家と外では顔が違う?人の二面性について

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城川 光子

公認心理師・臨床心理士・産業カウンセラー試験合格。心療内科クリニックでのカウンセリング、小学校スクールカウンセラーなどを経験。
2児の母として子育てをしながら、「心理資格ナビ」の記事監修も担う。

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家と外では違う顔…人の外面と内面について

あなたは、家と外で全く同じ態度や言動をとっているでしょうか?

きっと多くの人が、多少なりとも「家と外では違う顔を持っている」と感じるのではないかと思います。少し昔に、『干物女』というフレーズが流行りました。会社ではテキパキと働く女性なのに、家ではダラダラとジャージのまま1日の大半を過ごしている‥というギャップを持った女性が主人公のドラマから生まれた言葉ですが、多くの女性から大きな共感を呼び、話題になりました。

この「干物女」のように、会社ではバリバリ働くような人でも、家ではベッドから一歩も動かずにダラダラしている‥といったような人も多いのではないでしょうか。

多くの人は「内」と「外」で自分を変えている

このように、多くの人は、「内」と「外」で自分を変えています

心理的に考えると、「外」と言われる社会で、良い人やデキる人を演じていたり、他人に気を遣いすぎていたり、成果や良い評価・業績を得ようと頑張っている人ほど、「内」と言われる家では、素の自分が出やすくなる傾向があります。家が安心・安全な場所だと心が認識していると、ホッとして、外で付けている仮面を外すことができるのです。

仮面を外す安全な場所があるからこそ、また社会で頑張ることができるので、内と外で顔が違うことは一概に悪いことではありません

子どもでも「内」と「外」での顔が違うことも

小学生くらいの子どもでも、内と外では顔が違うといったことがあります。

たとえば、家ではうるさいくらい元気で走り我儘もそれなりに言うのに、学校ではおとなしくなるケースもあります。これは、家が安心であると感じているからこそ、本来の自分を自由に発揮できているのです。

先生が親と面談すると「先生、うちの子は家ではわがまま放題ですが、学校ではちゃんとやれていますか…?」「学校ではしっかりした態度で勉強していますし、お友達とも仲良くやれていますよ」「そうなんですか!驚きました」といった風になるでしょう。

家では真面目、学校では問題行動というケースも

逆に問題なのは、家では真面目で親の言うことを聞くしっかりした子どもなのに、学校では陰口を言ったり友達によく意地悪をする、といったケースです。家を安心・安全な場所だと感じられていないので、溜まってしまったストレスを学校で発散してしまっています

それだと「先生、うちは厳しくしつけていますが、家ではいい子ですよ。学校で問題行動を起こすのは先生が甘いからではないですか?」「こちらとしてもしっかり指導しているのですが…」と、いうやりとりになりがちです。

このような場合は、親が子どもに対する接し方を変えていくことがポイントになるかと思います。

このように、小さな子どもにでもある外面と内面。大人にだってあって然りです。しかし、夫婦問題に発展してしまうケースもあるので、少し考えたいと思います。

二面性が夫婦問題に発展するケース

外では優秀な人が、家ではモラルハラスメントという例も

例えば、結婚したパートナーが内と外で全く顔が違うケースを考えてみましょう。

夫が外では、とても優秀で仕事もでき、多くの人から慕われている人物だったとしましょう。しかし家では、妻に対して、暴言を吐いたり、無理矢理にでも自分の言う通りにさせようとするケースは少なくないようです。

このようなモラルハラスメントに直面しても、周りの人は「あの素晴らしい旦那さんが、そんなことをするはずがない」と信じてくれないこともあるかもしれませんね。自分の親や親族にすら、辛い現状を訴えても信じてもらえない‥といったこともあるかもしれません。

相手が外で、あまりに完璧な人を演じてしまっていると、周りもその姿が真の姿だと思い込んでしまうのです。

二面性を持つ人の心理

外で「優秀な良い人間」を完璧に演じようとする人は、実は自分に対しての自己評価が低いケースがあります。

自分自身への評価が低ければ低いほど、周りには「素晴らしい人と思われたい」という欲求が働きます。人に良い評価をしてもらうことで、自分の欠けた自尊心を埋めようとしているのかもしれません。

そうやって、いつもどこかで無理をしてまでも、「良い人」を演じてしまっているので、ストレスが溜まり、家で爆発させるようになってしまいます。

本当に自信をもっている人は、誰に対してもほぼほぼ公平な態度で接します。それは、人からの評価をあまり気にしていないからです。

 もし、結婚した相手のモラルハラスメントで悩んでいる場合は、然るべき機関に相談し、一人で苦しまないようにしましょう

自分の二面性で悩んでいる人は

逆に、「自分の外面と内面のギャップで家族を苦しめているかもしれない」「なぜ家族にはこんなにキツく当たってしまうのだろう」と思う場合は、改善が必要です。

どうしてそこまで人からの評価を気にしているのか、良い人を演じることを頑張ってしまうのか、その苦しい生き方から脱却するためにも、自分の心と向き合うことが大切です。もちろん、カウンセリングを受けてみるのも良いでしょう。

夫婦問題に発展させない秘訣はコミュニケーション

「内」と「外」、両方で頑張りすぎるのはNG

逆に、家で何でもしてくれる良き夫・良き父親のケースはどうでしょうか。

近年では、妻と夫、どちらも同じくらい家事や育児に参加している共働き夫婦も増えましたね。それでもまだ、妻の方が負担が多い夫婦も多いのが実情ですが、そのスタイルもどんどん変わりつつあります。

結婚したパートナーが、家でも何でもしてくれる、仕事も頑張っている、そういう夫婦関係は大変素晴らしいですが、中にはストレスのはけ口が違う方向へいってしまう例もあります。家や仕事で溜まったストレスを、内緒でギャンブルにお金をつぎ込んで借金をつくっていたり、深酒を繰り返すようになったり、あるいは別に好きな異性を作ってしまうケースもあるようです。

ギャンブル、アルコール、異性など、何かに依存することで短期的にはストレスを発散しているようで、長期的には家庭が壊されてしまう恐れがあります

頑張りすぎない環境を作る

こうならないためにも、家では頑張りすぎない環境をつくることが大事です。家が安心・安全な場所であるからこそ、ストレスを発散できるようになります。

家でも頑張らなきゃいけない環境だと、やはりどこかで無理が生じてしまうので、ストレスが蓄積されていきます。 ストレスを蓄積して夫婦問題に発展させないためにも、家では「ほどほどに」が重要ではないでしょうか。

家事を休む日を週に1日作り、ご飯も出前や外食にする。育児もほどほどにして頑張りすぎないようにする。お互いのテキトーな面や部屋の散らかりっぱなしを許す。そういったルールを夫婦の間で決めるコミュニケーションをとってみても良いかもしれませんね。

夫婦で衝突したときは

しかし大抵の場合、どんな夫婦でも、『自分のやり方』を通そうとして喧嘩になったり、争いが起こることもあるでしょう。全く違う環境で育った人間同士が夫婦になるということは、考え方も感じ方も違って当然なので、その分、衝突もあって当たり前です。

しかし、喧嘩や衝突をそのままにして、どちらかのやり方だけを重視するのではなく、お互いが折り合いをつけるやり方を模索していくことがベストです。

どちらかだけが我慢してしまう状態だと、我慢している方も、それを見ている方も、やはりストレスが溜まっていき悪循環になってしまいます。

折り合いをつけるための具体策

言いたいことをぐっとこらえてしまう癖があるのであれば、紙に書いて整理してから、雰囲気のいいときに要点を伝えてみる、難しければ手紙やメールに書いてみるのもいいですし、反対に言いすぎてしまっているのであれば、相手がどんなことを考えているのか改めて聞いてみるといいかもしれません。

アサーションという考え方がありますが、自分の気持ちも相手の気持ちも両方大切にしながら、相手を傷つけないよう配慮しつつ、率直に伝えてみることが重要だとされています。

日ごろからのコミュニケーションが何より大事!

何より日頃からのコミュニケーションはとても大事になります。夫婦間でのコミュニケーションが上手にできていると、家はより安心・安全な場所となって、家族のオアシスのような場所になります。オアシスで羽を休めることができるからこそ、社会で活躍したり、外で頑張れるようになり、好循環になっていくことでしょう。

挨拶すらなければまずは挨拶から、最近どんなことがあった、どんなことを考えているか、など夫婦で「コミュニケーションをとる時間」を意識して作ってみてはいかがでしょうか。

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