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被災時に生かせる心理学とは

更新日: 2017/12/18

被災者の心の動きとは

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カウンセラーのたまきです。我々の記憶で一番鮮明に思い出されるのは、2011年3月に起こった東日本大震災ではないでしょうか。強い地震とともに大きな津波が東北に押し寄せ、多くの人が命を落としてしまいました。多くの人が嘆き悲しみ、ぶつけようのない怒りを覚えました。

それと同時に命の大切さや、人の素晴らしさ・温かさも知ることができました。ほかにも阪神淡路大震災、新潟県中越沖地震、熊本地震など、日本は多くの災害に遭遇してきました。その度に、物資の調達や身の安全の確保が重要視されてきましたが、少しずつ「心のケア」の大切さも広く考えられるようになっていきました。

東日本大震災では多くの心理カウンセラーがボランティアとして現地入りした話しを聞いています。当時の文部科学省も、現地に住む被災した子どもたちの心のケアのために、多くのカウンセラーを派遣したそうです。

被災すると、多くの人が心に傷を抱えてしまいます。多くの人の心がどのように推移していくか簡単に説明すると、災害直後は恐怖体験を心が受け止められず茫然自失になります。怖いとか悲しい、辛い等の感情も欠如します。 次に「ハネムーン期」とも言われていますが、被災者同士が災害の体験を共有し、強い連帯感で結ばれ始めます。共に乗り越えていこう、と言った気持ちも生まれ一時的に温かい雰囲気になるのです。

そのうち、災害の混乱も収まり復旧に入ること、ようやく怒りを覚えるようになります。行政に怒りを向けることもあれば、被災者と援助者の間でトラブルが起こりだすこともあるようです。 そして更に復旧が進み生活の目処がたち始めると、被災者も生活の立て直しへと心が向き、徐々に元気を取り戻していくのです。

東日本大震災でも多くの心理カウンセラーが現地に出向いたと言いましたが、中には『心理カウンセラーお断り』の張り紙を貼った場所も存在したと聞きました。人の心の動きは千差万別です。心理学のマニュアルでどうにかなるものではなりません。 ですが一カウンセラーとして、被災時に生かせる心理学は一体何があるのか考えてみたいと思います。

被災時に生かせる心理学とは

「怒り」は心理学では感情の蓋と考えられています。一般的にハネムーン期を過ぎると、ようやく怒りが出てくると言われていますが、怒りは第二感情であり、その元になっている第一感情があるはずです。 その第一感情が吐き出せず怒りに繋がってしまうこともあるようです。その怒りを他人や行政に向けることもあれば、自分に向けてしまうこともあります。

第一感情とは「不安・悲しい・苦しい」などです。しかし大きな不安や悲しみに直面するには勇気がいります。被災時のことがフラッシュバックとして現れてしまうこともあるでしょう。 ですので、少しずつで良いので我慢せずに一人で溜め込まずに、怒りの下に隠れている「悲しい」「絶望感」「不安感」を吐き出していくと良いかもしれません。

また被災した子どもたちの間でしばらくブームだった遊びがあります。それは「地震ごっこ」や「津波ごっこ」といった被災した時の再体験をする遊びです。「逃げろー!!」と言ってジャングルジムや高いところに避難したり、机をわざとガタガタと揺らして隠れる、といったような遊びが流行りました。これは、遊びを通して再体験し「怖い」「悲しい」などの感情と直面し、消化しているのです。このように子どもは自然に遊びを通して被災時の経験を乗り越えようとします。大人はそうはいかないと思いますので、まずは少しずつ感情を吐き出すことが良いかもしれません。

また、精神疾患の一つである「うつ病」を患っている人に「頑張れ!」の言葉は禁句だと聞いたことはないでしょうか?頑張れという言葉は、やる気に満ち溢れている人に向けると相乗効果を発揮しますが、心に傷を負っている状態の人には大変辛いものです。 頑張って頑張って頑張りすぎて病気になっているのに、「頑張れ」と言われると、もっと頑張らなくてはいけない気がするのが人間の心理です。

これは被災した方々も同じで、被災した人にしかわからない恐怖や悲しみがあります。それなのに「頑張れ!」と言ってしまうと、まるで自分が悪いように感じてしまう人もいるでしょう。 何か勇気付けようとしたり元気をあげようとするのではなく、カウンセリングと同じで、相手の言葉を傾聴しただ受容し共感する。このスタイルが一番大事ではないかと私は考えています。

無力感に陥らないために

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正義感や人を助けたい気持ちが強い人だと、災害が起こると居ても立ってもいられずに現地入りする人も沢山います。またどうにかしたい気持ちはあるけれど、都合が合わずに立ち尽くすことしかできない、という人もいると思います。

災害が起こると援助者側が「無力感」に陥ってしまうことも多く存在します。何もできない、役に立つことができない自分を責めてしまい、自分の力のなさに辟易してしまうのです。

また、被災者の方でも無力感でいっぱいになってしまう人もいます。家族や友人や知人が亡くなってしまった場合、「どうして助けることができなかったのか」と自問自答し無力感に陥ってしまうケースもあるでしょう。

災害が起こると色んな人が様々な形で無力感を抱きます。無力感は強いストレスにも繋がっていきますから、できれば誰かに苦しみや悲しみを少しずつ話していければ良いかもしれません。人に頼ることは悪いことではありません。どうか一人っきりで無力感に陥らず、信頼できる人やカウンセラーに吐き出せると良いかと思います。