児童福祉司とは?
児童福祉司とは、児童相談所に所属する相談員のことです。
虐待に関する相談、子どもの障害や問題行動についての相談、病気・貧困などにより子どもの養育が困難な保護者についての相談など、子どもの福祉に関するさまざまな相談を受け、必要な支援や指導を行う仕事です。必要に応じて児童の一時保護を行なうケースもあります。
これに対し、心理学的な知見をもとに子どもや保護者の心理判断を行なったり、心理療法やカウンセリングを行うのが児童心理司と呼ばれる職員。児童福祉司と協力して支援活動を行います。
児童心理司についての詳細は下記の記事をご覧下さい。
児童福祉司になるには?
公務員試験の合格が必要
児童福祉司は公務員であり、児童福祉司になるためには地方公務員試験に合格する必要があります。
また、 児童福祉司になるには児童福祉法に定められている下記いずれかの任用資格要件を満たしている必要があります。
■任用資格要件の例
- 都道府県知事の指定する児童福祉司養成校卒業
- 都道府県知事の指定する講習会の課程を修了
- 医師、社会福祉士、精神保健福祉士のいずれかの資格取得者
- 大学または大学院(外国の大学を含む)卒で心理学等を専攻+指定施設における実務経験1年
- 保健師、教員、看護師、保育士、児童指導員(各必要実務経験年数あり)+指定施設における実務経験1年+講習会受講
- 大卒で指定の科目を3科目以上修了(社会福祉概論、児童福祉論、心理学、教育学など)+社会福祉主事たる資格を取得+諸条件による実務経験
任用資格要件の例にある、社会福祉士、精神保健福祉士の資格を取得できる講座やスクールについて以下のリンクで詳しく紹介しています。
「国家試験はちょっと…」そんなあなたへ
児童福祉司の任用条件に国家資格や公務員試験の突破が含まれていることを知り、高いハードルを感じてしまった方もいると思います。
ここでは、国家試験(国家資格)や公務員試験以外の方法で児童福祉施設の採用に繋がる可能性のある資格や講座をご紹介します。下記のような「児童心理司」とは別の資格で児童福祉施設のへの就職を目指すという手もあります。
無料でパンフレットの請求も可能ですので、検討してみてください。
1. 初心者向けの心理カウンセラー資格から始める
最も無難でオーソドックスな方法は、「はじめて心理を学ぶ」というレベルに合わせた資格から取得することです。そこから、児童心理学に関する知識レベルを向上させたり、実務経験を積み重ねたりして「児童福祉司」というゴールを目指します。
初心者レベルでありながらも協会の認定を得ている資格が次の2つです。
・メンタル心理カウンセラー
・メンタルケアカウンセラー
これらは、初めて心理学を学ぶ社会人から根強い支持を保っている資格です。2~5万円程度の範囲で取得できる格安講座で取得できるので、初めての方にも手を出しやすいでしょう。
それぞれの資格を資格する講座の詳細をは下記の通りです。
無料のパンフレット送付が申し込めるので、迷ったら両方のパンフレットを並べて「自分に合いそうな講座」を選びましょう。ネット上の情報だけを頼るよりも、見通しが持ててモチベーションアップにも繋がります。
その他の初心者向けの講座パンフレットもまとめて欲しい方はこちらから。(同じく無料送付です)
2.チャイルド総合心理(チャイルドカウンセラー+家族療法カウンセラー)
児童福祉施設や学校で働きたい方におすすめの民間資格で、「キャリアカレッジジャパン」が講座を開講しています。
「チャイルドカウンセラー」「家族療法カウンセラー」の2つの資格を取得できます。講座では臨床心理士による実技指導も受け、児童や保護者の心のカウンセリングで役立ちます。
キャリアカレッジジャパンの「チャイルド総合心理講座」について、下記ページでも詳しくご紹介しています!
3.幼児心理アドバイザー
子どもの心や身体の発達について学べる民間資格です。東京カルチャーセンターの通信講座を修了することで資格を取得することができます。
講座は短期大学の教授が監修・執筆。0歳~5歳の小学校入学前までの幼児期の発達心理学について専門的な知識を学べ、保育士・幼稚園教諭や児童養護施設、知的障害児通園施設に勤務している方も受講されているようです。
このほかにも子どもの心理について学べる様々な講座があります。
4.保育士
子どもと関わる仕事を志す方であれば、一度は検討したことがある資格かもしれません。
保育士の職場は保育園だけでなく、児童福祉施設での保育士採用も行われています(施設保育士)。
児童養護施設等の求人では、保育士資格があると有利なケースも多いです。
4.ベビーシッター・チャイルドマインダー
費用面と難易度ともに保育士よりも取得しやすい資格です。パートやアルバイトで児童福祉施設や発達支援センター等に勤めたい場合は、取得を検討すると良いかもしれません。
児童福祉施設では、保育園や学童での集団保育とは異なり、家庭的な温かさを大切にした保育をおこないます。そのような観点から、ベビーシッターやチャイルドマインダーといった資格を歓迎している施設もあるようです。
児童相談所における専門職の国家資格創設へ?
児童福祉司の増員計画
近年、子どもの数自体は減少傾向であるにも関わらず、児童相談所の虐待相談対応件数は増加の一途をたどっています。2020年度は対応件数が20万人を超えています。
厚生労働省はこういった状況を踏まえ、児童虐待に対する迅速・的確な対応のため、児童の保護や保護者への支援・指導を行う児童福祉司の確保を進めています。
2017年から2021年で児童福祉司の配置員数は1,700人ほど増え、2017年時点と比べると1.5倍の配置人数となっており児童福祉司の増員に力を入れていることがわかります。
しかし、依然として現場の児童福祉司不足は続いており、さらなる対策が求められています。
新たな資格の創設を厚生労働省で検討中!
厚生労働省では「子ども家庭福祉に関し専門的な知識・技術を必要とする支援を行う者の資格の在り方その他資質の向上策に関するワーキンググループ」を設置し、子どもや家庭の福祉に関する資格の創設や人材の資質向上について令和元年から議論を続けています。
現時点では資格の取得要件、付与方法、養成ルートなどについて検討している段階で具体的な資格創設などには至っていませんが、詳細については今後議論が進められる見通しです。
ただし、現行の児童福祉司の資格要件が大幅に変更されることは考えにくいと思われます。今後数年間は、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を取得するルートなどで児童福祉司を目指すのが良いでしょう。
現在、児童福祉司として働いている方々の内訳を見ても、大卒の実務経験者に次いで社会福祉士の有資格者が多く、全体のおよそ30%を占めています。
心理職をはじめ福祉系の仕事に就くのであれば、「社会福祉士」があらゆる可能性を広げてくれる資格と言えそうです。
まとめ
深刻化する虐待問題を背景に児童福祉司の増員が進められています。
児童福祉司については、地方公務員採用試験において「福祉職」として採用される場合と、「一般職」で採用されてから児童相談所に配属される場合と自治体によって差があるようですが、いずれにせよ児童福祉司になるには任用資格の要件を満たす必要があります。
児童福祉司を目指す方は、 社会福祉士、精神保健福祉士など児童福祉司の任用要件を満たす資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。