メンタルヘルスとは
メンタルヘルスとは、ずばり「心の健康」のことです。英語の「metal health」をそのままカタカナ語にした単語です。うつ病などのこころの病気対策や、ストレス・悩みの解消などを目的としたメンタルヘルスケアが注目されたことで広まりました。
「心の健康」はストレスと密接に結びついており、過剰なストレスを抱えるとメンタルヘルス不調になってしまい、精神衛生・精神保健の面からもよくない状態とされます。
厚生労働省をはじめとする国や行政も対策に力を入れており、心の健康や病気を支援するためのサイトやページを立ち上げています。
近年では、職場におけるメンタルヘルス対策として、労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」が2015年12月から実施されています。
メンタルヘルス資格の種類
メンタルヘルスに関する資格は、複数存在しますが、国家資格から民間資格まで、その資格の意義や役割によってだいぶ特徴やスケールが異なります。
団体 | 資格・検定 |
---|---|
厚生労働省(国家資格) | 精神保健福祉士 |
厚生労働省(国家資格) | 社会保険労務士 |
一般社団法人 日本産業カウンセラー協会 | 産業カウンセラー |
大阪商工会議所 | メンタルヘルス・マネジメント検定 |
NPO法人 EAPメンタルヘルスカウンセリング協会 | EAPメンタルヘルスカウンセラー |
一般社団法人 全国心理業連合会 | ストレスチェックコンサルタント |
ストレスチェックプランナー協会 | ストレスチェックプランナー |
財団法人職業技能振興会 | ケアストレスカウンセラー |
メンタルケア学術学会 | メンタルケアカウンセラー® |
精神保健福祉士について
精神保健福祉士は、精神障害者の援助などを行う福祉系の資格です。精神保健福祉士法に基づき、厚生労働省が認定する国家資格です。いわゆる「ソーシャルワーカー」として幅広い分野で活躍しています。元々ソーシャルワーカーは企業メンタルヘルスに関する職種ではありませんが、EAP(従業員支援プログラム)分野で、労働者のメンタルヘルスを保つ活動や、社会復帰を促す役割を担い、活躍の幅を広げています。ストレスチェック制度においては、医師などとともにストレスチェックを実施する立場にあります。
オススメ度:★3つ 資格取得までは長い道のりとなり、大学、短大、養成施設などで専門知識を学ぶほか、実務経験を経て、国家試験に合格する必要があります。メンタルヘルス支援をメイン目的として取得する方はいないと思います。
社会保険労務士について
社会保険労務士は、労務管理や社会保険に関するアドバイスなどが主な業務ですが、労務サービスの一つとしてメンタルヘルス対策を請け負ったり、指導や事務処理を担当したりしています。
オススメ度:★2.5 社労士は国家試験があり、取得難易度は高めです。スクールや通信講座でしっかり対策しましょう。社労士の業務は多岐にわたるのでメンタルヘルスの指導がメインではありません。
産業カウンセラーについて
産業カウンセラーは、企業でのメンタルヘルス対策やキャリア形成支援を主な領域とする、働く人の援助を行う専門家です。ストレスチェック制度の実施に伴い、需要が伸びる資格の一つでしょう。この制度においては、精神保健福祉士などとともに、結果通知後の相談対応をする役目があります。
オススメ度:★4つ メンタルヘルス関連資格としては、取得までに時間を要する部類になります。養成講座の受講と試験合格が必要です。ただし合格率は比較的高く、取得難易度はそこまで高くありません。学歴不問なので初心者が目指しやすい資格だと思います。
メンタルヘルス・マネジメント検定について
メンタルヘルス・マネジメント検定は、メンタルヘルスに関する検定としては最も有名であり、商工会議所法に基づく公的資格になります。メンタルヘルスマネジメントというのは、「心の健康を管理する」という意味合いです。
オススメ度:★4.5 試験はI種~III種まであり、毎年2回(I種のみ1回)実施されます。市販されている公式テキストのほか、参考書や通信講座などで勉強します。特にI種は合格率が10%程度ととても低いので、しっかりと対策が必要です。
EAPメンタルヘルスカウンセラーについて
EAPメンタルヘルスカウンセラーは、その名の通り、EAPとメンタルヘルス分野における総合カウンセラー資格です。EAPとは「従業員支援プログラム」を指します。
オススメ度:★4つ 資格を取得するには、カリキュラムの修了と、認定試験の合格が必要です。単純に知識を学ぶだけでなくカウンセリング技術の向上も図りたい方にお勧めできる資格です。
ストレスチェックコンサルタントについて
ストレスチェックコンサルタントとは、企業のメンタルヘルス対策として導入されたストレスチェックのコンサルテーションができる人材として全国心理業連合会が認定する資格です。
オススメ度:★3.5 3日間の講習と試験に合格することで取得できます。メンタルヘルス・マネジメント検定や産業カウンセラーなどの資格保持者、または人事・労務担当者は講習期間が短く済みます。
その他の資格について
その他、カウンセラー資格にもメンタルヘルスに重点を置いたものがいくつかあります。ケアストレスカウンセラーやメンタルケアカウンセラーは通信講座で勉強して資格を取ることができます。心理カウンセラーの資格を取得して心理職で活躍している方も、労働者のメンタルヘルスケア活動実施者の対象となります。
講座の種類と費用比較
メンタルヘルス・マネジメント検定は歴史が長く、各種スクールから対策講座が出ています。特に通信講座が人気なので主要講座の費用をまとめました。
メンタルヘルス・マネジメント検定対策 通信講座
講座名 | 金額 | 期間 | スクール |
---|---|---|---|
III種コース | 13,750円 | 約2ヶ月 | 日本マンパワーの通信講座 |
II種ラインケアコース | 14,850円 | 約2ヶ月 | |
I種マスターコース | 36,300円 | 約4ヶ月 | |
III種セルフケアコース | 29,000円 | 約3ヶ月 | 生涯学習のユーキャン |
II種ラインケアコース | 35,000円 | 約4ヶ月 | |
III種対策 | 9,240円 | 約2ヶ月 | 産業能率大学 通信教育課程 |
II種対策 | 9,900円 | 約3ヶ月 | |
I種対策 | 22,000円 | 約4ヶ月 |
通信講座はあまり価格変動をしないので、慌てることはないですが、たまにキャンペーンを実施していることもあります。また、分割払いや割引制度を知るためには一度に資料請求できるサービスの利用が便利です。
検定はあくまでも基礎的な知識の習得が目的です。カウンセリング領域まで踏み込んだ、下記講座を受講して幅を広げるのもよいでしょう。
その他 メンタルヘルス関連講座
講座名 | 金額 | 期間 | スクール |
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ケアストレスカウンセラー講座 | 34,000円 | 約3ヶ月 | ヒューマンアカデミー / 通信講座 |
企業中間管理職ケアストレスカウンセラー講座 | 50,000円 | 約6ヶ月 | |
メンタルケアカウンセラー(R) | 39,000円 | 約3ヶ月 | |
メンタルケア・アドバイザー養成講座 | 49,800円 | 約6ヶ月 | がくぶん |
EAPメンタルヘルスカウンセラー養成コース | 398,000円 | 約3ヶ月 | リカレント メンタルヘルススクール(通学) |
ストレスチェックコンサルタント養成講座 | 107,000円 | 3日間 | アイ・ディアヒューマンサポートアカデミー(通学) |
メンタルヘルス・ケア総合コース | 184,800円 | 4ヶ月 | ヒューマンアカデミー |
産業カウンセラー養成講座 e-Learning制 | 297,000円 | 約6~10ヶ月 | 日本産業カウンセラー協会 |
ストレスケアカウンセラー | 1,342,000円 | 1年 | BTU(BALANCE THERAPY UNIVERSAL)(通学) |
通学講座では、複数種類の資格があるので、金額の開きがあります。また、一概に金額や期間だけが判断基準にはならないので、一度パンフレットで見比べてみるとよいでしょう。
心理カウンセラーとの違い
メンタルヘルスと心理カウンセラーの違いは、学習範囲の差といえます。心理カウンセラーは、心の悩みを持つ個人の相談者に対する、心理療法や心理学に基づくカウンセリング技術を学びますが、メンタルヘルスは、心の悩みを未然に防ぐ「第1次予防」の観点と、個人だけではなく組織全体のケアを重視します。講座や資格によって、学習する比重が異なりますので、自分が学びたい領域を丁寧に教えてくれるスクールを探しましょう。