ミラーリングとは

ミラーリングとはコラム
コラム
このページの監修者
城川 光子

1985年東京生まれ。私立渋谷幕張高等学校、上智大学文学部、関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻。
公認心理師・臨床心理士・産業カウンセラー試験合格。心療内科クリニックでのカウンセリング、小学校スクールカウンセラーなどの職務経験。

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ミラーリング効果とは

人は相手を真似するもの?

長年連れ添った夫婦や、仲の良いカップルは、歩く姿や話す姿を見ていても、どこかお互いのしぐさや雰囲気が似ている感じがしますよね。日常でも例えばホテルの受付で丁寧な言葉で話しかけられたらこちらも自然と丁寧に返し、子どもが膝を擦りむいて顔をしかめていたら、意識せずに自分もそんな表情になっているのではないでしょうか。

どうやら人は相手を真似をする生き物らしい…。そして、真似(=ミラーリング)をするとどんな効果があるのでしょうか

ミラーリング効果=相手を真似することで、親近感を抱かせる心理テクニック!

結論から言ってしまうと「ミラーリング効果」とは、相手のしぐさ言動行動を鏡のようにして真似をすることにより、相手に好意親近感を抱かせる心理テクニックのことです。

まずはこれを実証してきた実験を紹介します。

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実験!真似するとどんな効果が?

人は相手を無意識に真似する!

ニューヨーク大学のチャートランド博士は実験で、人は相手の癖を無意識に真似することを発見しました。

■ チャートランド博士の実験 その1 ■
・参加者は二人組で課題に取り組みます。実はその内の1人は実験協力者です。
・実験協力者は課題をこなしながら、足を揺らし、別の実験協力者は顔を触ります。

実験の結果、参加者が相手のように足を揺らしたり、顔を触る回数が増えたそうです。一緒に作業をしている相手の癖を真似ているのですね。

なお、後から確認したところ、参加者には自分が相手の癖を真似しているという意識がなく、相手にそんな癖があったことも気づいていなかったそうです

つまり、人は相手の癖を、意識することなく真似するものなのです。長年連れ添っているとカップルでも親子でも似てくるのはそういうわけなのですね。

自分の行動が真似されると、相手を肯定的に捉えるように!

では、真似をするとどんな効果があるのでしょうか。

チャートランド博士の実験 その2
・参加者と実験協力者のペアを作り、2人に15分の会話をさせます。
・半分の実験協力者は相手の声の調子やしゃべり方を真似する一方、もう半分は真似せずに会話を進めます。

実験の結果、真似された方の参加者の方が、真似されなかった参加者よりも15%も多く実験協力者のことを好意的に思い、会話もスムーズだったと評価しました。

この時の参加者は自分の行動が模倣されていたことには気づいていません。自分では意識していなくても、自分の行動が真似されることで、相手を肯定的に捉えるようになるのですね。

逆に言えば、相手の真似をすることで、自分への好感度が増すということです。これがミラーリング効果です。

ミラーリングで、助けてもらいやすくなる効果も!

さらに好きになってもらえるだけでなく助けてもらえる、援助行動も期待できるそうです。

ミラーリング効果による援助行動の実験
・参加者は10個の広告について1つあたり30秒で意見を述べるように頼まれます。
・この時、実験者は参加者の姿勢を密かに真似して、前かがみになったり、腕を組んだりします。
・実験者は一度部屋を出て行き、戻ってきます。その際に偶然を装ってペンをバラバラと落とします。

すると、真似されていなかった参加者は33%しかペンを拾わなかったのに、密かに真似をされた参加者はなんと100%の人が拾ったのです。

自分の真似をした相手への好感が高まり、相手を助ける行動にもつながるのですね。

人は、自分と似ている人に好意を抱きやすい!

ところでなぜ真似をされると好意を持つのでしょうか。

ミラーリング効果の根拠として「類似性の法則」が挙げられます。人は自分と共通の性質を持った、つまり類似性のある人に対して、無意識親近感を持ち、好意を持つという法則です。

同じ出身地、年齢、学歴、趣味、食べものやアーティストなどの共通点を発見して、嬉しくなって急速に仲良くなった経験はあるのではないのでしょうか。

共通項を見つけることだけでなく、しぐさや言葉を真似ることで、類似性の法則が働き、好感度が上がることが期待できるのです。人は無意識的にも意識的にも自分と似ている人、または似たものに対して好意を抱きやすい傾向があるようです。

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ミラーリング効果の注意点

相手に不快感を与えないように注意!

では、ミラーリングを実践する際、具体的にどのように真似をすると効果的なのでしょうか。

はじめに、注意点を述べておきます。

恋愛心理学でミラーリング効果が紹介されることもあってか、時折散見されるのが真似されることへの不快感です。

ミラーリングの失敗例

ある女性がデートの時に、自分が飲み物を飲んだら相手も飲んでいる、パンを食べたら相手も食べる、フォークでお肉を切ったら相手も切っている…。逐一真似をされて大変不快だったという投稿がありました。

ビジネスでは咳払いや水を飲むタイミングまで頑張って真似していたら、「バカにしているのか」と取引先に怒られて契約を打ち切られた、という話もあります。

ミラーリングに気付かれるのは逆効果!

紹介した実験でもそうでしたが、あくまでバレないようにやることです。

ミラーリング効果の場合は相手があなたと共通点があると無意識に」感じるかがポイントなので、分かってしまって意識」されてしまっては逆効果なのです。自然体でミラーリングすることが重要です。

過度に真似をしすぎたり、意識しすぎてぎこちない動きになってしまったりすると、逆に相手に警戒心を抱かせることになってしまいます。なんでも真似してくる相手というのは主体性が感じられず、重くて依存的な印象を与えてしまう怖れもありますので、やりすぎるのも禁物です。

それを踏まえて、以下に紹介するミラーリングであれば自然と活用できるのではないでしょうか。

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ミラーリング効果 実践編!

【1】言葉のミラーリング

相手と同じ、もしくは似た語彙を使うことはミラーリング効果があります。相手が使っている単語や表現を覚えて使ってみましょう

ある実験でもパーティで

「君は本当にこれをやったの?(You really do this?)」

と聞かれた時に、

「ええ(Yes)」

だけより、

「ええ、私はそれを本当にやったわ(Yes, I really do this.)」

などと言葉をしっかり模倣した方が魅力的に評価されたという結果もあります。

言葉のミラーリングは自然に取り入れやすい!

ミラーリングは、視覚より聴覚の方がバレにくい傾向があるようです。確かに自分が頭をかいた後に相手も頭をかいたりすれば目に見えてわかりますが、自分と同じ言葉を使われることはそんなに不自然ではないし、違和感を覚えません。

カウンセリングでも「リフレクション」という名前で、相手の言葉を伝え返して、話が深まるのも待つことがあります。日常では、「とりあえず」「ありえない」など相手のよく使う言葉や口癖を見つけたらそれを真似してもいいですし、「ムカムカしたんだよね」を「そっか」ではなく「ムカムカしたんだ」と返したり、「嬉しかった」を「へえ」だけでなく「嬉しかったんだね!」などそのままの言葉を使って返すのもいいでしょう。

もちろん毎回きっちり模倣していると不自然でバレてしまいますので、普通の相づちをしながら、時折混ぜるぐらいの、あくまで自然な会話を心がけましょう

【2】声のミラーリング

相手の声の調子はどうでしょうか。激しく怒っているのか、楽しそうなのか、とても穏やかなのか、大きいのか、小さいのか、か細いのか。

ただ理不尽な怒りをぶつけてくるクレーマー相手には、一定のトーンで対応した方がいいという話もありますが、日常の中の出来事として、例えば怒っている友人がいたら、「それはひどいね」と似た口調で一緒に怒ってみると、相手もわかってもらえた感じがして落ち着くのではないでしょうか。

楽しそうにしていたら、「へえ、どんなことがあったの?」とこちらも笑顔で明るく聞く、穏やかだったらその調子に合わせる、大きな声や小さな声には自分の自然な範囲である程度合わせるなど、相手の声の調子にぜひ合わせてみてください。似ている声のトーンに、相手は安心感や好感を覚えるはずです

【3】しぐさのミラーリング

まずは相手の「姿勢」を見てみましょう。

頭はまっすぐか、左右に傾いているか、背筋は伸びているか曲がっているか、呼吸は浅いか深いか、手を揃えているか、握っているか、足を開いているか閉じているか、など、人は無意識にその人が一番心地いい姿勢になっていると言われているので、姿勢をミラーリングすることでその人の今の感じや居心地に自然に近づけるかもしれません。

頭を触る、頬杖をつくなどの動作」をミラーリングしたいときは、1分遅れでやる、5〜7つに1つにする、小さくやる(相手がコップに手を伸ばしたら自分は少し手を前に出すだけにする)など、時間差で真似たり、回数を絞って行なうと自然でいいでしょう

腕組み、ため息など、ネガティブなミラーリングはNG!

ネガティブミラーリングしないようにしましょう

腕を組むのはどうしても高圧的・防衛の印象を与えてしまいますし、口を隠す、唇に触るなどは不安を伝えてしまいます。ネガティブな口癖やため息なども悪印象を与えてしまうのでやめましょう。

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カウンセリングにおけるミラーリング

カウンセリングではミラーリングを自然に使っています。相手が使った言葉をそのまま伝え返すことはどのカウンセラーでも習うのではないでしょうか。

例えば「イライラしている」と相手が言ったら、「怒ってるんですね」ではなく「イライラしているんですね」と返します。なぜかというと「イライラ」と「怒っている」には相手にとって微妙にニュアンスや意味が違うので、「怒っている」で返すと、せっかく深まっている感情が止まってしまったり、話のプロセスを邪魔してしまうことになるのです。

もちろん逐一同じ言葉で返していると不自然なので、相手の話の中で感情がこもっていたり、重要だと思われた言葉について、特に伝え返すような感じです。声の大きさやトーンも声の小さい人には小さめに、大きくはっきり話す人には大きめになど、できる範囲で自然に合わせます。

姿勢や呼吸のミラーリングもうまくいって、相手が話しやすい雰囲気になると、カウンセリングも深まりやすいように思います。しぐさのミラーリングは、相手がうーんと顔を傾げて悩んでいたら、自分も「そうですよね」と言いながら少しだけ一緒にやってみる、手でジェスチャーをしていたら、「◯◯って感じるんですね」など言葉で伝え返しながらゆっくり似たような感じでやってみる、前かがみだったら自分も少し前かがみになる、「あーそっかー」と背をそらしたら自分もうなづきながらゆっくりやるなど、自然に見える範囲で実践しているように思います。

相手との関係によって使い分けも

思い返してみるとプライベートの友人関係では反対に相手に踏み込みすぎないように、ミラーリングをしすぎず、適度にずらしているように思います。ここぞと深めたい相手のときはミラーリングをしつつ、いつもの飲み会であればそこまで頑張らないなど、相手との関係によっても使い分ける必要はあるかもしれません。

「真似」ではなくて「似ている」と思わせること

要は、「真似」ではなくて「似ている」と思わせることです。「なんだかこの人とは気が合うなあ」と思わせるのがコツです。

そして、ミラーリングは手段でもありますが、どちらかというと結果であると言えます。相手にとって居心地が良くなると、自然と似てくるのです。ミラーリングの動作に気を奪われすぎず、話を聞くのに集中しながら自然な範囲でやっていたら、相手が安心してよく話せて内容も深まっていく、そんな形が理想かもしれません。

プライベートでもビジネスでも、仲を深めたい」「信頼関係を築きたい」と思ったら、話し方速度声のトーン音量を合わせたり、姿勢しぐさをよく観察して、できる範囲で真似をしてみましょう。相手が少しでも好感を持ってくれたら嬉しいですね。

■参考文献■
・Chartrand, T. L. & Bargh, J. A. (1999). The Chameleon Effect: The Perception-Behavior Link and Social Interaction. Journal of Personality and Social Psychology, 76(6), 893-910.
・Rick B. van Baaren, Rob W. Holland, Kerry Kawakami, Ad van Knippenberg (2004). Mimicry and Prosocial Behavior. Psychological SCIENCE 15, 71-74.
・青柳宏亮(2013) 心理臨床場面でのノンバーバル・スキルに関する実験的検討:―カウンセラーのミラーリングが共感の認知に与える影響についてー, カウンセリング研究46(2),83-90.
・池田謙一・唐沢穣・工藤恵理子・村本由紀子(2020)『補訂版 社会心理学』有斐閣.
・カート・モーテンセン(2017)『相手の心をつかんで離さない10の法則』弓場隆訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン.
・加藤聖龍(2013)『手にとるようにNLPがわかる本』かんき出版.

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