心理カウンセラーが考えるファッションと心理について

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その人の見た目やファッションは心の状態を表している?

心理学の用語で「投影」という言葉があります。例えば、散歩中に空を見上げて「なんて儚い雲なんだろう」と寂しさを感じたとします。これは実は投影が起こっていて、自分自身が寂しさを感じているから、空の雲も何だか儚くて寂しそうと感じてしまうのです。逆に「なんて綺麗な空なんだ!」と明るい気持ちを感じたとしたら、自分自身が元気で明るい気持ちだからそう感じるのだと言われています。

この「投影」は日常生活の様々なところで起こっているのですが、ファッションにも投影が起こっていると言われています。ファッションは自分が「こうなりたい」「こうでありたい」という自分の心の欲求が投影されやすいのです。

私自身も10代の頃は、「早く自立した大人になりたい」という願望があったので、やけに大人びた服やパンプスを好んで選んでいた時期がありました。よって実際の年齢よりも結構年上に見られることもありました。これも、「周りの人から子どもとして扱われたくない。大人として扱われたい、大人として見られたい」という思春期特有の心の葛藤がファッションに投影されていたのだと思います。

私と同じような経験がある方も多いのではないでしょうか。そう考えてみると、ファッションはその人の心の状態をよく表すものだと言っても良いでしょう。では、ファッションが表す心の状態の様々な具体例を考えてみたいと思います。

様々なファッションが表す心の状態の具体例について

先ほど、10代の頃の私自身のファッションの例をお伝えしましたが、他にも様々な具体例を上げてみたいと思います。

ひと昔前は、髪をばっさり切ったら「失恋したの?」と聞かれることがありましたが、ファッションでも突然イメージチェンジを図る人はいますよね。今はパーソナルスタイリストなど、一般人でもプロのスタイリストにワードローブの服を選んでもらうことができる時代に変化しました。そのようなサービスを利用することにより、突然オシャレになったり、突然雰囲気が変わった、という人もお見かけします。

心理的に考えると、突然のイメージチェンジは「違う自分に生まれ変わりたい」という心の状態を表しているのかもしれません。逆に考えると、違う自分に生まれ変わりたいと思うほど今の自分の状態に嫌気が差していたり、辟易しているとも考えられます。違う自分に生まれ変わることにより、もう一度ゼロから始めたいという心理かもしれません。

他にも、とてもブランド好きで全身ブランド品で身を固めているような方、いらっしゃいますよね。みんなが知っているような分かりやすいロゴが入ったバッグや靴などを、常に身に着けている人も多いかと思います。これは「価値のある人間でいたい」という気持ちの表れではないでしょうか。裏を返せば、何かしらのコンプレックスや劣等感があるからこそ、価値のある人間でいたいし、そう見られたいという心理状態かもしれません。

心理学の用語で「同一視」という言葉があります。同一視とは、本来の性質とは違うことを同じように捉えることを指します。ブランド品で身を固めるようなファッションをすることにより、自分もブランド品と同じように価値の高い人だと思い込み、自信をもつことができるのです。また「特別でありたい」という心理状態も隠されているのかもしれません。やはり高級なブランド品で身を固めるということは、お金を沢山もっている人や収入が良い人でないと難しいでしょう。「自分は他人と違って特別である」そう思うことで、他人と差別化がされ、周囲の目を気にする人ほどコンプレックスが払拭されたような感覚にもなるかもしれません。

よく10代くらいの若い女の子で、バッグだけは誰しもが見ただけでわかるようなブランド品を持っている子を見かけますが、やはりそれも「少しでも価値のある人だと思われたい」「特別でありたい」といったような心が投影されているのではないか、と考えます。

また、とても派手なファッションを好む人もいますよね。原宿にいくと、誰もが振り返るような個性的かつ色合いも派手なファッションをしている若者も多いですが、一見目立ちたがりで社交的な印象を受けていまします。しかし、心理的にみると「社交的で明るい人だと思われたい」という心の表れかもしれません。派手で個性的なファッションを好む人ほど、実は自己防衛本能が強いとも言われています。実は強い人見知りだったり、自分のことを弱い人間だと思い込んでしまっているからこそ、周囲から自分を守ろうとするのです。つまり、派手で個性的なファッションで自分の本性を悟られないように隠している、と言っても良いでしょう。

そして、日本人で一番多いのが「流行りのファッションを気にするタイプ」ではないでしょうか。都心へ出かけると、女子大生やOLさんの多くが「今流行りで今トレンドのもの」を身に着けて歩いているので、とても似通ったファッションに身を包んだ人が多く存在します。流行りを気にしたファッションを好む人は、とても同調性が高い人と言っても良いかもしれません。みんなと同じということに安心感を感じるのです。逆に考えると、みんなと同じじゃないと不安を感じてしまうといったように、あまり自分に自信がないタイプの人と言っても良いでしょう。自信がないために、他者からの評価を気にしてしまったり、他人に依存しやすい傾向があるかもしれません。

様々な好みのファッションの心の表れについて、具体例で考えてみましたが自分が好きなファッションをすることにより、セルフイメージが向上し自信をもつことも可能だと言えるでしょう。「人は見た目が9割」とも言ったりしますが、見た目や外見を磨いくことにより、人から褒められたりして自信がつくようなこともあると思います。自信がつくと、人とのコミュニケーションをより活発におこなうことが出来たり、自分の意見を主張するといったようなこともできるようになると思います。ですので、自己肯定感が低い人や自分になかなか自信がもてない人は、ファッションを通して、心に変化をもたらすという方法を考えてみても良いかもしれませんね。

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