スクールカウンセラーになるには?必要な資格や仕事内容を解説!

スクールカウンセラーになるには? スクールカウンセラー
スクールカウンセラー
この記事を書いたのは
城川 光子

公認心理師・臨床心理士・産業カウンセラー試験合格。心療内科クリニックでのカウンセリング、小学校スクールカウンセラーなどを経験。
2児の母として子育てをしながら、「心理資格ナビ」の記事監修も担う。

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スクールカウンセラーとは

学校で活躍する心理の専門家!

スクールカウンセラーとは学校現場で児童・生徒の心のケアを行う専門家です。「School Counselor」の略で「SC」と呼ばれることもあります。

学校に専属する場合もありますが、「月曜日はA小学校」「火曜日はB中学校」というように、近隣の学校を持ち回るケースの方が多いようです。

ここ数年間で、学校現場におけるいじめ対策の動きや教師の負担軽減の観点から、スクールカウンセラー配置の動きは加速しています。
今後も、子どもたちの「心のケア」の重要性はますます高まってくるでしょう。

スクールカウンセラーの仕事

スクールカウンセラーの仕事は、生徒や保護者へのカウンセリングをはじめ、教職員へのコンサルテーション、生徒理解やストレスマネジメントについての研修の実施、関係機関との連携、事件・事故・災害時における心のケアまで多岐に渡ります。

カウンセリング

スクールカウンセラーの業務の中心は、生徒や保護者、教員へのカウンセリングです。
相談内容としては友人・教員との人間関係や家庭での悩みなどがあります。カウンセリングからいじめや校内での問題行動、あるいは家庭での問題が浮き彫りになった時には、学校と連携して指導方法を検討したり問題解決の方法を模索します。

カウンセリングの形態は学校によってさまざまで、生徒の自主性に任せているケースや教員から生徒を紹介されるケース、定期的にカウンセリングが義務付けられているケースなどがあります。
カウンセリングではカウンセラーが話を主導するのではなく、相手の話に耳を傾けることが重要です。そうすることで、相手はストレスを解消できたり、自覚のなかった悩みの原因を自覚できたりします。

コンサルテーション

コンサルテーションは問題を抱えている生徒に接する人(教師や保護者)に対し、具体的なアドバイスをすることです。
面談の対象者が間接的である点、相手が具体的なアドバイスを欲している点でカウンセリングと異なります。そのためコンサルテーションを求めている相手に対し、カウンセリングだけで終わってしまうと不満につながることも珍しくありません。

コンサルテーションが必要な例として、「人間関係」「保護者と子供の向き合い方」「災害の後のPTSDケア」などが挙げられます。
深刻な問題も含まれてくるので、スクールカウンセラーの責任は重大です。

教職員や児童生徒への研修・講話

生徒・保護者・教職員・地域などに向けた研修や講話を実施します。

講演会として不登校への理解や思春期の子どもの特徴・対応を周知することで、生徒や保護者・教員の不安を軽減したり、「傾聴練習」や「動作法・自律訓練法」などをワークショップとして体験をしてもらうことで人間関係を良好に保つ手助けをします。

心理のプロフェッショナルとしての知識の他に、分かりやすい説明ができるスキルが求められます。

カンファレンス

問題解決のために、各担当者が現状を報告したり問題解決の方向性を話し合う場を指します。教師はもちろん、医師や保健師などとも意見交換をする場合があります。

ここでは一人の参加者という立場で意見を出し、カンファレンスが意味のあるものになるように努めます。もちろん、専門家としての意見を求められたら的確に返答することも重要な役割の一つです。

その他

その他のスクールカウンセラーの仕事
・校内会議などへの参加
・相談者への心理的な見立てや対応
・ストレスチェックやストレスマネジメント等の予防的対応
・事件・事故・災害などの緊急対応における被害児童生徒の心のケア

スクールカウンセラーが受ける相談内容は、不登校、いじめ、友人関係、親子関係、学習関係などさまざまです。近年は、発達障害、精神疾患、リストカット等の自傷行為やその他の問題行動の相談に対応したり、震災被害を受けた児童の心のケアに当たったりと、ますます多様なケースでの活躍が求められています。

スクールカウンセラーになるには

公認心理師、臨床心理士の資格が◎

スクールカウンセラーは職業の名前であり、スクールカウンセラーという資格があるわけではありません

現在のところ、多くのスクールカウンセラーは、公認心理師臨床心理士の資格保持者です。スクールカウンセラーを目指す方には、公認心理師臨床心理士の資格取得をおすすめします

スクールカウンセラーの応募資格

スクールカウンセラーの応募資格は自治体によって多少異なる場合もありますが、おおむね以下のような条件で募集されています。

■スクールカウンセラー
1. 公認心理師
2. 臨床心理士
3. 精神科医
4. 児童・生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識及び経験を有し、学校教育法第1条に規定する大学及び同法第97条に規定する大学院(以下「大学等」という。)における心理学系の学部長、教授、准教授、講師(常時勤務をする者に限る。)若しくは助教の職にある者又はそれらの職にあった者

スクールカウンセラーに準ずる者
ア 大学院修士課程+相談業務1年
イ 大学卒業+相談業務5年
ウ 医師+相談業務1年

公認心理師、臨床心理士のほか、 精神科医や大学教員経験者にも応募資格はありますが、希望者はそれほど多くありません。

「スクールカウンセラーに準ずる者」は、基本的には心理系の学校を卒業したうえで、相談業務の経験が求められます。ここで言う相談業務とは、「心理業務または児童生徒を対象とした相談業務」を指しています。

スクールカウンセラーは自治体が募集!

スクールカウンセラーは、基本的に都道府県市区町村の教育委員会などが毎年募集しており、自治体の公式HPなどでも募集要項が公開されています

募集時期は自治体によって異なりますが、10月から12月頃に募集していることが多いです。 任用期間1年間で、4月から3月までになります。

社会人からスクールカウンセラーになるには

スクールカウンセラーは臨床心理士資格、公認心理師資格を所持しているか、精神科医であることが望ましいと文部科学省が発表しており、事実ほとんどの求人はこれを条件としています。
しかし、社会人になってからこれらの資格を取得するとなると最短で3年、約220万円とお金も時間もかかってしまいます。

社会人から目指す方はスクールカウンセラーに準ずる者としての採用を目指すのが良いでしょう。実際には教育相談員の名目で募集されていることが多いです。
スクールカウンセラーに準ずる者教育相談員)であれば、心理系の学部を卒業しいる人であれば相談業務5年(大学院卒の場合は1年)で募集条件を満たすことになります。

スクールカウンセラーの収入・働き方

時給は高いけれど、非常勤であるのが難点

スクールカウンセラーの給与は自治体によって様々ですが、よく見るのは下記のような条件です。

スクールカウンセラー: 時給5,000円
スクールカウンセラーに準ずる者: 時給3,000円

時給5,000円と聞くと高収入の求人に思えるかもしれませんが、多くが非常勤採用勤務日数が週1回程度である、夏休み・冬休み・春休みは勤務できずその月の分の収入は下がる、勤務日数が年間35日などに決まっている、といったような実情もあります。気になる方はその年の募集要項をしっかり確認しましょう。

1校あたりの勤務日数が少ないため、スクールカウンセラーの大半が複数の学校を掛け持ちしていたり、医療機関や福祉機関で非常勤で働く心理士がスクールカウンセラーを掛け持ちしていたりしています。

スクールカウンセラーに向いている人

冷静な分析ができる人

スクールカウンセラーは学校で児童・生徒と向き合うことが多い仕事ですので、子どもが好きであることは強みとなるでしょう。しかし、感情移入しすぎて自分も感情的になったり意見をしすぎると逆に相手を困らせてしまいかねません。

スクールカウンセラーは聞き役にまわり、冷静に分析をして的確なアドバイスができる方が向いているでしょう。
時には生徒・保護者・教員からいくつもの相談をもちかけられることもあります。そういった時にでも冷静にひとつひとつ対処できる処理能力も必要です。

人の気持ちに寄り添える人

子どもが大人に相談するというのは勇気のいることです。そのためスクールカウンセラーは穏やかな表情や的確なタイミングでの相槌など相手が話しやすい雰囲気づくりも重要になります。

生徒からの信頼を得られれば、深い悩みも聞き出しやすくなります。そのためには秘密を口外しないのはもちろん、生徒の気持ちに寄り添ってじっくり話を聞ける人が適任です。

時代の変化に敏感な人

子どもの置かれている状況は時代とともにどんどん変化していきます。現代ではスマートフォンが普及しSNSで犯罪に巻き込まれたり、メッセージを返さなかったためにいじめられたりと大人には想像もつかない問題を抱えています。

スクールカウンセラーはそういった子ども社会の変化にいち早く気づかなくては、生徒が抱えている問題を理解できません。そしてそういった変化を教員や保護者へ共有し、予防策を考えて生徒を守っていくのもスクールカウンセラーの大事な仕事のひとつです。

スクールカウンセラーの将来性

需要は高まっている

近年のいじめ問題や少年事件の低年齢化、SNSなどを通じた事件・事故が増加傾向にあることから、スクールカウンセラーの需要は高まっています。特に、今までは主に中学校に配置されることの多かったスクールカウンセラーですが、最近では小学校への配置も増え、より低年齢へのカウンセリングの必要性がうかがえます。

その理由の一つとして、少子化の問題があります。少子化により子どもの数が減少し、小さな子どもを持つ保護者が周りに相談できる相手がおらず、スクールカウンセラーなど専門家に相談したいと考えるようになったことで需要が高まったという背景があるようです。

キャリアアップするには?

スクールカウンセラーは複数の現場を掛け持ちしており、ひとつひとつも年単位での契約など非常に不安定な職業です。

ですが、勉強会や研修などを通じて教員に大幅な意識改革をさせるなど、大きな爪痕を残すことができれば、重要な人材として専属契約に至るケースもゼロではありません。

また、スクールカウンセラーとしての経験を生かして講演会を行ったり本を出版するなどして収入を増やす方もいます。
将来的には心理コンサルタントとして教育機関に助言する立場にもなれるでしょう。

学校心理士との違い

スクールカウンセラーと学校心理士の違いは下記の通りです。

学校の相談室で児童・生徒の支援を行うカウンセラーの総称、もしくはその職業名のことです。
一方、学校心理士はスクールカウンセラーの業務を行うための資格およびその資格を所持している者のことを指します。
学校心理士について詳しくは下記のページが参考になります。

スクールカウンセラーのやりがいと難しさ

前述したようにスクールカウンセラーは週1回程度の非常勤採用であることが多いです。しかし、週1回と限られた時間にも関わらず、学校の問題は待った無しで降りかかり、いじめ、不登校、発達障害、突発的な事件など多彩な問題に対応しなければなりません。

生徒や保護者との面接や教員との打ち合わせ、管理職への報告や記録作成をしているとあっという間に1日は終わり、精神的・体力的な負荷はかなりのものです。

しかし、だからこそ、良い方向に変化したり、成長していく生徒たちを見守る等、やりがいも大きいのも事実です。

スクールカウンセラーは、「この資格を取得したら、無条件でスクールカウンセラーの要件を満たす」といった未経験者にもやさしい求人ではないことをお伝えできればと思います。

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