カウンセラーと年齢|年上・年下のクライアントとどう接する?

カウンセラーと年齢|年上・年下のクライアントとどう接する?心理カウンセラー
心理カウンセラー

カウンセラーに適した年齢は?

私は、社会人として一般企業に就職し働いた後に、元々興味があった心理学の勉強を民間のスクールで学びました。

私が通っていたスクールには様々な年齢層の人がいました。例えば、子育てがひと段落した50代の女性や、定年退職を迎え新しい学びのために心理カウンセラーを目指す男性、大学に通いながら心理カウンセラーを目指す学生などです。

4年制の大学や大学院を卒業後すぐ臨床心理士として働く人もいますが、民間のスクールを卒業しカウンセラーになる人は、カウンセラーとして活動を始める時期や年齢は人によって様々です。

そして同じように、クライアントの年齢も様々です。私が今までカウンセリングをした中で、最年少には中学生がいましたし、最年長では70代の方がいらっしゃいました。私の知り合いの心理カウンセラーには、小学生や80代のクライアントにカウンセリングをおこなっている人もいます。

カウンセラーとクライアントの年齢について

カウンセラーとして活動していると、自分より年下のクライアントや遥かに年上のクライアントと話す機会もあることでしょう。実際に、心理カウンセラーを目指している人によく質問されるのが、

「自分よりも年上のクライアントの話にはどう対応しているのですか?」
「年上のクライアントから信頼されますか?」
「経験のない介護の悩みなど、どのように聴けば良いのですか?」

ということです。それでは年上・年下のクライアントと、どのように接すれば良いのか考えてみたいと思います。

カウンセラーよりも年上のクライアントに対して

自身の年齢が若いカウンセラーほど、年上のクライアントとお話しする機会は多いものです。

実際に私は30代後半の年齢ですが、今まで自分よりも年上のクライアントとのカウンセリングをたくさん経験してきました。

確かに、私自身はまだ経験をしていない介護の悩みや、近親者や本人の病気の悩みなどを伺うことも多くあります。しかし、クライアントの年齢が自分よりも年上だからといって、何か特別にカウンセリングのスタイルを変えたことはありません。

カウンセリングの基本は、クライアントの話によく傾聴し受容と共感をおこないながら、クライアント自身が悩みや問題を乗り越えるようにサポートをすることです。この基本をしっかりと心得ておくことは大切です。

心理カウンセラーとしてカウンセリングを始めたばかりの頃は、確かに自分よりも年上のクライアントの話をちゃんと聴けるのか不安もありましたが、クライアントの年齢はさほど気にすることではないと、経験上実感しています。

カウンセラーよりも年下のクライアントに対して

近頃はスクールカウンセラーとして活動する人も増えてきました。世間でカウンセリングに対する認知度が上がり、重要性の理解が進んできたのでしょう。その分、小学生や中学生のクライアントも増えたのではないかと思います。

未成年者がカウンセリングを受ける場合は保護者の同意書が必要なケースもありますが、クライアントがカウンセリングで話した内容は守秘義務として誰にも話さないのが鉄則です。

年上のクライアントと同様、年下のクライアントに対しても、カウンセリングの基本姿勢は変わりませんただ、カウンセラー自身がこれまでに経験したことや乗り越えてきたことがクライアントの相談内容とリンクし、より受容や共感をおこないやすい場合もあるでしょう。

大切なことは基本姿勢と礼儀や敬語、信頼関係

これまでに書いたように、どの年齢のクライアントでもカウンセリングの基本姿勢を変えず、しっかり話を聴き、受容と共感を行うことが大切です。そして礼儀や敬語もマナーとして重要でしょう。

カウンセラー側が年下のクライアントだからといって、横柄な態度をとったり、最初から友達と話すような口調で接したりするのは良くないといえます。

同じく年上のクライアントだからといって、普段使わないような硬すぎる敬語を使ったり、気を遣いすぎたりするのも注意が必要です。

クライアントとより強い信頼関係を築くことで、クライアントの安心感もより強まります。信頼できる相手だからこそ、心を開いて自分の悩みや問題を話そうという気持ちになるものです。

上手にクライアントと信頼関係を築くためにも、基本姿勢を大切にマナーを守ることは重要といえます。

心理カウンセラー資格に年齢制限はある?

下限はあるが上限はない

心理カウンセラー資格には大学や認定スクール等で所定のカリキュラムを受けている必要があったり、実務経験が必要なもの、同じ協会が認定する下位資格を取得している必要があるものなどがあります。

しかし、受験する年齢の上限によって制限をかけている資格はありません。
資格によっては「16歳以上」や「成人以上」など下限のある資格はありますので注意しましょう。

40代からでも目指しやすいカウンセラー資格

ここでは、40代からカウンセラーを目指す人が、初めて心理学を学ぶのに適したカウンセラーの資格をご紹介します。

メンタルケア心理士®

メンタルケア心理士®は「メンタルケア学術学会」「一般財団法人生涯学習開発財団」「一般財団法人ヘルスケア産業推進財団」という3つの団体からのトリプル認定が受けられる公的学会認定資格です。

中学生レベルの「こころ検定®4級」から段階的に学ぶことができ、「こころ検定®2級」の取得「メンタルケア心理士®講座」を修了することでメンタルケア心理士®の資格を取得することができます。

メンタル心理カウンセラー

メンタル心理カウンセラーとは一般財団法人 日本能力開発推進協会が認定する心理カウンセラー資格です。

指定の通信講座を修了し、在宅試験に合格することで資格を取得できる心理カウンセラーの入門資格です。心理カウンセラーについて知識・スキルがない方でも目指しやすい資格といえるでしょう。

産業カウンセラー

産業カウンセラーとは、働く人(個人)と職場(組織)を支援する存在であり、そのための知識・技術をそなえていることを証明できる民間資格です。
働く人が心身ともに健康を維持しそれぞれの個性と役割が十分に発揮されるように、従業員へのカウンセリングや職場のメンタルヘルス対策など、個人と組織の双方に働きかけて支援していきます。

社会人として働いていた方であれば職場で働く人のストレスなども理解しやすいため、おすすめの資格だと言えます。

成人(試験日に満20歳)かつ産業カウンセラー養成講座を修了した方が、資格試験に合格することで資格を取得できます。

心理カウンセラーの平均年齢は?

医療福祉分野で働くカウンセラーの平均年齢

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、臨床心理士など医療福祉分野で働く心理カウンセラーの平均年齢は37.7歳です。

医療従事者全体の平均年齢は49.9歳、介護士の平均年齢は40.7歳ですので医療福祉分野のカウンセラーは現場でも若いほうになります。

医療福祉分野以外で働くカウンセラーの平均年齢

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、スクールカウンセラーやキャリアカウンセラーなど、医療福祉分野以外で働く心理カウンセラーの平均年齢は43.3歳です。

こちらのほうが働きながら心理学を学んだり、セカンドライフでカウンセラーを目指す方が多いため、医療福祉分野よりも少し年齢層が高いようです。

40代から心理カウンセラーになるメリット・デメリット

大学やスクールなどを出て若いうちにカウンセラーになる人も大勢います。その方が早く経験を積めるので有利だと考える方もいるでしょう。

しかし、30~40代など、一度社会人を経験してからカウンセラーになるメリットもあります。
ここでは、40代から心理カウンセラーになるメリット・デメリットをご紹介します。

40代から心理カウンセラーになるメリット

共感できる経験が多い

若い人よりも人生経験が多いというのは、心理カウンセラーをする上で一つのメリットになります。

就職・転職の悩みや職場での悩み、結婚生活の悩み、親の介護や自分の病気など、経験してきたことが多いほど、多種多様なクライアントの悩みにも共感する部分が多くなり、親身になって相談に乗りやすくなります。

安心感がある

クライアントからしても、人生経験豊富なミドル・シニアの方に相談する方が「わかってくれそう」「よい助言をくれそう」といった安心感があります。

とくに年齢の高い方のなかには、自分より若い人に相談をすることに抵抗がある方もいますので、そういった方には年齢の高いカウンセラーのほうが人気があります。

40代から心理カウンセラーになるデメリット

考え方を時代に合わせて更新しなくてはならない

カウンセラーは若い人からお年寄りまで様々な人にカウンセリングをします。そのため、自分の先入観や固定概念、価値基準は置いておいて、相手の基準に合わせてカウンセリングを行う必要があります。

しかし、人生経験を積んできた40~50代の方の場合、自分の中での常識が固定化してしまい、なかなか相手に合わせるのが難しくなってきます。

例えば「子どもがいるのに、離婚は良くない」「会社をすぐに辞めてはいけない」などの考えを持って若い世代相手にカウンセリングをしても、反発され信用を得ることは難しいでしょう。

カウンセラーとしての接し方を覚えなくてはならない

カウンセラーがクライアントの悩みを聞く手法は、一般の人が友達や家族の悩みを聞くのとは少し異なります。
ときに自分が話すことよりも、心理学に基づいたテクニックを駆使した「聴く技術」の方が重要であることもあります。

しかし、長年生活してきた中で定着した聴き方を変えることは簡単ではありません。なまじ経験があるだけに、つい積極的にアドバイスしたくなってしまいます。

日常の自分とカウンセラーとしての自分を切り離してカウンセリングができるようになると仕事もしやすくなるでしょう。

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