臨床発達心理士とは?

臨床発達心理士になるには臨床発達心理士
臨床発達心理士

発達心理学を基盤とした専門性の高い民間資格!

臨床発達心理士とは、一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構が認定する民間資格のことを言います。臨床発達心理士の特徴は、発達心理学をベースにしている点だと言えるでしょう。資格取得後は、人の発達や成長に寄り添いながら、必要とされる心理援助を行います。「発達」という言葉のイメージから、対象者は子どもだと思われる方もいるかもしれませんが、子どもから大人まで幅広い方が対象となっています。心理系資格の中でも専門性の高い資格です。
以下、詳しく臨床発達心理士について見ていきましょう!

臨床発達心理士の受験資格は?

5つのタイプのうち1つを満たせばOK!

臨床発達心理士の試験を受けるためには、まず受験資格を満たす必要があります。 受験資格の申請タイプは、下記の5つに分かれています。

タイプⅠ(院修了タイプ)
発達心理学隣接諸科学の大学院修士課程の学生、または修了後3年未満
タイプⅡ-1(現職者院修了タイプ)
臨床経験が3年以上あり、かつ、発達心理学隣接諸科学の大学院を修了している
タイプⅡ-2(現職者学部卒タイプ)
臨床経験が3年以上あり、かつ、発達心理学隣接諸科学の学部(4年制)を卒業している
タイプⅢ(研究者タイプ)
大学や研究機関で研究職をしている
タイプⅣ(心理師タイプ)
『公認心理師』の資格を取得している
注)別途「臨床発達専門講習会」を受講する必要あり

よって、これから臨床発達心理士の資格取得を目指すという方は、発達心理学隣接諸科学の大学院を修了する必要があります。
なお、発達心理学隣接諸科学の範囲は、

発達心理学、心理学、教育学、障害児教育学、幼児教育学、保育学、児童学、福祉学、社会福祉学、小児科学、老年学、医学、リハビリテーション学、看護学、発達障害学、保健体育学、体育心理学、スポーツ健康科学、人間学、応用人間科学、(心理学的)コミュニケーション学、人間社会学、社会学

にあたります。
上記の名がつく学部、学科名はもちろん、専攻内容が上記に当てはまっていれば、資格要件として認められます。
その他にも以下が、発達心理学隣接諸科学の範囲として認められています。

【発達心理学隣接諸科学大学院修了と認められる場合】
a.「教育職員免許状専修」を所持している
b.医学部・薬学部・歯学部などの6年制の大学学部を卒業している
※a,bのうちいずれかを満たした場合
発達心理学隣接諸科学学部(4年制)卒業と認められる場合】
a.教育職員免許状1種(1級)を所持している
b.日本心理学会が認定する「日本心理学会認定心理士」を取得している
※a,bのうちいずれかを満たした場合

資格申請の方法

資格申請をする際には、これらを証明できる認定証や免許状のコピーの提出が必要になります。
ただし、次の場合は専攻内容が発達心理学隣接諸科学に該当していても、学部卒業(4年制)とは認められていませんので注意しましょう。

  • 3年制の短期大学を卒業し、1年制の専門学校を卒業した
  • 2年制の専門学校を卒業し、2年制の短期大学を卒業した
  • 3年制の専門学校や短期大学を卒業後、大学で科目等履修により一定の単位を取得した

※実際の申請にあたってはタイプごとにいくつかの条件を満たさなくてはなりません。詳細は臨床発達心理士申請ガイド(新制度用)をご覧下さい。

上記の申請タイプは、2017年度からの新制度になります。国家資格である「公認心理師」が生まれたことにより、公認心理師の資格取得者も申請できるようになりました。また、2019年度までは、旧制度による資格申請を認める移行措置も行われています。

この移行措置は、発達心理学隣接諸科学大学院在学中の方・大学院修了後臨床経験3年未満の方を対象としたものと現職者を対象としたものに分かれています。詳細は、臨床発達心理士公式HPをご覧ください。

臨床発達心理士の受験資格が満たせる大学院は?

発達心理学隣接諸科学の範囲に当てはまればどこでもOK!

これから臨床発達心理士を目指すという方は、おそらくほとんどの方が上記のタイプⅠである発達心理学隣接諸科学の大学院に入学することになると思います。では、発達心理学隣接諸科学の大学院とは具体的にどの大学院を指すのでしょうか。
ここでは、いくつかの当てはまる大学院をご紹介します。

▽発達心理学隣接諸科学の大学院(一例)
大学院名
白百合女子大学大学院 文学研究科
武蔵野大学大学院 人間社会研究科
中京大学大学院 心理学研究科
追手門学院大学大学院 心理学研究科
北星学園大学大学院 社会福祉学研究科
明星大学大学院 教育学研究科
久留米大学大学院 心理学研究科
立命館大学大学院 人間科学研究科

※上記はあくまでも一例です。実際に大学院を決める際には、専攻が発達心理学隣接諸科学の範囲に当てはまるところ(発達心理学隣接諸科学の範囲については、1つ前の項目で説明しています)を探し、直接大学院に問い合わせることをおすすめします。

通信制の大学院でも臨床発達心理士の資格取得を目指せる?

指定科目を満たせる大学院で、通信課程に対応していれば可能!?

それでは、通信制の大学院でも臨床発達心理士を目指せるのでしょうか。
臨床発達心理士の申請ガイドによると通信制については特に触れていなません。しかしながら、発達心理学隣接諸科学の範囲に学部、学科名、または、専攻内容が当てはまっていれば、通信制の大学院でも受験資格を満たすことはできるのではないかと思います。そこから臨床発達心理士を目指すこともできるでしょう。
以下、発達心理学隣接諸科学の範囲に当てはまりそうな通信制の大学院をいくつかご紹介します。
東北福祉大学 通信制大学院 総合福祉学研究科
東京福祉大学大学院 通信教育課程 心理学研究科 社会福祉学研究科
明星大学通信制大学院 教育学研究科
日本福祉大学大学院 社会福祉学研究科
聖徳大学大学院 児童学研究科
※実際に大学院を決める際には、専攻が発達心理学隣接諸科学の範囲に当てはまる大学院に直接問い合わせてください。

臨床発達心理士の申し込み手続きは?

申請ガイドを購入後、書類を提出する!

臨床発達心理士の資格申請、また試験は原則年1回行われています。

1、申請書類を購入する

2、申請手続きをする

2019年度のスケジュールを参考にしながら具体的にご紹介していきます。
1、申請書類を購入する
販売受付期間内に臨床発達心理士認定申請ガイド(2,420円)を購入します。申請ガイドには資格申請に必要な情報がすべて記載されています。申込は郵便振替で行います。
販売受付期間: 2019年 2月 20日(水)~ 8月 9日(金)
※申込順に順次発送
2、申請手続きをする
受付期間内に認定審査料(33,220円)を払い込み、申請書類を送付します。申込は郵便振替で行います。
認定審査料払込受付期間: 2019年 8月1日(木)~ 8月 27日(火)
申請書類受付期間: 2019年 8月 10日(土)~ 8月 27日(火)消印有効

臨床発達心理士認定申請ガイドには販売受付期間があります。申請ガイドを購入しないと申請書類が手に入りませんので、販売受付期間には注意してください。

▽臨床発達心理士 資格審査概要
項目実施内容
審査 【一次審査】
実施内容は受験資格の申請タイプによって若干異なります。
タイプⅠ 書類審査・筆記試験・臨床実習内容報告書審査
タイプⅡ 書類審査・筆記試験あるいは事例報告書審査
タイプⅢ 書類審査・業績審査
タイプⅣ 書類審査どなたでも受検可能。
【二次審査】
複数の審査者により口述審査(個別面接)が行われます。
試験日筆記試験日:2019年9月29日(日)
口述試験日:2019年12月1日(日)
試験範囲(1)心理学と発達心理学の基礎
(2)認知発達とその支援
(3)社会・情動の発達とその支援
(4)言語発達とその支援
(5)育児・保育現場での発達とその支援
(6)臨床発達心理学の基礎
結果通知筆記試験:2019年 11月中旬
口述試験:2019年 12月下旬

申請ガイドに、出題基準と指定科目および前年度の得点分布、問題例が掲載されています。他の審査についても記載されていますので、詳しくは申請ガイドをご覧ください。

公認心理師の資格取得者が臨床発達心理士の資格取得を目指すには?

公認心理師の資格取得者が臨床発達心理士の資格を目指すには、まず臨床発達心理士認定運営機構が開催している「臨床発達専門講習会」を受講して受験要件を満たす必要があります。
臨床発達専門講習会では、主に臨床発達心理学の基礎と臨床発達支援の専門性について、1日(6時間)講習を受けます。 受講時には臨床発達支援を必要とする事例が提示されます。その事例に対して、どのような問題が生じやすいか、また、想定される問題に対してどのような対策・支援が必要かを報告書にまとめ、書類申請時に臨床発達専門講習会受講証のコピーと一緒に提出することが義務づけられています。

臨床発達心理士試験の難易度・合格率は?

難易度は高い!合格率は非公開

臨床発達心理士の試験は、一次審査と二次審査があり、両方共クリアしなくてはいけません。
また、上記でご説明した受験資格タイプにもよりますが、筆記試験を受ける場合は、範囲が6科目と広いです。
そのため心理系の民間資格としては、試験はかなり難しい方だと言えるでしょう。
試験の合格率に関しては、非公開となっています。

臨床発達心理士の資格認定は?

合格通知後、資格の登録が必要!

資格審査後に合格通知が届いた方は、登録に必要な手続きを行います。所定の手続きを完了した後に資格が認定され、臨床発達心理士認定証が発行されます。なお、2019年度の認定発行送付時期は2020年 2月下旬頃が予定されています。
資格の有効期間は、合格年度の翌年度4月1日からになります。例えば、2019年度の合格者は、2020年4月1日から資格が有効とされます。また、それと同時に日本臨床発達心理士会会員となることができます。
それ以前は、合格通知が届いても有資格者として認められません。そのため、有資格者として仕事を行うことはできないので注意しましょう。
また、臨床発達心理士の資格は5年ごとに更新する必要があります。資格更新時までに資格更新研修会などへ参加してポイントを取得することが義務づけられていますので、日々の勉強が不可欠になるでしょう。

臨床発達心理士の資格取得をするとどんな場所で働ける?

ライフステージによって様々!

臨床発達心理士の資格を取得した場合、どんな場所で働けるのでしょうか。支援対象は、子どもから年配の方まで幅広いので、それに伴って活躍の場も異なってきます。
発達段階別に活躍の場を見てみましょう。
<乳幼児期>
保健所、保育所・幼稚園、子育て支援センター、通園施設・リハビリテーションセンター、児童相談所など
<学齢期 >
特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室、教育相談、適応指導教室、学童保育など
<成人・老年期 >
障害者施設、作業所、老人病院、老人保健施設、老人ホームなど
このように活躍の場は多岐にわたっています。

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臨床発達心理士の具体的な仕事内容は?

臨床発達心理士の具体的な仕事内容は、発達に関する問題を見極め、対象者やその家族へ面接や心理テスト、行動観察を行い、心理支援をするのが臨床発達心理士です。
具体的には、前項で触れた活躍の場で、虐待、不登校、引きこもり、自閉症、知的障害、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(AD/HD)などの問題に対応します。扱う問題は様々で、複雑なものも多いので高度な知識と技術が求められます。

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臨床発達心理士と臨床心理士の違いは?

仕事内容や活動領域に若干の違いあり!

臨床発達心理士と臨床心理士は名称が似ていることから、混同されることが多いかもしれません。 それぞれの違いについて紹介いたします。

▽臨床発達心理士と臨床心理士の違い
項目臨床発達心理士臨床心理士
認定団体一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会
(内閣府認可)
仕事内容発達心理学をベースにして、人が発達に伴って抱える悩みや問題の心理支援にあたる医療系の心の問題全般を扱い、心理支援にあたる
活動領域医療機関、保健所、保育所・幼稚園、児童相談所、通級指導教室、教育相談、適応指導教室、学童保育、障害者施設、老人保健施設、母子生活支援施設、障害者職業センターなど病院や学校をメインとし、児童相談所、老人福祉施設、家庭裁判所、ハローワークなど

臨床発達心理士が発達上の悩みに特化して支援を行うのに対し、臨床心理士はより幅広い心の問題を扱うというイメージを持って頂くとわかりやすいかと思います。

活動領域も、両者で重なっている部分はありますが、臨床心理士は、教育、医療、福祉、司法、産業など活動領域が多岐にわたっていることが特徴と言えるでしょう。

両者を比べると臨床心理士の方が知名度が高いです。病院や学校の求人をはじめ臨床心理士の有資格者を募集しているところは多くあります。

これから心理職に就きたいという方は、臨床心理士の資格取得をおすすめします。通信課程のある心理系大学もありますので、こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。

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