉士の仕事内容ー
■ 病院・クリニックでの仕事
病院・クリニックでの仕事としては、入院から退院までの相談対応や、退院後の日常生活を送るための支援、家族や関係機関との連絡・調整などがあります。デイケアやカウンセリングを担当することもあります。医療機関においては、他職種との連携を保つことが義務付けられており、主治医がいればその指導を受けることになっています。
■ 地域の生活支援センターでの仕事
地域の生活支援センターでは、施設や病院に長期入所していた方が地域での生活に移行できるよう、住居の確保や外出時の同行、生活訓練、相談支援、就労支援、各種支援制度・サービスの紹介や利用調整などの支援を行ないます(地域移行支援)。一人暮らしや障がい者のみの世帯の方には、夜間を含む緊急時における連絡や相談のサポートも行ないます(地域定着支援)。
■ 精神保健福祉センター・保健所での仕事
精神保健福祉センターや保健所などでは、精神障がい者やその家族、雇い主に対しての相談業務や、地域住民や職員を対象とした講演会やイベント、研修などのメンタルヘルス啓発活動に携わります。
■ 学校現場での仕事
全国の小・中・高校や教育委員会、教育事務所など教育分野でも精神保健福祉士が活躍しています。学校現場ではスクールソーシャルワーカーの活用が始まっており、スクールソーシャルワーカーの多くは社会福祉士あるいは精神保健福祉士の資格取得者です。
スクールカウンセラーは個人の心理的サポートを行なうのがメインなのに対し、スクールソーシャルワーカーは環境面からサポートをするという違いがあります。子どもたちの問題行動の背景には、家庭、友人、地域、学校など本人が置かれている環境の問題がありますので、必要に応じて家庭環境や関係機関、ボランティア団体、地域協議会や市町村の福祉相談体制に働きかけていきます。
■ 産業領域での仕事
精神保健福祉士の産業領域での仕事としては、ハローワークでの相談業務や、就労移行支援施設でのジョブトレーニングなどが代表的です。また、2015年より一定規模以上の事業所にストレスチェックが義務化されており、精神保健福祉士も研修を受けることでこのストレスチェックの実施者になることができます。
そのほかEAP(従業員支援プログラム)企業でのカウンセラー業務などもあります。契約企業の従業員からの電話・メール・対面相談に応じたり、休職・復職のサポート、研修の提供をします。契約企業のメンタルヘルス対策における人事・管理職に対するコンサルティングや組織分析を行うこともあります。
EAP企業ではその性質上、採用時に民間企業での勤務経験を求められることがあり、一般企業での仕事に従事しながら夜間や通信で精神保健福祉士を取得し、EAPカウンセラーとして勤務している方もいます。
■ 公務員になる道も
精神保健福祉士としての実務経験があれば35~40歳くらいまで公務員の募集がある地域もあるようです。狭き門ではありますが、普通の公務員試験よりはハードルが低いので、安定した収入を望まれていて、年齢的に可能であれば、おすすめします。
精神保健福祉士は福祉の専門家のため行政と馴染みが良く、そして相談者の心の深く入り込むというよりは、人と環境の間にある問題を、環境を動かすことによってダイナミックに変化させていく仕事です。活躍の場も多岐に渡っており、精神保健福祉士は地域社会全体の健全化を目指す大きな役割を持っています。
以下で、主な活躍の場をまとめてみました。
領域 | 勤務先例 |
---|---|
医療機関 | 精神科病院・クリニック・総合病院精神科 |
生活支援サービス | 相談支援事業、地域活動支援センター、グループホーム・ケアホーム、就労移行支援事業、就労継続支援事業、自立訓練事業、救護施設、児童養護施設等 |
行政機関 | 自治体・保健所、福祉事務所、精神保健福祉センター |
司法施設 | 保護観察所等、矯正施設 |
その他 | 社会福祉協議会、ハローワーク、介護保険関連施設、教育機関、企業など |
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精神保健福祉士のやりがい・将来性は?
専門的なサポートで、一緒に社会復帰を目指す楽しさ!
精神障がいを抱える方やそのご家族から悩みを聞き、問題を整理し、解決への手助けができます。この先どうしてよいかわからない…という不安に対し、気持ちを支えながら、活用できる制度の紹介や手続きの援助、関係機関との連携など、具体的な見通しを示すことができ、ご本人やご家族の大きな支えになることができるでしょう。社会復帰に向けてどうすればいいか、共に考えながら解決していく楽しさは魅力の一つかもしれません。
また、状態が安定して社会生活に戻ることができたり、ご本人に合った就職ができたりと、節目と言えるような何か一歩を踏み出されていくときにも、大きなやりがいを感じられるのではないでしょうか。
精神保健福祉士の年収・給与
年収は300~400万円未満という方が最も多く、ついで200~300万円未満と続きます。精神科の専門病院では430万、心療内科のクリニックでは380万、精神保健福祉センターでは420万、障害福祉サービス事業所では390万円ほどとなっているようです。非常勤での募集も多く、時給1000円前後のものも多いですが、例えばスクールソーシャルワーカーでは時給3000円ほどのところが多いなど、勤務先によってばらつきがあるようです。
医療機関に限らず、教育現場や企業からも注目!
ストレス社会となっている現代において、医療機関に限らず教育現場や企業などでも精神保健福祉士への期待は高まってきています。また、厚生労働省をはじめとした行政機関も精神障害のある方が社会復帰して生き生きと仕事ができるよう、積極的な支援を行なっています。精神保健福祉士は、幅広い領域からも注目されている将来性ある資格といえるでしょう。
4年制大学卒業であれば学部を問わず、一般養成施設等で1~2年(※昼間・夜間・通信で期間は異なる)の課程を修了すれば受験資格が得られるため、社会人や主婦からの転身も多い資格です。人の役に立ちたい、相談に乗りたい、コーディネート役が得意、自分のライフワークにしたい方などにおすすめの資格です。
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社会人から最短で精神保健福祉士を目指すなら
通信制大学での履修がおすすめ!
社会人から精神保健福祉士の資格取得をするには、養成施設へ通わなければなりません。養成施設の中には通信制大学もあり、通学で学ぶよりも短期間で精神保健福祉士を目指すことが可能です。
精神保健福祉士の資格取得に対応した学校(養成施設)は複数あります。資格取得までにかかる費用や学習スケジュールはもちろん、スクーリング、国家試験の対策やサポートなど、細かな点まで比較検討されることをおすすめします。資料請求してパンフレットでも確認してみてください。無理なく勉強できる自分に合った学校選びをしたいですね。