心理カウンセラーの仕事内容は?
心に悩みを抱えた方の心理カウンセリングが一般的!
心理カウンセラーの仕事内容は、一般的に心に悩みを抱えた方の心理カウンセリングです。
しかし、心理カウンセラーと一口に言っても関連する心理系資格の種類も様々あり、求められる仕事内容や役割に応じて呼び方も変わってきます。 そのため、心理カウンセラーと名乗っても、どのようなカウンセリングを行えるのか、どんな知識を持っているのかイメージしにくいでしょう。
心理カウンセリングの流れ
ここでは、心理カウンセリングの流れを解説します。
インテーク面接
クライアントから最初の相談を受けます。この初回のカウンセリングのことをインテーク面接と呼びます。
インテーク面接では、悩みやカウンセリングに期待することを聞き、相談内容を把握します。また、相談者の現在の環境や育ってきた環境などもお聞きし、クライアントの状態を把握します。
そこからカウンセリングでできることを提案したり今後のカウンセリングの進め方を決めていきます。
アセスメント
その後のカウンセリングでは、さらに詳しい悩みやこれまでの生活、人間関係、改善したいことなど様々な話を聞いたり、心理検査を用いてクライアントの状態をさらに把握していきます。
これをアセスメントといい、日本語では評価・判断・査定などと表現されます。
話を何度も聞きながら信頼関係を築くことで、次のステップへ進みやすくなります。
不安を払拭しながら解決へ導く
アセスメントによって、具体的なカウンセリング方法や心理療法を決定したり、クライアントが問題解決のために取り組むべき改善策や目標、テーマを提案することで、解決へと導いていきます。
問題が整理されたり、気持ちが楽になったり、取り組む改善策が分かったりしたことで、カウンセリングの利用はいったん終了する人もいます。
終結・卒業
継続カウンセリングの終わりは、カウンセリングの終結や卒業と呼ばれることが多いです。カウンセリングの終結は、カウンセラーと話し合って決めることが一般的です。
単に問題を解決するだけでなく、自分の力で悩みや問題に向き合い、解決方法を模索できるようになることが、再発の心配も低く望ましい終結の形とされています。
心理カウンセラーはどのような場所で活躍できるのか、また、活躍する分野に応じたそれぞれの仕事内容を紹介していきたいと思います。
心理カウンセラーの資格が活かせる業界・領域
心理カウンセラーには、実際にどんな活躍の場があるのでしょうか。領域ごとに見ていきたいと思います。
医療領域
病院やクリニック、保健所、精神保健センターなど。
精神科医との連携が必要で、対象が幼児から年配の方まで幅広いのが特徴です。
教育関連領域
学校や教育センターなど。
不登校やいじめなどの件数は年々増加し、また学級崩壊や発達障害など問題は多岐に渡っており、今後スクールカウンセラーの需要はますます高まっていくと思われます。
産業関連領域
企業内の相談室、外部EAP、職業安定所、健康管理センターなど。
対面だけではなく、電話やメールで相談を受ける場合もあります。
福祉領域
児童相談所、高齢者福祉施設、リハビリテーションセンター、障害者施設、精神保健福祉センターなど。
虐待やDV(ドメスティック・バイオレンス)などに関する問題は、年々深刻化してきているので、今後より注目されるようになるでしょう。
司法・矯正領域
家庭裁判所、少年鑑別所、刑務所、少年院など。
犯罪が関係することが多くあるため、法律についても学ぶ必要があります。
大学・研究領域
専門学校、大学、大学付属の心理・臨床センター、民間企業の研究機関など。
大学や専門学校で研究を行ったり、講義を行います。多くの機関では学生相談室や臨床心理センターが併設されており、学生や地域の皆さんの相談に応じています。
また、経験を積めば、個人で開業することも可能になります。
病院勤務の心理カウンセラーの仕事内容
まず、心理カウンセラーの活躍の場として挙げられるのが『病院』です。
総合病院の精神科や心療内科、またメンタルクリニックなどで医者と連携をとり、心に悩みを抱えた方やその家族の相談に乗って、少しでも苦しみを軽減できるようにお手伝いをします。
仕事内容の例
傾聴によって、相談者の不安やつらいことに寄り添い、その人の本来の力が発揮されるのを支援します。場合によっては、認知行動療法や精神分析療法などの多彩な心理療法や、それらを折衷したものが導入される場合もあります。
相談内容の例:
・家庭、学校、職場で悩みがある
・自分に自信がない
・無気力な状態が続いている
・以前楽しめたものが楽しめなくなった
・毎日寝つきが悪い
・人間関係がうまくいかない
・人と接するのがこわい
・電車に乗ることや特定の場所に行くのがこわい など
精神科や心療内科以外にも、神経内科、児童神経科、小児科、リハビリテーション科、緩和ケア科、産婦人科、循環器・呼吸器内科、外科など活躍の場は多岐に渡ります。
◎医師の指示により、知能検査・発達検査・神経心理検査・質問紙・投影法などの心理アセスメントを用いて、相談者の状態を査定します。
◎デイケアやリワーク、またアルコールやギャンブルなど、グループワークを実施します。
ちなみに、病院で心理職として勤務する場合は、公認心理師か臨床心理士の資格を要する場合がほとんどです。
病院勤務の心理カウンセラーの働き方
病院勤務のカウンセラーは常勤職員もいるが、非常勤職等の場合も多く、複数の職場を掛け持ちしている場合もあります。
外来診療がほとんどで、決まった時間にカウンセリングを行います。その他にも、空いた時間にはセラピーの準備やカルテの整理などの事務作業を行います。
病院勤務の心理カウンセラーの年収
病院勤務の心理カウンセラーの年収は平均約300~400万円ほどと言われています。
非常勤で働く場合は時給1,500~2,000円程度で、働く時間数によって収入も増減します。
学校勤務の心理カウンセラーの仕事内容
病院と同じくらい心理カウンセラーの活躍の場が広いのが、学校です。「スクールカウンセラー」というと、聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。
仕事内容の例
スクールカウンセラーは、学校内の相談室などで悩みを持つ生徒のカウンセリングを行います。具体的な相談内容は、友人・家族・教師との関係、いじめ、学業のこと、不登校、摂食障害、発達障害など様々です。
生徒だけでなく、生徒の親から子どもについての相談を受けることも多くあります。また、教師と連携をとることも必須で、協力して生徒を支えていきます。教師に対し、生徒や親との関わり方のコンサルテーションを行う事もあります。また、生徒や教師に対してコミュニケーションやストレス対処法などに関する研修を行うこともあります。他にも関係機関との連携や、災害や事件時などの学校危機対応における心のケアも求められます。
スクールカウンセラーに必須の資格はありませんが、公認心理師か臨床心理士の資格所持が採用の条件になることが多いようです。その他、精神科医や、心理学系の大学の常勤教員などがスクールカウンセラーを務める場合もあるようです。
学校勤務の心理カウンセラーの働き方
学校勤務の心理カウンセラーは多くの場合、非常勤職員として週に何日か、決められた時間に勤務するという勤務形態で働いています。
週8~12時間程度、1年契約の非常勤職員という雇用形態をとる自治体が多く、1校あたり1日3~4時間の勤務で、2~3校を掛け持ちで担当するケースが一般的となっています。
学校勤務の心理カウンセラーの年収
学校勤務の心理カウンセラーはほとんどの場合非常勤職員ですので、時給制で給与を受け取ります。
時給3,000円~5,000円程度が一般的で、年収は300~400万円ほどと言われています。
企業で働く心理カウンセラーの仕事内容
企業で働く心理カウンセラーは、臨床心理士、産業カウンセラーの資格所持者が多いようです。資格ごとに仕事内容をまとめてみました。
資格ごとの仕事内容の例
臨床心理士
主な仕事としては、従業員や経営者の心理カウンセリングを行います。具体的には、職場での人間関係の悩み、うつ病やそれに伴う休職・復職に関する相談、また、大人になって初めて表面化した発達障害などの問題にも向き合ったりします。
臨床心理士として企業で働く場合、臨床経験が必要になるため資格を取っただけでは雇ってもらえないことがほとんどです。そのため、病院やクリニックなどで何年か経験を積んだ後にに企業で働くケースが多いようです。また、従業員の置かれた状況や心理を理解しなくてはならないので、一般企業での就業経験もあるとプラスになるでしょう。
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産業カウンセラー
働く人と組織に対してメンタルヘルス対策とケアを行います。
人間関係のトラブルやキャリアにおける課題など、従業員や経営者がぶつかる様々な問題に一緒に向き合うのが産業カウンセラーの仕事です。臨床心理士が様々な領域で働くのに対し、産業カウンセラーはその名の通り、産業分野に特化して働きます。
組織内の関係部署や産業保健スタッフ、外部の専門機関などと良好な関係を築き、協力体制を発展させていきます。事例や課題に応じてそれらの専門家を結びつけるコーディネーターの役割も果たすため、その組織風土を理解し、各部署の担当者の考え方やパーソナリティについて情報収集し、それらを踏まえて働きかける必要があります。
臨床心理士は大学院卒業が必須ですが、産業カウンセラーの場合は指定講座を修了し試験に合格すれば資格取得が可能です。そのため、人事や社内研修の担当者が産業カウンセラーの資格取得してカウンセリングを行っているケースもあるようです。
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企業で働くの心理カウンセラーの働き方
大手企業では正社員として働けるチャンスもありますが、全体としては非常勤の求人が目立ちます。そのため、いくつかの企業を掛け持ちしたり、自身でカウンセリングルームを開いている方が兼業で行っているパターンが多いです。
企業との契約内容に応じて週に2~3日程度の勤務、1日の勤務時間は「午前のみ」「午後のみ」といったものになることが多いようです。
特に、仕事を終えてからカウンセリングに来る社員が多いため、夕方以降の仕事が増えるケースもあります。
企業で働くの心理カウンセラーの年収
平均的な年収は300~400万円といわれていますが、企業の規模や個人の経験によっても変動します。
臨床心理士や産業カウンセラーなどの資格を所持していると収入アップを見込めるでしょう。
児童相談所勤務の心理カウンセラーの仕事内容
仕事内容の例
児童相談所での仕事内容は、療育手帳や発達相談など、子どもの障害に関する親からの相談が最も多く、次いで虐待、育て方、非行に関する相談となっています。また、子どもの知的・心理的側面を心理検査によって査定したり、一時保護中の子供の心理療法も行います。時には、小学生や中学生を対象にグループセラピーを実施することもあるようです。地域の健診などへの巡回相談や、虐待訪問も行なっているところもあります。
以前は心理判定員と呼ばれていましたが、現在では児童相談所で働く心理判定員に限り『児童心理司』という呼び方に変わっています。児童心理司は公務員であり、臨床心理士の資格所持が必須ではありません。しかし、採用時に専門性が高い人が望まれる場合も多く、児童心理司のうち約半数の47%が臨床心理士の資格保持者となっています。また、今後は国家資格である公認心理師の活躍も望まれます。
児童相談所で仕事したいという方も、公認心理師や臨床心理士の資格取得はしておいた方がよいかもしれませんね。
児童相談所勤務の心理カウンセラーの働き方
児童相談所勤務の心理カウンセラーは地方公務員として働きます。
給与や労働条件は都道府県の条例で定められているため、各自治体のホームページから見られる募集案件などで確認してみてください。多くの場合は土日が休みになるようです。
児童相談所勤務の心理カウンセラーの年収
地方公務員の施設職員の場合、平均年収は500万円程です。
公務員ですので福利厚生もしっかりしており、勤続年数を重ねることで昇給も期待できるので、安心して働くことができますね。
家庭裁判所勤務の心理カウンセラーの仕事内容
家庭裁判所の調査官は、夫婦・親子間の問題(家事事件)や非行を犯した少年に関する問題(少年事件)を調査します。裁判所職員採用試験に合格後、2年の研修を経て、家庭裁判所調査官として働くことができます。なお公認心理師・臨床心理士の資格は必須ではありません。
仕事内容の例
仕事内容は、関係者から事情を聴取したり、事実関係を調べ、離婚や非行等に至ったプロセスに関した調書を作成します。
カウンセリングをして心理的なサポートを行ったり、心理検査をしたり、調停に立ち会ったりもします。少年犯罪の場合は、更生につながるよう、少年の性格やこれまでの成長過程、家庭環境や日頃の生活態度について調査し、必要があれば家庭や学校を訪問、医務室での診断、少年鑑別所での調査・鑑別、教育的措置などを行なった上で、専門的知見をふまえて評価・分析し、処遇意見を付した調書を裁判官に報告します。
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家庭裁判所勤務の心理カウンセラーの働き方
家庭裁判所調査官は公務員で、8時30分から17時までの定時勤務が基本です。特徴的なのは約3年ごとに全国への移動や転勤があることです。
担当する事件について個人で調査を進めることが多く、仕事の多くの時間は関係者との面談や調査になり、出張もあります。
家庭裁判所勤務の心理カウンセラーの年収
家庭裁判所調査官の平均年収は約700~900万円で、心理カウンセラーの勤務先としては最も高い水準です。
裁判所職員採用試験などハードルは高いですが、その分安定した仕事であると言えるでしょう。
大学付属施設などで働く心理カウンセラーの仕事内容
心理学を学べる大学には、学生相談室の他にも付属施設として心理の研究所や心理臨床センターが設けられている場合があります。
仕事内容の例
心理臨床センターで地域の方々からの相談を受け付けており、子どもの発達や子育てに関する相談(子どもに対してプレイセラピーなど行なっている場合も多い)、学生の学校生活、対人関係などの相談、その他、家族や夫婦関係、性格の悩みなど、様々な相談に応じています。また、各種心理検査や知能検査を行うこともあります。
大学の付属施設のため、担当教諭の指導のもと大学院生が担当するケース、センター所属の臨床心理士が担当するケース、時には大学教授がカウンセリングを担当するケースもあります。
大学付属施設などで働く心理カウンセラーの働き方
一般的に大学の研究職は求人が極端に少なく、大学院を卒業後は助手やポスドク(博士研究員)として研究職のキャリアをスタートさせるのが一般的です。
大学付属の研究室で働く場合は自由度が高く、講義や会議、カウンセリングの時間以外は自分の裁量で研究を進めることができます。
大学付属施設などで働く心理カウンセラーの年収
大学付属施設などで働く心理カウンセラーの年収は550万円前後です。
職種やポストによっても収入の差は大きく、大学で教授として働く心理学者の場合年収1000万円前後、1人前とされる准教授で400~600万円、非常勤講師の年収は300~400万円ほどが一般的です。
助手やポスドク(博士研究員)はさらに低く、それだけで生活していくのは難しいとされています。
心理カウンセラーの仕事で大切なことは?
相手を尊重し支援する!
心理カウンセラーは、相談者に一方的に指示や答えを出すわけではありません。あくまで、支援者という立場でいることが必要になります。
『答えを提示するのではなく、相談者自身が答えを見つけるのを支援する』ことが、心理カウンセラーの仕事をする上で大切なことではないでしょうか。
人の話を聴くのが上手で、相手の意見を尊重できる人が心理カウンセラーに向いています。
心理カウンセラーの需要や求人状況は?
求人は多くはないが、今後ますます需要は高まる!
「心理カウンセラーの仕事内容は理解したけれど、求人は多いの?需要はあるの?」と気になる方もいらっしゃるでしょう。
結論から申し上げると、求人件数は多いとはいえない現状です。
ただし、今回ご紹介したとおり、心理カウンセラーとして活躍できる場は多いです。
様々な心の問題やストレス社会において、メンタルケアの重要性の広がりとともに心理カウンセラーの需要が高まることが期待されます。
国家資格である公認心理師を目指す!
2018年には、日本で初の心理系国家資格「公認心理師」の試験が実施されました。
公認心理師は、臨床心理士が行っている業務とほぼ同様の仕事を行います。職場によっては、臨床心理士の資格を既に持っている人に公認心理師の資格取得を義務づけしていることもあるようです。
そのため、公認心理師の資格も取得しておけば、より一層心理カウンセラーとして活躍の場が広がっていくかもしれませんね。
まとめ
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