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臨床心理士とは

更新日:2020/07/08

日本の臨床心理の分野において権威ある民間資格です。

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長年、日本の心理業界を牽引してきた臨床心理士は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格です。1988年から資格認定が始まり、2019年には37,249名になっています。臨床心理士指定大学院卒業ののち、筆記試験と口述試験をパスし、登録することで認定されます。
臨床心理士資格認定協会によると「臨床心理士は、人(クライエント)にかかわり、人(クライエント)に影響を与える専門家です。しかし、医師や教師と異なることは、あくまでもクライエント自身の固有な、いわばクライエントの数だけある、多種多様な価値観を尊重しつつ、その人の自己実現をお手伝いしようとする専門家なのです。(『公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会HP』より引用)」とあります。一人ひとりに徹底的に寄り添い、その方の方向性を支援していくことが、臨床心理士の核と言える部分かもしれません。
臨床心理士の資格取得をすることで、臨床心理学に基づく知識や技術を用いた臨床心理査定(アセスメント)、臨床心理面接(カウンセリング)、臨床心理的地域援助(コンサルテーション)調査・研究、などの業務ができるようになります。活動領域は、教育や医療、保健、福祉、司法、産業など多岐に渡っているため、幅広い分野での活躍が期待されています。

以下より、臨床心理士の資格取得するまでの流れや試験内容、受験資格などを紹介していきます。

臨床心理士の資格取得をするには?

臨床心理士試験の受験資格をクリアし、試験合格・資格登録が必要!

臨床心理士の資格取得するには、以下のステップをクリアする必要があります。

1. 受験資格を得る

2. 試験(資格審査)に合格する

3. 資格認定証書の交付手続きと登録をする

受験資格に『特定の大学院卒業』という条件がありますが、大学で心理学を専攻していなくても受験することができます。また、試験合格が資格取得ということではありません。臨床心理士の資格認定、日本臨床心理士名簿一覧に登録されて、はじめて臨床心理士の資格取得となるのです。


臨床心理士試験の受験資格は?

指定もしくは専門職大学院の修了は必須!

試験の受験資格を得るためには指定もしくは専門職大学院の修了が必須で、3つのパターンに分けられています。

1. 第1種指定大学院を修了する
ある指定大学院(2017年4月1日時点で全国に159校あり)を修了すると、直近の試験から受験が可能です。

2. 第2種指定大学院を修了+心理臨床経験1年
第2種指定大学院(2017年4月1日時点で全国に9校あり)を修了した場合、実務経験1年あれば受験資格が得られます。

3. 諸外国で上記と同等の教育歴+日本国内での心理臨床経験2年
あまり該当者はいないと思いますが、気になる方は問い合わせましょう。

4. 臨床心理士養成のための専門職大学院を修了する
研究科名はさまざまですが、専門職大学院(2017年4月1日時点で全国に6校あり)で臨床心理学専攻などの専門職学位課程を修了後、直近の試験から受験が可能になります。

5. 医師免許取得者で、取得後に心理臨床経験2年以上ある方

※心理臨床経験について
教育相談機関、病院などの医療機関、心理相談機関などでの心理相談員やカウンセラーとしての経験を指します。有給を原則としているので、ボランティアなどの活動の場合は、心理臨床経験とは認められません。

『第1種指定大学院を修了』のルートが、これから臨床心理士の資格取得を目指すうえで一番オーソドックスなルートと言えるのではないでしょうか。

第1種指定大学院と第2種指定大学院の違い

●それぞれに該当する大学院数の違い
それぞれに該当する大学院数は2017年4月1日時点で、第1種指定大学院は159校、第2種指定大学院は9校となっています。第1種指定大学院がの方が圧倒的に多いのが現状です。

●実習施設で実践的な面接を行えるかどうかの違い
実習施設での実践的な面接を行えるかどうかの違いはあるかもしれません。
第1種指定大学院の場合、学内に実習施設があり担任教員の元で実際に相談者との面接することができます。一方で第2種指定大学院の場合は、学外の施設で実習を行わなければいけないこと(学内に実習施設がないこと)が多く、実践的な面接を行える機会は少ないようです。

指定大学院と臨床心理士専門職大学院の違い

●養成目的の違い
指定大学院は通常の大学院と同じく研究を行うことが必須であり、研究者養成を目的としています。対して専門職大学院は、専門的な知識や実践経験を増やし、実践家を養成するのが目的です。どちらの目的に沿った知識・スキルを習得していくかによって、選択先は決まるのではないでしょうか。一般的に学生の方は指定大学院に、社会人の方は専門職大学院に入学することが多いようです。
ちなみに専門職大学院では、修士論文は必須ではなく臨床心理士資格試験(1次試験)の際の小論文が免除されるという違いがあります。

臨床心理士の試験日・内容は?

筆記試験(10月)、口述面接試験(11月)で実施されている!

まずはじめに、臨床心理士試験は「試験」ではなく「資格審査」と呼ばれています。当サイトでも「資格審査」として紹介していきます。

臨床心理士の資格審査は、毎年10月に筆記試験(一次)、11月に口述面接試験(二次)に実施されています。
資格審査を受けるには、受験申込受付期間内に手続きを済ませる必要があります。受験される方は、忘れずに余裕を持って手続きされることをおすすめします。尚、受験申請する際の必要書類についても請求期間が決められていますので、こちらにも注意が必要ですね。
以下で、2020年実施分の概要を紹介しますので、目安として参考にしてみてください。

▽【2020年】臨床心理士資格審査の実施概要

項目 内容
資格審査日程・時間 筆記試験(一次試験):
2020年10月17日(土)

口述面接試験(二次試験):
2020年11月7日(土)、8日(日)、9日(月)
受験申し込み期間 2020年7月7日〜2020年8月31日(当日消印有効)
資格審査申請書類請求期間 2020年7月6日〜2020年8月14日
試験場所 筆記試験(一次試験):
東京ビッグサイト
東京都江東区有明3-11-1

口述面接試験(二次試験):
東京国際フォーラム
東京都千代田区丸の内3-5-1
出題数・試験形式 筆記試験(一次試験):
出題数:100題
出題方式:
・マークシートによる「多肢選択方式試験」(150分)
・定められた字数の範囲内で論述する「論文記述試験」(90分)

口述面接試験(二次試験):
受験者個別に時間指定で面接委員2名による口述面接試験を実施。

※注)
筆記試験(一次試験)の「多肢選択方式試験」で、一定水準の成績を満たした方のみ実施となります。
出題内容
(求められること)
多肢選択方式試験:
・心理学についての幅広い基礎知識
・臨床心理士の基本業務(4種)についての基礎的・専門的知識
(臨床心理査定・臨床心理面接・臨床心理的地域援助・それらの研究調査)
・臨床心理士に関する倫理、法律等の基礎知識および基本的な姿勢や態度にかかわる問題

論文記述試験:
・心理臨床に関する1題のテーマについての論述記載
(1,001字以上1,200字以内の範囲内)

口述面接試験(二次試験):
・臨床心理士としての基本的な姿勢や態度、専門家としての人間関係能力
試験データ ▽過去実施の試験データ

受験者数 / 合格者数 / 合格率
◎2015年
2,590人 / 1,601人 / 61.8%
◎2016年
2,582人 / 1,623人 / 62.9%
◎2017年
2,427人 / 1,590人 / 65.5%
◎2018年
2,214人 / 1,408人 / 63.6%
◎2019年
2,133人 / 1,337人 / 62.7%
合格発表日 2020年12月下旬
受験手数料 ※詳細は請求された『受験申請書類』にてご確認ください。

受験申し込みまでの手順は?

受験申請書類を請求し、受験申し込み期日内に手続きを済ませる!

受験申し込みまでの手順を紹介します。

1. 申請書類を請求する。
臨床心理士試験の受験申し込みするうえで、必要な書類を請求する必要があります。尚、上記で紹介した通り請求できる期間(受験申請書類の請求期間)が決められていますので、余裕を持って請求するようにしましょう。

【請求方法】
郵便局備付の振替用紙を用いて、氏名、住所(送付先)とともに通信欄に「申請書類○部希望」と明記し、下記口座へ送金。送金後1週間から10日程で届く予定です。

・書類請求費用: 1部1,500円
・郵便振替口座番号: 00130-1-362959
・加入者名: (公財)日本臨床心理士資格認定協会

2. 書類が届き次第、内容確認し受験手続をする。
受験申し込み期間内に、受験に必要な申請書類の提出、資格審査料(30,000円)の納付をしましょう。手続き後、受験資格の有無が確認され次第、『臨床心理士資格審査受験票』が送付されます。不明点などあれば以下へお問い合わせください。

【資格認定に関する問い合わせ先】
公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会
〒113-0034
東京都文京区湯島 1-10-5 湯島D&Aビル3階
TEL : 03-3817-0020
FAX : 03-3817-5858

臨床心理士の試験合格後にすべきことは?

資格認定書の交付手続きをしましょう。

資格審査に合格しただけでは、臨床心理士とは認められません。
資格認定証書の交付手続きを期日までに完了した人に対して、「臨床心理士」の資格認定証書と、携帯用の身分証明書として、本人の顔写真を貼付した資格登録証明書(IDカード)が発行されます。この手続きが終わって初めて臨床心理士と名乗れるようになります。必ず資格認定書の交付手続きをするようにしましょう。
尚、臨床心理士の資格認定がなされると『日本臨床心理士名簿一覧』に登録されます。

資格認定書の交付手続きの方法の詳細は『日本臨床心理士資格認定協会』にご確認ください。
尚、登録完了後も資格更新制度があり、5年に一度更新手続きが必要です。学会発表や講師参加で4ポイント、司会者や指定討論者で3ポイント,学会や研修参加で2ポイントなどで、計15ポイントが必要です。研修の種類もいくつかの領域にまたがって参加する必要があります。臨床心理士になると、生涯に渡って自己研鑽を続けていく必要があります。この点についても、覚えておくようにしましょう。

臨床心理士資格取得により活躍できる場は?

『教育、医療、福祉、司法、産業など』の分野に活躍の場があり!

臨床心理士の資格取得をすることで『教育、医療、福祉、司法、産業など』様々な分野に活躍の場がありますが、主な活躍の場は学校と病院が挙げられるでしょう。尚、学校と病院で働く心理職員の大半が臨床心理士の有資格者のようですが、今後病院で働く場合には『公認心理師』の資格必須となる可能性も考えられます。
分野ごとに、代表的な活躍の場例をまとめてみました。

教育分野:
スクールカウンセラーとして学校内の相談室などで、児童生徒の人間関係や生活面、学業、発達などの問題に対しての心理的援助を行います。休み時間に誰でも入れる形で自由に相談室に来てもらったり、放課後や先生と取り決めた時間で、一対一でじっくり本人と話すこともあります。
環境が変わることで大きく状況改善する場合もあるので、親や教師へのコンサルテーションなどを行うことも多くあります。

医療・保健分野:
精神科・心療内科の病院や診療所(クリニック)、保健所、精神保健福祉センター、リハビリテーションセンターなどで、相談に来た方の心理的援助を行います。個別のカウンセリングや心理検査のほかに、集団のデイケアやグループワークなどの活動を行うこともあります。

福祉分野:
児童相談所や障害者作業所、老人福祉施設などで、子どもの心身の発達、障害児(者)・高齢者の問題など様々なことに対して、心理検査などによるアセスメントや心理面接、グループワークなどで援助します。

司法・矯正分野:
家庭裁判所、刑務所、少年院などの専門的相談業務を担います。具体的には、処遇を決定する際の心理検査や心理面接などを行います。再犯防止教育も期待されます。

労働・産業分野:
企業内相談室、公立職業安定所(ハローワーク)、障害者職業センター、地域若者サポートステーションなどで、働く上で悩んでいる方の心理支援を行ないます。休職・復職の支援も含まれます。企業内ではメンタルヘルスやハラスメントなど多様な研修を行うこともあります。

臨床心理士の現状・将来性

臨床心理士は1988年の認定開始から20年以上、日本の心理臨床の現場を支え、確実な実績と信頼があります。指定大学院での少人数制でのきめ細やかな教育、さらには生涯に渡って研鑽しつづける5年毎の更新制など、質を保つためのシステムがあります。さらに都道府県臨床心理士会のネットワークなども強みです。
ただし、雇用事情は決して充実しているとはいえないのが現状で、常勤33.8%、非常勤44.7%、常勤+非常勤13.8%といった割合で、非常勤の多さが特徴かもしれません。
平均年収は公開されていないため不明ですが、年収300万円?400万円が全体の20%程度と一番多くなっています。初任給は月収にして20〜22万、非常勤の場合だと時給1,000〜1,500円スタートが相場のようです。日本の女性の給与所得者の平均年収は293万円で、臨床心理士の75%は女性ですので、もしかするとそこまで低いというわけでないかもしれません。
また非常勤というと不安定なマイナスなイメージもありますが、さまざまな領域のキャリアを同時に伸ばしていけるというメリットもあります。個人的な例ですが、心療内科のクリニックでさまざまな精神疾患を持った方のカウンセリングをすることで、ニートの支援団体では必要な方に適切に医療機関を勧めることができたように思います。
また結婚や子育てでライフスタイルが大きく変わっても、非常勤の仕事によって限られた時間を有効に使い、仕事と子育てのバランスを取りやすいということも言えます。
なおスクールカウンセラーの時給は他職種よりも少し高めで、例えば東京都は時給5000円となっています。このように非常勤といっても色々な側面があることがわかります。
これからも公認心理師とは別の資格として、心理職の中でも確固たる地位を継続、または向上させていくのかもしれません。なお、現在の公認心理師は、実務経験が5年あれば受けられる経過措置の最中なので、さまざまな職種の方々がいらっしゃいます。もちろんそれぞれの強みがあるのですが、心理職として採用となると、臨床心理士を取得しているか問われる場合もあります
ただ、今後公認心理師カリキュラムで大学入学した方々が大学院を卒業して現場で増えてくると、更新システムに手間のかかる臨床心理士より、1度の合格と登録で一生続く公認心理師だけでいいという方々が増えていく可能性もあります。診療報酬も公認心理師に発生するというのもあります。
どちらにせよ今後どうなるか注視していかねばなりませんが、現時点では臨床心理士は心理職に必須の資格であるといえそうです。


臨床心理士の資格取得を目指すなら

心理系の通信制大学もおすすめ!

これから臨床心理士の資格取得を目指す方は、大学院にて必要な科目履修をしなければなりません。心理系大学に通信課程のある学校もありますので、こちらも検討の一つとして考えてみるのも良いでしょう。


監修者について

監修者プロフィール

城川光子の画像

城川 光子

1985年、東京生まれ。私立渋谷幕張高等学校、上智大学文学部、関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻。
公認心理師・臨床心理士・産業カウンセラー試験合格。都内の心療内科クリニックでのカウンセリング、公立小学校でのスクールカウンセラー、ニート・引きこもりの就労支援施設でのグループワーク等を経験。
「全ての気持ちがあなたの大事な一部」をモットーに、本人の気持ちに寄り添ったカウンセリングを心がける。
二児の母でもあり、5歳と1歳の息子たちを前に、怒ったり落ち込んだりする自分と悪戦苦闘している。


※スクールや講座については、直接スクールにお問い合わせください。

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