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ダブルバインドとは

更新日: 2019/01/28

ダブルバインドは私たちの日常生活にありふれている?

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ダブルバインドという言葉をご存知でしょうか。ダブルバインドは私たちの日常生活の中でも多く潜んでいます。
家族間や会社の中でのコミュニケーションでよく発生するのが、このダブルバインドです。ダブルバインドとは二重拘束という意味をもちます。二つの違う矛盾した意味のメッセージを相手に命令することで、相手を混乱させ強いストレスを与えるといったコミュニケーションのことを指します。

文化人類学や精神医学の研究者であるグレゴリー・ベイトソンが精神疾患である統合失調症の子どもをもつ家族を調査する際に発見したコミュニケーションパターンです。グレゴリー・ベイソンはダブルバインドの概念を発見したときに、家族内コミュニケーションがダブルバインド・パターンであると、その状況におかれた人が統合失調症に似た症状を示すようになると指摘していますが、このダブルバインドが発生するコミュニケーション環境に長年身を置くことにより、相当なストレスや脳への負荷がかかる状態になると言われています。

統合失調症とは心や考えがまとまりずらくなる精神疾患のことです。幻聴や幻覚、現実と妄想の境目がわからなくなる、といった症状がでることもあります。人間関係を築くことや日常生活をおくることが困難になるケースもあるのです。

このようにダブルバインドのコミュニケーション下だと、相当強いダメージを負ってしまうことが想定できますが、では私たちの日常生活にあるダブルバインドとは一体どのような状況のものか考えてみたいと思います。

親子間でのダブルバインド

親子関係で、このダブルバインドは非常に起こりやすいものです。親は子どもに愛情を注ぐ立場にありますが、子どものしつけをする立場も担っています。ですので子どもに対し、圧力を与えるような指示や命令を意識せずともしてしまうことがあります。

例えば、子どもがテストであまりよくない点数をとってしまって答案用紙を隠していたとします。親はそれに気づいて「絶対に怒ったりしないから、答案用紙を出しなさい」と言います。子どもは親が「怒らない」と言ったことに対して半信半疑になりながらも、答案用紙を親に見せます。すると親は怒らないと言ったのに、点数をみると明らかに怒ったような顔つきになります。そして説教をし始めるのです。怒らないといったのに怒る、といったような、矛盾した指示・命令はダブルバインドの典型的な例です。

他にも、子どもが言うことを聞かない場合、「勝手にしなさい!」と怒った後に、「いつまでそんなことやっているの!良い加減に言うことを聞きなさい!」と命令するのもダブルバインドです。これは多くの親が無意識に子どもに対してやりがちな命令でもあります。

矛盾した2つの言葉を指事・命令された子どもは混乱を感じます。「あなたが好きな学校にいきなさい」と言いながらも子どもが「〇〇高校を受験しようと思う」と伝えたら、「ここは学費が高いから公立の学校にしなさい」と命令するのもそうです。最初の言った言葉と明らかに矛盾があるのがわかりますよね。

また、言葉だけではありません。「言うこと聞かないから、ママはあなたを置いてかえるからね!」と言いつつ、子どもを待っているのもダブルバインドです。言葉と態度に矛盾が生じてしまっています。このようなコミュニケーションが繰り返しおこなわれる家庭に育った子どもは、親の顔色を必要以上に伺うようになり、自分の気持ちや感情を表現することを抑圧してしまします。我慢を重ねて、知らず知らずの内に強いストレスを蓄積していくのです。

会社間でのダブルバインド

パワーハラスメントやモラルハラスメントの加害者側は、このダブルバインドをよく使っていると言われています。例えば仕事で失敗をしてしまったとき、上司に「謝れ!」と言われる。素直に謝罪すると次には「謝って何とかなる問題ではない。取り返しがつかない。」と説教されるのも典型的なダブルバインドです。「お前は全然仕事ができないからもうしなくていい!反省しろ!」と怒鳴りとばしたと思ったら、数分後には「まだこの仕事もできていないのか!早くやれ」と言ったりする。どちらの選択をとったとしても、上司の望む通りにしても、結局は怒られてしまうので部下はどんどん疲弊していきます。その内仕事どころではなくなり、いかに上司から怒られないかに集中し仕事のパフォーマンスが急落していきます。

他にもパワーハラスメントだと、大勢の前で勢いよく怒鳴られたと思ったら「君のこと信頼しているからみんなの前で叱ったんだ」と言ってきたり、常に矛盾が生じています。

ダブルバインドをしている側は、自分がダブルバインドをしているといったような意識はほぼありません。ただその時に自分の感情に任せて発言しているのです。部下のことは考えていません。「君のことを信頼しているから」などと、いかにもこちらを思っているような発言をしたとしても、態度や言葉に矛盾があれば、それは相手を混乱させるだけなのです。自分の心身を破壊しないためにも、会社間で上司からのダブルバインドが多いときは、早急にもっと上の上司に相談したり休職を考えても良いでしょう。

ダブルバインドによって引き起こされること

親子間でも会社間でも長らくダブルバインドの環境下にいた人は、「自分が悪いから怒られる」「自分がだめなんだ」という思考回路に陥りやすくなります。ダブルバインドを受ける側は常に混乱の中にいるので、自分の考えがまとまりにくく何が正しくて何が悪いのか正常な判断ができにくい状態になることもあるようです。
そのため、過度に他人の顔色を常に伺うようになったりして主体性を失い、自分を見失っていきます。自信も持つことはできませんし、常に生き辛さを感じます。そしてストレスが蓄積されていき、仕舞いには精神疾患を引き起こしたり心身に異常をきたすようになるのです。子どもなら不登校になるケースもあるようです。

もしダブルバインドの環境下にいる・いたという自覚のある人は、カウンセリングを利用してみると良いと思います。心の中に抑圧された怒りや悲しみを解放していくと良いでしょう。

自分が本当に悪いことをおこなっていたのか、カウンセラーと客観的に事実を振り返ってみるのも良いかもしれません。またダブルバインドは無意識の内に誰しもが、子どもやパートナー、会社の人間関係のコミュニケーションでおこなってしまっています。自分自身がダブルバインドのコミュニケーションをしていないかチェックし、もし無意識の内におこなっているようであれば早急に改めていきましょう。人間関係を円滑にするためにも、相手に混乱を与えないことは重要です。