心理師の先生に独占インタビュー!資格の勉強方法や活かし方などを聞きました!

公認心理師にインタビュー 公認心理師
公認心理師

本ページでは、公認心理師などの心理資格を活かしてご活躍中の城川光子先生へのインタビューをご紹介しています。

心理の資格に興味があるけど、どの資格を取得しようか迷っている」
「資格を取るためにどのように勉強したのか気になる!」
「資格取得後にどんな仕事就けるのだろう?」

など、心理の資格や仕事に関心のある方は参考にしてみてください。心理資格を目指す方へのメッセージもあります!

充実した内容になっておりますので、ブックマークなども活用しながらぜひ最後までご覧いただければと思います。

城川 光子先生のご紹介

今回インタビューをさせていただいたのは、当サイト監修者であり、心理の資格を活かしてご活躍中の城川 光子先生です。まず初めに、簡単ではございますが城川先生のプロフィールをご紹介させていただきます。

◇城川 光子先生 プロフィール◇

城川 光子
1985年、東京生まれ。私立渋谷幕張高等学校、上智大学文学部、関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻。

公認心理師・臨床心理士・産業カウンセラー試験合格。都内の心療内科クリニックでのカウンセリング、公立小学校でのスクールカウンセラー、ニート・引きこもりの就労支援施設でのグループワーク等を経験。

「全ての気持ちがあなたの大事な一部」をモットーに、本人の気持ちに寄り添ったカウンセリングを心がける。二児の母でもあり、5歳と1歳の息子たちを前に、怒ったり落ち込んだりする自分と悪戦苦闘している。

それでは、さっそく城川先生にお話を伺っていきましょう!

Q1.城川先生はどんな心理関連の資格をお持ちですか?

A.公認心理師など、複数の資格を取得しました!

公認心理師臨床心理士の資格を持っています。産業カウンセラーは試験合格しております。また、森林セラピーを実施する森林セラピストも取得しています。

Q2.臨床心理士になろうと思ったきっかけはどのタイミングですか?

A.きっかけは、学生時代のアルバイトです!

「そちらの仕事は…楽しいですか?」アルバイト先でこう聞かれたことが、臨床心理士になるきっかけです。

大学1年生の時に、組織人事コンサルティングの会社でアルバイトをし、新人研修や管理職研修などの研修アシスタントをしていました。名だたる大企業ばかりをめぐるので、ちょっと就活先取りのような、社風というか人に惹かれるような会社に巡り合わないかなーと期待をしていました。

ところが、目の当たりにしたのは覇気がなく疲弊した方々…。もちろん日々忙しい仕事の合間を縫って研修に来ているのですから、あまりモチベーションも上がらないのもわかります。その中で研修の合間の休み時間に参加者の方に言われたのが冒頭の一言です。

「働く人への支援」を意識するように

当時アルバイトしていた会社はベンチャーで、社内もやる気に満ち溢れていると評判でしたから、そう聞かれたのだと思います。私には、目の前のその方は何か見えないものに縛られていて、なにか…もがきたい、やりがいをもって楽しく働きたい、ワクワクして人生を送りたい、そんな風に聞こえたのでした。

私の目標は「行きたい企業を見つける」から「働くこと自体を支援する」にシフトしましたその会社で働きつづける、転職してキャリアアップする、休職した方を復職できるよう支援する…どんな形でも、その方の次の一歩を応援したいと思ったのです。

当時の研修講師から、日本でカウンセラーをやるなら臨床心理士が必須だと聞き、心理系の大学院に行くことを決意しました。

文学部から、臨床心理士の道へ

もともと人の話を聞くのが好きでいくらでも聞いていられたり、クラスでもいろんな人と中立的に付き合いがあって話を聞く機会が多かったり、3人兄弟の末っ子でまわりをよく観察するタイプで他人の細かい変化に気づいたりなど、今振り返れば今の職につながるかなあと思う側面はあります。

入学したのは文学部だったため、臨床心理士になると決意してからは、心理学部の授業を履修と聴講で学べるだけ学びました。文学部はフランス文学科でしたが、精神分析観点から物語を読み解く研究をし、心理学の知識を増やすようにしました。

大学院受験では、専門職大学院という実践家育成のコースが自分に合っていると思い、その大学院の教授の著作や論文を読み、専門分野を徹底的に勉強しました。筆記は選択肢を選ぶものも多かったと思いますが、見直しを何回も行い、最後に間違いを見つけて訂正できたりと、自分なりに必死に頑張りました。

※編集部コメント
臨床心理士は心理系資格の中でも知名度の高い民間資格です。1988年に資格認定を開始して以来長年の実績があり、心理カウンセラーの求人情報でも臨床心理士を応募資格としているところが多くなっています

長らく、心理系の資格といえば臨床心理士、といった状態が続いていましたが、2017年には新しく公認心理師という心理の国家資格ができました。

城川先生がご卒業された関西大学大学院は現在は臨床心理士育成の専門職大学院を終了しており、公認心理師育成の心理学研究科心理臨床学専攻(博士課程前期課程)にカリキュラムを変更しています。

Q3.公認心理師の資格を取ったきっかけを教えてください!

A.「国家資格」の信頼感や安心感が高かったことです!

公認心理師になろうと思ったきっかけは、まさに心理職待望の国家資格だったからです。

今まで何度か心理資格の国家資格化はチャンスがあったものの法案が流れてしまったり、「臨床心理士って何?」と聞かれて知名度の低さを感じるとちょっぴり切なかったこともありました。そのため、国家資格の信頼感安心感というのはあったと思います。

何より、現在は5歳と1歳の息子の世話がメインになっているのですが、子育てが落ち着いたらまたスクールカウンセラーもやりたいと思っていましたし、医療機関で働く道も残しておきたかったので、受験することに迷いはありませんでした!

ただ、大学院の単位で認定されるDルート(※)では、まさかのあと1単位足りず、第1回の試験を受けることはできませんでした。悔しさをバネに、以前働いていた心療内科でのカウンセリングの仕事を再開し、5年の実務経験で受験可能なGルート(※)の条件を満たし、第2回の試験を受け、無事に合格しました。

※編集部コメント
公認心理師になるためのルートについては「公認心理師とは?」 のページで解説しています!

Q4.産業カウンセラーの資格を取ったきっかけを教えてください!

A.臨床心理士を目指すきっかけが「働く方の支援」だったからです!

もともと臨床心理士になるきっかけが働く方の支援をしたいためだったので、産業臨床に興味がありました。その流れで臨床心理士の資格取得後に産業カウンセラー取得を目指しました。

当時は大学院の単位と、所定の土日研修で受験資格が得られたのですが、その研修は参加者の方もモチベーションが高く、講師の先生も大変なベテランで、コメントがとても深く勉強になるんです。高い洞察力と人としての慈愛に満ちた方でした。徹底的に傾聴について、理論ではなく体験で学べたことは何よりの財産だったと思っています。

Q5.取得した資格で就いた職業と仕事内容を教えてください!

主に下記の4つの仕事を経験しましたので、それぞれご紹介いたします。

1.心療内科・精神科クリニックでのカウンセリング

心療内科精神科クリニック30分枠または60分枠のカウンセリングを担当しました。

来院される方は高校生から高齢者の方まで幅広く、お薬なしでカウンセリングだけという方から、入院を繰り返すような病態の重い方までさまざな状態の方にお会いしました。

一番多いのは会社での過労やハラスメントなどによる抑うつ状態の方の休職や復職を支援することでした。しかし、それだけでなく親子問題、パートナーシップなどの人間関係、不登校、不安障害、発達障害、うつ病、解離性障害、境界性パーソナリティ障害、統合失調症など多岐にわたる精神疾患や悩みを聞く経験を積みました。

ここでの経験で、病態の水準や支援の方向性などを見極める心理師としてのベースを培いました。 また、元々の目標であった働く人の支援は、カウンセリングでの復職支援という形で、じっくり取り組めたことも良い経験となりました。

2.公立小学校のスクールカウンセラー

公立小学校のスクールカウンセラーを2校担当しました。スクールカウンセラーは1校につき週1度の勤務で、1日の過ごし方がは特に定められていませんでした。そのため、最初は戸惑いましたが、先生方や子どもたちとたくさん接触して信頼関係を築いていくうちに、勤務の流れができていきました

例えば私の場合は、 下記のような流れで仕事をすることが多かったです。

スクールカウンセラーの仕事-1日の流れ
朝~午前中
先生と打ち合わせをし、保護者や不登校の生徒との面談1~2件。
休み時間
子どもたちが自由に相談室に来てゆったりしたり、友だち関係の相談をしていったり。必要に応じて先生にもお伝えして、個別相談の時間を設けてじっくり話を聞く。
午後
もう1件面談。終わったら先生方と何人かお話しして現状を把握し、最後の報告書を書く。

面談がない時間は校内を巡回して授業を見たり、低学年の授業のお手伝いをしたり、給食を一緒に食べるなどをしました。先生方の職員研修を行ったこともあります。また、相談室に気軽に来てもらえるよう、6年生の全員面談も実施していました。

スクールカウンセラーの動き方や業務内容は、管理職の方針や学校の校風によってもかなり変化すると思います。

大人のカウンセリングがしたくて心理職になったものの、クリニックで自尊心の低い大人の方に会うことが多く、なかなか変化が難しいケースもあり、「もっと早い時期からの支援もしてみたい」と思うようになりました。子どもたちは変化が早く、とても多くのことを吸収してくれて、少しだけ本人や保護者に関わるだけで大きく状況が変わるといったことに驚きました。

もちろんなかなか変化のないケースもあるのですが、様々な形で働きかけをやめないことが重要であることも学びました。

学校現場はいじめ、不登校、発達障害、学力不振、学級崩壊など、問題は尽きません。子どもたちのためにも、先生方のためにも、スクールカウンセラーはこれからも現場に必須の存在だと思います。

3.地域若者サポートステーション

ニート・引きこもりの若者の就労を支援する地域若者サポートステーション、通称「サポステ」。

私が働いたサポステでは、利用者さんとの就労に関する面接は主にキャリアコンサルタントが行っており、臨床心理士としては就活で疲れた方のメンタルケアや、精神疾患などがある方を医療機関や福祉機関に紹介するリファー業務、利用者さんのグループワークの一つを担当していました。

リファー業務はクリニックでの経験が役に立ち、発達障害、知的障害、うつ病、不安障害など、診断するのはもちろん医師なのですが、適切な社会資源を探して連携を取ることができたように思います。

グループワークでは自己主張訓練と言われるアサーションや、家にいる時間が長いとどうしても体が凝り固まってしまうのでリラクゼーション、また主体的に自分のキャリアを考えるキャリアワークなどを行い、心身の状態を整えてもらい、就労に向けた支援をしていました。グループワークは初めは苦手意識がありましたが、やってみるとたくさんの参加者と触れ合えて、また参加者同士が良い影響をしあうことがわかり、とてもダイナミックで効果の高いものだなという実感がありました。

4.外部EAP機関

こちらは臨床心理士の資格取得前の1年間、面接や検査などはせず、電話受付や資料作成などアシスタントとして働きました。外部EAP従業員支援プログラム)は働く人のメンタルヘルスを支えるための企業で、カウンセラーが複数常駐しています。

匿名で電話やメールで気軽に相談でき、ハラスメントを含む人間関係の相談や、休職・復職の支援、医療機関の紹介などを行います。それだけに限らず、ワークライフバランスやキャリアデザイン、ダイバーシティなどのコンサルテーションも実施しています。

一般的にあまりイメージがわかないかもしれませんが、外部EAPのニーズは高く、カウンセラーさんたちは常に電話やメール、あるいは直接の面談が入っており、それに企業報告や別の企画も同時進行で進めており、とても充実しておられました。私自身は電話やメール、エクセルなどのビジネスの基本対応、心理検査の所見の執筆や、心理学のコラムを書くことなどを学びました。

領域をまたがった経験が有意義に

こうして振り返ると、医療、教育、産業と領域をまたがった経験を積めていて、それは相互に関係しあうので、とても有意義なことだと思います

非常勤の組み合わせだと社会保障面では確かに不安定ですが、次の就職の際にもどこかは関連するので、無駄なことは一つもないというのが実感です。

まだ子供2人も小さいので今後も非常勤メインで働くと思いますが、落ち着いたら常勤職も考えたいと思っています。

Q6.試験対策の勉強はどのように行っていましたか?お仕事をしながらですか?

公認心理師の試験対策→過去問と模試の有効活用がカギ!

公認心理師の試験対策では過去問模試を徹底的に解きました。特に過去問はとにかく3回解くように知人から言われたのですが、実践して正解でした。

最初は知らない問題ばかりで範囲の広さに打ちひしがれるのですが、ある程度勉強が進んで、複数回解いてくると、単純に知識を問われているのではないことがわかります。問題の考え方がわかってくるとでもいいましょうか。それがあって、当日分からない単語が出ても慌てず、終始冷静でいることができました。

模試は2回セットのものを受けましたが、模試のいいところはブループリント(公認心理師試験の範囲)を綺麗に網羅していることです。さすが予備校ですのでモレがなく、復習をしっかりやれば知識面ではかなり詰められると思います。

勉強するのに主に参考にしたのは、ネット上で1問ずつ解説してくれているページと、公認心理師試験対策の各項目が説明されているタイプの参考書です。

出産直後の試験で大変なことも…

実は試験は、第2子を産んでちょうど1ヶ月だったので、睡眠もままならないままで体力的にキツかったのを覚えています。抱っこで寝かしつけながら、過去問を解いてました。

それでも私は妊娠中は長時間座っている姿勢がキツかったですし、全然集中力が無くなってしまうタイプだったので、産後でよかったと思います。家族も勉強時間の確保に協力してくれて、大感謝です。

臨床心理士の試験対策→過去問を5年分!

臨床心理士試験もとにかく過去問を解きました直近5年分を主に解き、苦手意識のある統計やロールシャッハなどはより過去に遡って問題を解くようにしました。問題集も一冊決めて2回ほど解き、時間があるときは心理臨床大辞典(有斐閣)を読み込んで知識の補強に努めました。

試験前1ヶ月は仕事が休みの日はずっと勉強していたのを覚えています。

産業カウンセラーの試験対策→通勤時や休みの日に勉強!

産業カウンセラー試験は、仕事を週5でしている時期でした。仕事の通勤時の電車や休みの日を活用して、産業カウンセラー学会が発行する過去問集3回ほど解き、テキストや講座の資料を読み返していました。

Q7.これから心理臨床の現場で働きたい、資格取得を考えている方々へメッセージをお願いします!

A.ぜひ自分の信じた道を歩んでください!

心理臨床は本当にやりがいのある仕事です。目の前の方が自分の生きたい方向を見つけて変わっていく瞬間は何にも変えがたいものがあります

他にも、相談者さんが自分でも気づかなかった奥にある気持ちに気づいたとき、やれなかったことに挑戦したとき、行けなかったところに行けるようになったとき、周りに合わせてばかりの方が自分自身の気持ちを見つけたとき、そんなときはこちらも本当に嬉しく、ありがたい気持ちになります。

ただ、もちろんそんなことばかりではないのです。変わらない苦しい状態を一緒に耐えたり、支援の言葉が全く意味ないと返されたり、時には罵倒されたりもします。精神力を使うので、心の体力も必要です

やりがいも、苦しさも両方あるけれど、やっぱり人の役に立ちたい、話を聞きたいと思えたら、ぜひ自分の信じた道を歩んで行ってください

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