気分一致効果とは

気分一致効果とはコラム
コラム

気分一致効果とは

気分の良いときは物事の良い面が悪い時は悪い面が見えやすくなる!

心理学で有名な理論の一つに「気分一致効果」と呼ばれるものがあります。気分一致効果は誰しもが日常の些細なことで経験していると言えるでしょう。

私たちには感情があって、良い気分の時はポジティブな感情を感じていますよね。それがずっと続けば良いのですが、様々な事柄により、不快な気分になってネガティブな感情を感じてしまうこともありますよね。この気分一致効果を簡単に説明すると気分の良いときは物事の良い面が見えやすくなるのですが、逆に気分の悪い時は物事の悪い面が見えやすくなる、ということを示しています。つまり、人はその時の気分や感情に見合った情報や事柄に目を向けやすくなる、ということです。

目の前のできごとも、気分で感じ方が変化

まず目の前の状況の判断はその時の気分に影響されます。例えば、満員電車で人がぶつかってきた時に、嫌な気分の時にはイラっとしてその人に悪意があるように思えてしまうのに対して、気分の良い時には「大丈夫ですか」と声をかけたり、その人がよろけて転んだりしないか心配になってしまう、ということはないでしょうか。

他にも、街中で仲の良さそうなカップルを見ると、自分自身が恋人と別れたばかりで辛い気持ちでいる時は、イライラするかもしれませんが、恋人とうまくいっていて楽しい気分でいる時には、幸せそうでいいことだなあと思うでしょう。

客観的には同じ経験でありますが、私たちはその時の気分に応じた評価をしてしまいがちです。

過去を思い出す時も、その日の気分に似た記憶が引き出されやすい

また、過去の記憶に関しても気分一致効果が働くとされています。何か嫌なことがあった時、過去の同じような失敗や言われて嫌だった言葉を思い出し、あの時この時もこうだった、やっぱり自分はダメだ…と自分を責めて余計落ち込んでしまったことはありませんか。

私自身、仕事や育児が続いて疲れ果てていると、暗い気持ちになって、「自分勝手ね」「いいとこ取りね」「自分のことばっかり」など過去に誰かに言われた嫌な言葉を思い出して、さらに気持ちがふさいでしまうことがあります。過去のことを思い出す際にも、その時の気分に似たような時のことが思い出されやすいと言われています。

未来の予想も、その時の気分に左右される

将来に関しても、良い気分の時の方が好ましい未来が起こると推測し、悪い気分の時には好ましくない未来が起こると推測するそうです。

自分が将来離婚する確率を予想する実験では(Mayer&Hanson, 1995)、ポジティブな気分の時にはその確率は低く予想され、ネガティブな気分の時には高く予測されました。

身近な例で言うと、我が家は子どもが2人になったのでそろそろ広い部屋に引っ越そうと考えているのですが、天気の良い休日に緑に囲まれた公園でゆったりした後だと、夫は「状況もその都度変わるし、きっと広くていい立地の気に入る家が見つかるよ」とかっこいい割高な物件をネットで見つけ、週の後半になって仕事で嫌なことが続いたり疲れていると「どうせ物件なんてどれも高いままだろうし、うちなんかには小さくてイマイチな立地の安いところしか見つからない。」とやけに古びた割安な物件ばかり見つけていることがあります。実際には予算や条件は決まっているので、いろんな物件が出てくるのを待ち、冷静に判断すればいいのですが、気分によって描く未来もがだいぶ変わってしまうようです。

確かにいいことがあったあとだと、きっとこのあともうまくいくに違いないと前向きに考え、自分が成功するイメージが湧きやすいですが、自分が何か嫌な思いをした後だと、どうせこの後もいいことなんて起こらないなど苦しい未来を想像しがちですよね。

気分一致効果現在の状況判断だけでなく、過去を思い出す際にも、未来を予測する際にも働くようです。

では気分一致効果に振り回されず自覚的にうまく付き合っていくためにはどうしたらいいのでしょうか。ポジティブ、ネガティブのそれぞれの気分一致効果の一側面について、じっくりと検討していきましょう。

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日常生活で活用できる気分一致効果

頼みごとのときは相手がポジティブな状態か見極めよう

気分が良い時にはどのようなことが起こるのでしょうか。アイゼンらの実験では(Isen et al,1978)実験参加者に少額のプレゼントを渡すことでポジティブな気分を誘導し、参加者がその直後に別の人から消費者アンケートの依頼を受けて商品の評価を行ったところ、プレゼントをもらってポジティブな気分の参加者の方が、ニュートラルな気分の参加者に比べて、商品をより好ましく評価したそうです。また初対面の人にも、気分が良い時の方がより肯定的な評価をするようです。

気分一致効果のおかげで、気分がいいと物事や人に対してよりポジティブに思うことができるのですね。ということは、大事なプレゼンや、頼みごとがある時は、相手に良い気分になってもらうと成功率が上がるということです。相手の機嫌が良いタイミングを見計らうと、物事がうまく進む可能性が上がります。

通販番組・恋愛・仕事での気分一致効果

テレビの通販番組ではそれを活用して、楽しい雰囲気でテンポよく、声もハキハキとして、観客のおお〜という歓声も聞こえてきて、観ている側を明るい気分にさせていますね。

恋愛ではよい雰囲気のレストランや夜景の綺麗な場所を歩くなど、相手が良い気分を感じるような状況を経て告白するとうまくいく可能性が上がるかもしれません。

仕事でも、上司に頼み事をする時は、飲み会の席で気分良く盛り上がったとき、美味しいランチを食べて満足な時、部署内でプロジェクトを成功させた後など、気分が上がっている時に言えば、快く引き受けてもらえるかもしれません。

天気も気分一致効果に影響

少し補足ですが、人は天気によっても影響を受けているようです。

シュワルツらの実験では(Schwarz&Clore, 1983)晴れて天気の良い日と、雨で天気の悪い日に電話でのインタビューをしたところ、天気の良い日の方がポジティブな気分になっているため、生活満足度が高く天気の悪い日悪く評価されたそうです。

しかし、今度は「そちらの天気はどうですか」と回答者に尋ねて、その日の天気に注意を向けさせてからインタビューに答えてもらうと、天気の良い日と悪い日の生活満足度の評価の差は無くなったそうです。つまり、天気に注意を向けていないときは、回答者の判断は天気の影響を受けましたが、天気に注意を向けた場合の回答は天気の影響を受けなかったのです。

言い換えれば、自分の気分が天気に影響されていると自覚した場合には、気分を判断の手がかりにせず、気づかない場合は気分を判断の手がかりにしてしまうそうです。天気のいい日は相手の気分がいいかもしれないので、こちらもしっかり言いたいことを伝えていけばよく、雨の日や嵐の日に商談や大事な話がある場合、あらかじめ天気について話しておくと、少し悪い影響を減らすことができそうです。

天気だけでなく、相手の気分にマイナスな影響がありそうな出来事が事前にわかっていれば、「あれはひどかったよね」「大変だったね」とあらかじめ言葉にして伝えてみると、相手の中で自覚されて、その後の話が少しスムーズになることがあるかもしれません。

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ネガティブな気分から抜け出すには“行動”あるのみ

自己注目”による負のループ

ネガティブな気分の時は、気分一致効果のせいでマイナスなことばかり考え、似たような過去を思い出してしまう…そんな負のループから早く抜け出したいですよね。

そういった時には“自己注目”という現象が起きているそうです。自分に注意が向いた状態のことで、自分の行動が適切か意識し、自分の理想や基準と比較して、あれもダメこれもダメと、どんどん自分に引き算をしまうのだそうです。それが続くと自尊心が下がることにもつながります。自己注目が強い状態で、何か悪い出来事に遭遇すると、その原因を自分のせいなのでは…と自分に関連づけたり、自分を責めやすいのです。さらに出来事が終わった後も、頭の中で何度も同じ場面や気持ちを反すうしてしまい、自分に対するダメ出しを続けてしまう…自己注目はマイナスな気持ちを継続させ、深めてしまうことになるのですね。

自己注目から抜け出すには?

では自己注目から抜け出すにはどうしたらいいのでしょう

ポジティブな人は、自分の内側ではなく“外”に注意が向いている傾向があるそうです。確かにポジティブな友人を思い浮かべてみると、いつもどこかに出かけていたり、友人と会っていたり、趣味を楽しんでいたり、外に向けてどんどん行動を起こしているのではないでしょうか。

急にそんな風にはなれなくても、自分の好きな本を読む音楽をきく映画をみる部屋の掃除をするなど、小さくていいので何か行動を一つやってみましょう

私の場合は、お気に入りの南国の写真集を開いてみたり、小さい頃から好きなアニメ映画をみたり、サイクリングやプールに出かけるといい気分転換になります。最近ではマインドフルネスも注目されていて、YouTubeなどで簡単に動画に触れることもできますが、マインドフルネスは呼吸に意識を向けるため、自己注目のループから抜けて、不安や憂うつな気分を弱め、落ち着き、集中力を高めると言われています。私自身も時おり実践しますが、頭も心もクリアになって、自分自身にふと立ち返るような実感があります。

ネガティブ気分の時は、自己注目の負のループに陥っていることにうまく気づいて、なんでもいいので行動”することで脱却していきましょう

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気分に振り回されず、うまく付き合っていこう

日常的に自分の気分のチェックを

ここまで気分一致効果について色々な側面から見てきました。普段あまり意識しない“気分”ですが、過去・現在・未来すべてに対して影響があるなんで驚きですね。

良い気分を活用し、何か頼みごとをする時に相手をポジティブにする、あるいは明るい気分の時を見計らうことで成功率を上げることができます。また悪い気分に振り回されないためには、何か行動を起こすことで、ネガティブ気分が大きくなるのを防ぎ、前向きになることができます。

ぜひ日常的なセルフマネジメントとして、自分自身の今の気分はどうかと自問自答してみましょう

自分の気分がよくわからない時には?

気分がよくわからない時は、「天気に例えるとどんな気分だろう?」と自分に問いかけるとわかりやすいかもしれません。

気分が良い時は「今日は外が晴れて気持ちよくて自分も調子もいい。新しいことに挑戦してみようかな。」とチャレンジの原動力として活用する、「気分がいいからちょっと楽観的に考えすぎたかも。一旦落ち着こう。」と客観的に立ち返る、気分が悪い時は「今は気分が最悪だから将来のことを考えるのをやめよう。」と冷静な判断ができる、「ちょっと気分転換に公園でも歩こうかな。」と行動を起こすなど、気分を活かしながら、自分らしく生きていけるのではないでしょうか。

気分に振り回されるのではなく、自分にも他人にも活用しながら、一生うまく付き合っていきたいものですね。

■参考文献■
・池上貴美子・五十嵐早貴 (2010)「自己関連語を用いた気分一致効果に関する自尊感情の検討」金沢大学人間社会学域学校教育学類紀要,2 ,1-104.
・伊藤美加(2000)「気分一致効果を巡る諸問題―気分状態と感情特性―」心理学評論,43-3, 368-386.
・伊藤美加(2000)「気分一致効果研究における方法論上の問題」京都大学大学院教育学研究科紀要,46,196-208
・池田謙一・唐沢穣・工藤恵理子・村本由紀子(2020)『補訂版 社会心理学』有斐閣.
・坂本真士(1998)「自己注目と抑うつ−抑うつの発症・維持を説明する三段階モデルの提起―」心理学評論, 41-3, 283-302.
・矢澤久史(2000) 「認知における気分一致効果に関する研究の展開」東海女子大学紀要,20,105-116.

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