お酒を飲みすぎてしまう心理とは?アルコール依存症にご注意!

お酒を飲みすぎてしまう心理コラム
コラム
このページの監修者
城川 光子

1985年東京生まれ。私立渋谷幕張高等学校、上智大学文学部、関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻。
公認心理師・臨床心理士・産業カウンセラー試験合格。心療内科クリニックでのカウンセリング、小学校スクールカウンセラーなどの職務経験。

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アルコール依存症-実は誰でもなる病気!?

会社員、主婦、定年退職した方…一見ふつうの人が陥るアルコール依存症

アルコール依存症、というと、大酒飲みのホームレスのおじさんが顔を真っ赤にして酒臭い息でふらふらし、暴言を吐いたり暴れたりしている、もしかするとそんなイメージがあるかもしれませんが、実は“誰でもなる病気”と聞いたら驚くでしょうか。

むしろ最近では優しくて人当たりは良く、会社員や専門職として立派に働いていて、勤務態度は真面目で、結婚して家族を持っているような人たちがいつの間にかアルコール依存症になっていくケースも増えているのです。

育児や家事に奮闘している主婦の人や、長年会社に貢献し定年退職した年配の方にも増えています。

アルコール依存症の予備軍は440万人!?

実は日本ではアルコール依存症の患者約80万人予備軍を含めると440万人と言われており、決して人ごとではないかもしれません。今回はお酒を飲みすぎる心理について考えていきましょう。

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普通の人がいつの間にかアルコール依存症に

会社員Aさんのケース
Aさんは営業の仕事をしている30代男性です。結婚して妻と小学生の男の子がいます。

明るく社交的で、物腰柔らかく、気遣い上手な、いわゆる「いい人」です。頼まれごとは断れないタイプで、周囲の期待に一生懸命応えようと努力します。完璧主義で時間はかかりますが仕事のクオリティも高いです。飲み会も誘われたら必ず参加し、付き合いも良いですが、プレッシャーに弱い面があり、商談前は特に緊張しがちです。

最初は会社の付き合いで飲み会に参加する程度でしたが、慣れない営業にストレスがたまり、飲み会からハシゴ酒をするようになり、お店で酔いつぶれて妻が迎えにいくことも。酔うと目つきが変わって暴言を吐いたり、記憶が抜け落ちるブラックアウトも度々起こるように。

家でも毎日飲酒をするようになり、お酒の缶が徐々に増え、ゴミ袋いっぱいになることもありますが「でも本当の酒飲みはこんなもんじゃないから」と言って気にしません。

酒臭いままで子どもと接するので、「お父さん臭いよ」と嫌がられており、妻から「最近飲み過ぎじゃない?」「いい加減お酒やめたら?」など度々言われ、家の居心地が悪くなっていきます。見つからないよう隠れて飲んだり、飲んだ缶を自分で捨てて証拠隠滅することも増えました。

朝、気持ちが悪くて会社を午後から出勤したり、大事な商談の前に緊張をほぐすためにお酒を飲んだりと、仕事にも飲酒の影響が出てきます。昨日の酒が残っていて酒臭いまま出勤して、同僚に指摘されたこともあります。

「朝からは飲まない」「仕事を休んだことはない」「暴れたりしない」などアルコール依存ではないと言い聞かせる言い訳をして仕事を続けますが、ついに取引先との約束に飲酒のため行けないことがあり、先方が激怒、上司を交えて話し合う事態となり、アルコール専門外来への受診につながりました。

仕事に支障が出るほどではなくても、この程度の人はいっぱいいると思うかもしれません。

自分でもやめたいのについ飲み過ぎている、または家族に小言を言われ、心配されている人は身近にいるのではないでしょうか

また、他にも「もっと飲んでるやつはいる」「これぐらい大したことない」「仕事もしてないだらしない奴と自分は違う」と自分を正当化する言葉はたくさんありますが、もしかすると言い訳を探している時点で黄色信号かもしれません

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アルコール依存症の線引き

アルコール依存症の線引きは、一説には

①コントロールを失っていること
②お酒に酔って自分の人生や周囲に問題が起きていること

と言われています。

①コントロールを失っていること

①は今日だけは飲まないようにしようと思っても、まあ一杯だけ、と飲んでしまい、結果酔いつぶれるまで飲んでしまうということ。飲み過ぎてしまうのは「意志が弱いのではなく脳が変性してしまったゆえの「脳の病気」ですので、自分の力ではどうすることもできません

また飲酒を正当化する言い訳を多くしているということは、すでに適切な飲酒の域を超えていて、コントロールを失いかけているのかもしれません。

②お酒に酔って自分の人生や周囲に問題が起きていること

②は健康診断で医師から節酒を勧められている、家族からお酒をやめるように言われる、言い争いになる、家族と関わる時間がお酒のせいで減ってしまい、家族関係が悪化している、仕事に支障が出るなどです。

もし飲酒を正当化するための言い訳が日常化していて、深酒がやめられず、家族や仕事で困ったことが起きていたら、一旦足を止める必要があります。

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「いい人」の奥にある、飲み過ぎてしまう心理

アルコール依存症は脳の変質による病気ですので、誰でもなる可能性があり、共通の性格傾向があるわけではないと言われていますが、一例として、先ほどのような「いい人」がなることがあるようです。

一見すると、とてもにこやかで人当たりも良く、素面であれば仕事もきっちりこなすことができますが、嫌なことがあっても心の中で抑えつけて、相手には反論せず、どんな要求にもNoを言わず、人に合わせてしまいます。実はそれは自分に自信がないためなのです。

自信がない→ストレス→アルコールの量が増え…の悪循環

自分の意見を信頼できない、傷つくのが嫌で自分を出せない分、他人のいい評価を得ようとし、他人軸で考え、周囲の期待を優先することが常態化しています。自分の気持ちや意見は抑え続けているので、自分でも気づかないうちにストレスを溜め込んでしまいます。

アルコールは、一瞬ではありますが、そういった不快感をマヒさせてくれるので、その快感を脳が覚えます。繰り返すうちに同じ量では満足できなくなるので、お酒の量もエスカレートしていってしまいます。

幼少期の抑圧が原因になることも

アルコールと自信のなさ、あまりピンとこないかもしれませんが、幼少期から親との関係で我慢ばかりして、優等生や世話焼き、おどけ役などを演じているうちに、自分の本当の気持ちを無視することが習慣化し、その心の穴をアルコールで埋めようとすることもあるようです。

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女性や高齢者もなりやすい

女性のアルコール依存症

主婦の方では、初めは子どもたちが寝た後の密かな楽しみに飲んでいただけだったのに、夕飯を作る前に飲むようになり、子どものことでイライラすると時折日中にも飲むようになり、だんだんと頻度と量が上がっていくといったことも起こります。

女性は男性に比べて体重が軽く、アルコールの影響を受けやすいので、30歳代の若さでアルコール依存症になるケースが増えています。

高齢者のアルコール依存症

リタイア後では。妻は色々と忙しくして外出しているのに、今更新しい趣味を始める気にもならずに時間を持て余しているうちに孤独感を強め、その気持ちを紛らわすために飲酒に走ってしまうこともあるでしょう。

年配の方は、若い頃よりアルコールに弱くなっているので、短期間でアルコール依存症になってしまうそうです。

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抱え込まずぜひ相談を

お酒がストレスを忘れさせてくれるのは一瞬

仕事や人間関係、育児のストレス、自信のなさ、イライラ、孤独感…お酒はいろんなものを忘れさせてくれますが、あくまでそれは一瞬です。

魔法が解ければもとの状況はそのまま、あるいはお酒の問題でより問題は難しくなって自分に降りかかってきます

現実の問題や自分の弱さと向き合うことは勇気が要りますが、アルコール依存症は進行すると身体的、精神的なリスクが高く、死に至る病とも言われています。

お酒以外の趣味を持ったり、専門機関に相談を

嫌なことがあったら即アルコール、ではなく、人に話す、散歩する、読書や映画、スポーツなど違うストレス対処法を増やすのも良いでしょう。

また家族に飲酒習慣が気になる方がいたら、まず自分がアルコール依存症について知識を深め、専門機関に相談したり、家族会のような集まりに参加するのも良いでしょう。プライベートなことを話すのは勇気がいることですが、誰かにわかってもらうことは孤独と不安を和らげ、冷静さを取り戻し、次の一歩を見つけるのに役立ちます。

もし飲酒問題で困っていたら、本人も周囲の人も、決して自分のうちに抱え込まず、いろいろな人に相談しながら、良い方向に進んでいけるといいですね。

■参考文献■
・セイラ・アレン・ベントン(2018)『高機能アルコール依存症を理解する』水澤都加佐訳,星和書店.
・スコット・D・ミラー,インスー・キム・バーグ(2000)『ソリューション・フォーカスト・アプローチ アルコール問題のためのミラクル・メソッド』白木孝二・古関哲郎・田中ひな子・高工弘貴・於保明子訳,金剛出版.
・三森みさ(2020)『だらしない夫じゃなくて依存症でした』時事通信社.
・ミック・S(2018)『アルコール依存症に負けずに生きる−経験者が語る病理の現実と回復への希望−』ナカニシヤ出版.
・森岡洋(2016)『よくわかるアルコール依存症 その正体と治し方』白揚社.
・横山顕(2017)『お酒を飲んで、がんになる人、ならない人』星和書店.
・米田栄之(1999)『アルコール依存症』星和書店.

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