認定心理士とは?どんな資格?
心理学の知識・技術を学会が証明してくれる資格!
認定心理士とは「大学で心理学に関する標準的な基礎知識・技術を修得していること」を証明する、公益社団法人 日本心理学会認定の民間資格です。
認定心理士は、指定された様式で申請を行うことで、審査のうえ合否が決定されます。資格試験などはなく、4年制大学で一定数の心理学の単位を修得すれば資格取得が可能です。
認定心理士の資格取得方法
4年制大学で必要単位を修得後、認定の申請手続きを行う!
認定心理士の資格取得するまでのステップは以下の通りです。
認定心理士の資格を取得するには、まず4年制大学で資格の認定に必要な単位を修得する必要があります。すでに大学を卒業している方は、通信制大学の3年次・4年次編入などを利用すると短期間で単位を取得できます。
必要な単位を修得して大学を卒業したのち、日本心理学会に資格の申請をします。 約2~3か月で審査結果が出ますので、審査が通ったら認定料を振り込みます。振り込み後、約2週間で認定心理士の認定証・IDカードが送付され、晴れて認定心理士の資格取得完了となります。
認定心理士は通信制大学で取得可能
認定心理士は通信制大学(つまり在宅での学習が中心)でも取得が可能です。
認定心理士資格の取得に対応した通信制大学の例を以下にご紹介します。
編入学も可能ですので大学を既卒の社会人や主婦の方も学びやすいでしょう。
認定心理士を取得できる通信制大学(例)
・大手前大学 通信教育部
・聖徳大学 通信教育部
・東京未来大学 通信教育課程
・産業能率大学 通信教育課程
詳しくは下記の関連記事「認定心理士の資格を目指せる大学を一覧で紹介!」をご覧ください。
下記のボタンやリンクより、大学の資料請求や公式HPの閲覧も可能です。
認定心理士を活かせる仕事
心理カウンセラーや心理の専門職
認定心理士は、心理学の基礎・基本となる資格です。人とかかわる様々な業界・職種に活かすことができます。ただ、心理カウンセラーとしての専門職を目指す場合には、心理カウンセラーとしての経験を重ねたり、さらに上級の資格を取得したりすることで専門職への道を開くことができます。
福祉施設の職員
介護福祉系サービスに就いている方は、利用者様とのコミュニケーションに役立てることができるでしょう。
認定心理士の資格を活かして活躍できる場の例を下記にご紹介します。
保育士・幼稚園教諭
保育士や幼稚園教諭は心理学の知識とスキルが直接的に役立ちやすい職業です。
心理学の中でも児童心理について詳しく学べば、子どもたちの行動・言動の背景を考察しながら保育や教育にあたるスキルが高まり、キャリアを伸ばしやすくなるでしょう。
勉強した内容が子どもや保護者と接する業務に直結する点は大きなメリットですね。
また、保護者との話し合いや面談、実習生や後輩の指導など、保育士・幼稚園教諭の業務には心理学が役立つシーンが多いです。
看護師
看護師も毎日人と接する仕事であり、実習指導やチーム業務があるため、心理学の学習が直接的に役立つ仕事の1つです。夜勤を含むシフト制の勤務であれば、通信講座を活用して自分のライフスタイルに合わせて学習を進めましょう。
人事・労務、部下のマネジメント
近年はメンタルケアに対する関心が高まっており、人事・労務の仕事や管理職としての部下の教育・育成などでも認定心理士資格や身につけた心理学の知識が役に立つでしょう。
職場でのメンタルヘルスに関する知識・スキルを身に付けることのできる資格に「産業カウンセラー」や「メンタルヘルス・マネジメント検定」があります。メンタルヘルス検定の場合、自分自身のメンタルヘルスは「III種」、部下のメンタルヘルスは「II種」の検定が対象です。
また、資格の取得により自己研鑽の努力や向上心が上司に認められた、といった例もあるようです。
就職活動の際に認定心理士資格が評価されるかなどは採用側の判断により異なりますが、身につけた資格や学んだ内容は決して無駄にはなりません。
医療・福祉・産業領域、そしてそれだけにとどまらず、人と関わる仕事全般に認定心理士が活きてきます。
認定心理士資格の申請方法
認定心理士の資格申請方法には以下の3パターンがあります。
まずは、ご自身がどの種類の申請に当てはまるかを確認しましょう。
1. 認定申請(大学卒業後の申請)
4年制大学卒業後、在学期間中に修得した単位を所定の様式にて申請します。大学卒業後に他大学で履修した単位をあわせて申請することも可能です。また、卒業の時期に関係なく申請可能(卒業後数年が経過していても可)です。
認定心理士の認定申請は、大学卒業後に資格取得希望者が申し込むことを原則としています。大半の方がこちらの方法で申請することになるでしょう。
2. 仮認定申請(大学卒業前の申請)
大学卒業前に「仮認定」を受けて条件付きの「仮認定証」が発行される、『仮認定制度』というものがあります。大学在学中に、修得済みの単位を申請することができますが、併せて成績証明書と卒業見込証明書の提出が必要です。
「仮認定証」の有効期間は卒業見込証明書に記載された卒業見込年月の末日までです。
正規の認定を受けるには「卒業証明書」が必要です。仮認定を受けて見込みどおり卒業した場合は、卒業した時点で卒業証明書を事務局に送付し、「仮認定料」を「認定料」に振り替える手続きをします。
手続きにしたがって正規の認定が行われ、「認定心理士認定証」と「認定心理士IDカード」が送付されます。
3. 日本心理学会会員の優遇措置
申請時までに日本心理学会に5年以上正会員として在籍している、心理学関連科目を担当する大学等(4年制大学、短期大学、高等専門学校、専門学校)の教員の方を対象とした措置です。
該当する方は所定の手続きによって資格審査・資格認定を受けることができます。詳しくは日本心理学会事務局にお問合せください。
公益社団法人 日本心理学会
〒113-0033 東京都文京区本郷5-23-13 田村ビル内
申請書類の提出方法は?
認定心理士は書類での申請のほかWeb上での申請(電子申請)が可能です。氏名などの基本情報のほか、単位修得した科目などをWebで登録申請できます。
ただし、Webから申請する場合でも、成績証明証や卒業証明書の原本など、一部の書類については郵送が必要です。
認定心理士資格認定の条件
資格認定に必要な3つの条件
資格認定にあたっては、まず以下の3つの条件を満たしていることが必要となります。
[1]16歳以降、通算2年以上日本に滞在した経験を有する者
[2]4年制大学を卒業し学士の学位を取得、もしくは大学院修士課程を修了し修士の学位を取得した者
[3] 認定心理士認定資格細則が指定する心理学関係の所定の単位を修得
認定に必要な単位数について
認定に必要な単位数は、基礎科目、選択科目という2つの科目で分類されています。さらにそれぞれの科目で領域が分かれており、それぞれ認定に必要な単位数が決められています。
●基礎科目
a.心理学概論【4単位以上】
b.心理学研究法 + c.心理学実験実習【合計で8単位以上】
※c(心理学実験実習)については、最低4単位以上が必要。
●選択科目(5領域)
d.知覚心理学・学習心理学
e.生理心理学・比較心理学
f.教育心理学・発達心理学
g.臨床心理学・人格心理学
h.社会心理学・産業心理学
※以上5領域のうち3領域以上で、それぞれが少なくとも4単位以上、合計16単位以上が必要。
●その他
i.心理学関連科目、卒業論文・卒業研究
※必ずしも単位が必要ではありません。(卒業論文・卒業研究は最大4単位まで申請可能)
参照元:公益社団法人 日本心理学会 HP
認定心理士の申請ができそうな方は確認を!
認定心理士は試験がなく、申請するだけで自分が身につけた知識と能力を証明する資格が取得できます。
大学で心理学を学んだ経験のある方、在学中で現在心理学を学んでいる方は、修得(予定)単位が認定心理士の資格条件に該当するか否か、確認してみると良いでしょう。
認定心理士資格のメリットは?
履歴書に資格を記載できる!
認定心理士は履歴書に記載できる資格です。資格を持っていれば、心理学に関する資格やスキルを持っていることを面接官にアピールできます。
特に大学の学部・学科に心理学という名称が使われていない場合(教養学部、文学部、人間科学部など)、資格という客観的要素があると「心理学を学んだ」という口頭のみのアピールよりも説得力が増します。
就職活動や転職活動で心理学の知識をアピール材料にしたい場合は、資格という武器を身につけておくと良いでしょう。
ほかの心理資格の取得に有利!
たとえば心理士の民間資格のひとつ、メンタルケア心理士®の資格について。
通常は指定講座の受講+こころ検定2級の合格にて取得できる資格ですが、認定心理士を取得していれば指定講座の受講が免除になります。
初心者からメンタルケア心理士®資格を目指す場合は指定講座を受講する方がスムーズですが、認定心理士の申請条件を満たしている方については先に認定心理士の資格申請を行った方がいいでしょう。
認定心理士と臨床心理士の違い
認定心理士と臨床心理士の大きな違いは、資格の難易度、取得方法(試験の有無)、資格更新制度の有無にあります。
臨床心理士は民間の心理資格の中でも最高峰と言われており、取得の難度やハードルは認定心理士よりも高く、資格取得後は定期的な更新も必要です。資格試験に大学院修了の受験条件があるのも特徴です。
一方、認定心理師は初めて心理を学ぶ方でも比較的取得しやすい仕組みになっています。定められた単位を修了すれば資格を取得でき、更新制度はありません。大学で心理学を学んでいない方は、認定心理士がおすすめです。
認定心理士と臨床心理の違いについて、より詳細な解説は下記のページをご覧ください。
よくある質問
認定心理士に関するよくある質問を紹介します。認定心理士の仕事内容や、認定心理士資格を取得できる通信制大学、認定心理士と臨床心理士の違いなどについてご紹介していますので合わせて参考にしてください。
Q.認定心理士はどんな仕事に活かせますか?
多くの人と関わる保育・教育関連や福祉施設、医療関係の業務では直接的に役立つ機会が多いです。詳しい仕事内容者職種について、下記の関連記事でご紹介しています。
Q.働きながらでも認定心理士を目指せますか?
認定心理士は働きながら取得しやすい資格です。社会人向けの通信制大学で取得できます。認定心理士を取得できる通信制大学は、下記の関連ページにまとめています。
Q.認定心理士と臨床心理士の違いは何ですか?
資格のレベルと取得後の更新制度の有無が大きな違いです。大学や大学院で心理を学んだ経験があれば臨床心理士、無ければ認定心理士の検討に入ると良いでしょう。詳しくは下記の関連記事をご覧ください。