2017年 心理カウンセラーの国家資格「公認心理師」が誕生
以前は、心理カウンセラーの資格といえば以下のような民間資格のみでした。
・臨床心理士
・認定心理士
・学校心理士
・産業カウンセラー など
そんな中、2017年の公認心理師法施行により、心のケアを必要とする人に対して心理状態の観察や分析、相談や助言、援助をする専門職として初めての国家資格『公認心理師』が誕生しました。
心理カウンセラーの国家資格とは!?
・公認心理師が心のケアに関する唯一の国家資格
・2017年、公認心理師法の施行により誕生
心理の国家資格(公認心理師)はなぜできたの?
理由1:心理ケアの重要性
うつ病、ストレス、いじめ、不登校、ひきこもりなど、心の健康問題は重要な課題です。2014年6月に行われた公認心理師法案の趣旨説明では、日本の年間自殺者数が3万人に近いこと、東日本大震災の発生(2011年3月)により被災者の心理ケアの重要性があらためて認識されたことが例として挙げられ、学校、医療機関、福祉機関や、企業をはじめとした様々な職場において心理専門職の活用が求められると述べられました。
理由2:国家資格で裏付けられた、質の高い心理ケアの専門家を
心理ケアの専門家が求められる一方、公認心理師の誕生以前には心理職の国家資格がなく、資格の取得基準やレベルの異なる複数の民間資格が混在している状態でした。国民が安心して心理的なサポートを利用できるようにするためには、国家資格によって裏付けられた一定の資質を備えた心理の専門職が必要だとして、2015年9月9日に公認心理師法が成立。2017年9月15日に施行されました。 正式に、初の心理職の国家資格として「公認心理師」資格が誕生したわけです。
心理ケアの国家資格が誕生した背景
■ 心理ケアの重要性 ■
うつ病、ストレス、いじめ、不登校、ひきこもり、自殺者、震災後の心理ケア…
→心の健康が重要な課題に
→心理ケアの専門家が必要
■ 心理ケアの資格 ■
国家資格の誕生以前は、資格取得の基準・レベルにバラつきのある民間資格が混在
→国家資格によって裏付けられた質の高い心理の専門職を
→公認心理師法成立 →心理ケアの国家資格「公認心理師 」誕生へ
国家資格の誕生により、今後は一定の資質が保証された専門職の方が多く生まれ、人々が広く利用できる環境が整っていくのではないでしょうか。一方、公認心理師の有資格者に対しては、社会の変化に沿って生じるさまざまな課題に対応するため、さらに資質向上を図ることが求められるでしょう。
公認心理師の資格概要
心理学の専門的知識・技術を証明!
公認心理師は、心理学に関する専門的知識・技術を証明するための国家資格です。
公認心理師法では、『公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。』と定義されています。
※公認心理師法 第2条
第二条 この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。
一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。
また、公認心理師の資格がなければ、『公認心理師』や『心理師』という文字を用いた名称を使用してはならない、という名称使用制限も定められています。
※公認心理師法 第44条
第四十四条 公認心理師でない者は、公認心理師という名称を使用してはならない。
2 前項に規定するもののほか、公認心理師でない者は、その名称中に心理師という文字を用いてはならない。
公認心理師の資格については『公認心理師とは』のページでも詳しく紹介しています。
公認心理師の資格を取得するには?
公認心理師の受験資格
公認心理師の資格を得るには、以下の受験資格を満たした上で公認心理師試験に合格する必要があります。
【公認心理師 受験資格】
A.大学において主務大臣指定の心理学等に関する科目を修め、かつ、大学院において主務大臣指定の心理学等の科目を修めてその課程を修了した者等
B.大学で主務大臣指定の心理学等に関する科目を修め、卒業後一定期間の実務経験を積んだ者等
C.主務大臣が1及び2に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めた者
D1. 2017年9月15日より前に、大学院で施行規則附則第2条で定める科目(科目の読替えあり)を修めて修了
D2. 2017年9月15日より前に大学院に入学し、同日以後に施行規則附則第2条で定める科目(科目の読替えあり)を修めて大学院を修了
E. 2017年9月15日より前に大学に入学し、施行規則附則第3条で定める科目(科目の読替えあり)を修めて卒業(又は履修中)し、2017年9月15日以後に大学院で施行規則第2条で定める科目(科目の読替え対象外)を修めて修了
F. 2017年9月15日より前に大学に入学し、施行規則附則第3条で定める科目(科目の読替えあり)を修めて卒業(又は履修中)し、かつ、施行規則5条で定める施設で2年以上実務を経験
G. 2017年9月15日に、法第2条第1号から第3号までに掲げる行為を業として行い(又は業務を休止・廃止してから5年以内)、①文部科学大臣及び厚生労働大臣指定の現任者講習会を修了し、かつ、②施行規則附則第6条で定める施設で5年以上実務を経験
(区分Gのみ、2017年9月15日から2022年9月14日までの5年間の試験に限る)
※一般財団法人 日本心理研修センターより引用
公認心理師本来の受験区分はA・B・Cであり、経過措置としてD・E・F・Gがあります。
端的に言えば、大学および大学院で必要科目を修了するか、もしくは大学で必要科目を修了したのちに文部科学省・厚生労働省の指定する施設で2年以上の実務経験を経ることで受験資格を得ることができます。
また、5年以上の実務経験がある方については現任者講習会を受講することで受験資格を取得することができます。(※ただし、公認心理師法が施行された2017年9月15日時点で、心理の仕事から離れて5年以上経過している場合は対象外です。)実務経験+現任者講習会による受験資格は期限付きの特例措置として設定されているもので、2022年9月14日までに行われる試験でのみ有効です。
公認心理師の受験資格については『公認心理師とは』のページで詳しく紹介しています。
公認心理師試験について
公認心理師試験はマークシート方式の筆記試験となっていますす。
出題範囲:公認心理師として具有すべき知識及び技能
出題形式:マークシート方式
出題数:154問(第1回試験・第2回試験の実績)
公認心理師試験を実施する一般財団法人 日本心理研修センターのHPにて、試験の各項目ごとの出題割合を示したブループリントを閲覧できます。受験の際には確認しておくといいでしょう。
公認心理師の資格取得ルート・試験概要については『公認心理師とは』のページで詳しく紹介しています。
公認心理師以外の資格でも就転職できる?
臨床心理士などの求人募集も多数あり!
心理学の専門知識・スキルを証明する民間資格としては、臨床心理士、認定心理士、産業カウンセラーなどがあります。現状の心理カウンセラー求人を見ても臨床心理士などの資格をお持ちの方を募集する求人は多くあります。心理カウンセラーとしてお仕事をしたいという方は、資格取得を目指してみるのも良いかもしれませんね。
主な民間資格別に、主な活躍の場・業務をまとめてみました。
項目 | 内容 |
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臨床心理士 | ・病院、介護・福祉施設などでの心理検査・心理面接 ・学校領域でのスクールカウンセラーや教育相談員としての業務 ・企業でのメンタルヘルス支援専門家としての業務 ・個人事業主のカウンセラーとしての業務 |
認定心理士 | ・社会福祉施設や児童相談所、医療機関 |
産業カウンセラー | ・公的機関(公共職業安定所など) ・企業など働く人のメンタルケア業務 ・キャリア開発の援助 |