就職活動が「就活」と呼ばれるように、恋愛活動は「恋活」、結婚活動は「婚活」と呼ばれるようになりました。「婚活」という言葉は、すでに2008年に流行語大賞にノミネートされています。それから、ぽつぽつと恋活、婚活をサポートするサービスが出始め、現在ではアプリなども急増するようになりました。
恋活や婚活を目的としたアプリが急増するのは、それだけ需要があるからとも考えられますね。今回は、マッチングアプリにハマる人が増える背景について考えていきます。
実際に会えない今だからこそ、登録者数がうなぎのぼり!?
マッチングアプリとは「出会いを求める男女を結びつけるアプリ(インターネットサービス)」を指します。ユーザーが好みの異性に「いいね」を送り、その相手が「いいね」を送り返すとマッチングが成立し、メッセージのやりとりができるようになります。そこから盛り上がれば実際に会うことも可能です。
学生時代は、学校、サークル(部活)、アルバイトなど、出会いはそこそこありますが、社会人になってからは自分から積極的に行動しないとめっきり出会いの場は減りますよね。
気づいたら、職場と家との往復・・・なんて方も多いのではないでしょうか。
出会いを見つけようにも仕事は忙しいし、休日は寝ているだけなんて方もいるかもしれませんね。
そんな人たちにとって、今あふれている婚活や恋活を目的としたマッチングアプリは、スキマ時間を使って自分の好みに合った恋人や結婚相手を探せるので、合コンや街コンなどより効率的に思えるのかもしれません。また、顔写真やプロフィールなどで、雰囲気を知ることができるので、会う前からある程度のミスマッチも防ぐことができます。
昨今、ますます登録者数は増えているようです。テレワークで一日中家にこもりっぱなしになり、寂しくなって恋人が欲しくなるという人も増えているのかもしれません。
マッチングアプリに既婚者が登録するワケは?
マッチングアプリなどの恋活、婚活サービスは、常識的に考えれば、独身で恋人のいない人が登録するものですよね。
しかし、その一方で既婚者の登録者も少なくないそうです。もちろん最初から浮気や遊び目的で登録する場合もあるでしょう。
でも、それとは少し異なる理由で登録する人もいるようです。なぜ既婚者が登録するのか例を挙げて考えてみましょう。
〇メッセージのやりとりが癒やしに~会社員A郎さんの場合
A郎さんは、40歳の会社員です。妻と幼稚園に入ったばかりの子どもが一人います。少し前にA郎さんは課長になりました。もちろん責任のあるポストを任されたことで充実感はあったのですが、その分、以前よりプレッシャーを感じることが多くなりました。また、家に帰れば、育児や家事の手伝いに追われ、心から安らぐことはできませんでした。
そんな時に、独身の部下からマッチングアプリのことを聞き、興味を持ったので、軽い気持ちで登録してみました。この時は「出会いたい」という気持ちというよりも、誰かとメッセージをやりとりして安らぎを得たいという気持ちがありました。
知り合いが見ているといけないので、顔写真は載せず、後ろ姿の写真だけを掲載しました。もちろん、既婚者だということは伏せ、自己紹介文にも嘘を織り交ぜて登録してみました。本名で登録しなくて良いのも好都合でした。しばらくしてマッチングが成立し、女性とのやりとりが始まりました。自分がどこの誰かも知られずに、気軽に異性と話せるのでA郎さんは次第にメッセージのやりとりにのめりこんでいきました。
面と向かっては言えないことも、メッセージでなら言うことができます。自分の地位や肩書きに縛られることなくやりとりができるので、日頃溜まっているストレスも解消されやすくなりました。文面でのやりとりは直接やりとりするよりも自己開示しやすいと言われています。
ところが、次第にメッセージのやりとりだけでは満足できなくなっていきます。プロフィール内容を見栄えがよくなるように再び変更しました。このように、実際以上に自分をよく見せようとすることを自己呈示と言います。
そうすると、確率は低いもののやりとりを重ね、実際に若い女性と会って食事をすることができるようになりました。
このように、マッチングアプリにハマるのは、独身の人だけでなく、30代以降の既婚者にも多いと言われています。
たとえ、仕事や家庭が順風満帆であっても、普段の仮面を脱ぎ捨てたいという願望がどこかに隠れているのかもしれません。マッチングアプリは、匿名性があるので、自分の肩書きから解放され、またストレスも吐き出せる最良のツールなのです。
なぜマッチングアプリが流行るのか?
人気のあるマッチングアプリでは、会員数が10万人以上にものぼるそうです。 なぜ、これほどまでにマッチングアプリは流行るのでしょうか? それは、「簡単に出会うことができるから」だと考えられます。
実際、18歳~29歳の女性を対象にしたアンケート(※)では、「現在の恋人とどこで知り合いましたか?」という質問に対して、1位の「バイト先や学校・勤務先(56.6%)」に続き、2位が「マッチングアプリ(16.6%)」となっています。
※2020年2月10日~2月14日/ノンノLINE会員にアンケート実施。 18歳~20代の女性809人(大学生50.3%、会社員35.2% その他14.5%)が回答
「友達がやっているから」「友達の紹介で」とマッチングアプリを始めた人も多いようです。 こういった友達からの口コミで登録者数が増えているということも考えられます。
昔の「出会い系サイト」というと、いかがわしいイメージを持つ人も多くいましたが、様々なSNSが飛び交う今、マッチングアプリは多くの人に受け入れられるようになったのかもしれませんね。
自分を知らない人とのやりとりが心地良い?
登録者の中には、実際に会って恋人や結婚相手を見つけたいという人がもちろん多いとは思いますが、昨今、メッセージのやりとりだけ(疑似恋愛を含んだ)を目的としている人も少ないのではないでしょうか。
恋人のように直接会うわけでもなければ、身を寄せ合うこともないけれど、メッセージのやりとりを通じて、疑似恋愛を楽しむ。「そんなの何が楽しいの?」と思う人もいるかもしれませんが、「煩わしくない関係が心地よい」と思う若い男女は増えていると言われています。
メッセージのやりとりだけであれば、自分が面倒になったり、嫌いになったりしたらすぐに関係を断ち切れるからです。
昔、たまごっちなどの育成ゲームが流行りましたが、このゲームでは、自分の思い通りにペットが育たなければ、簡単にリセットしてやり直すことができました。マッチングアプリでもゲーム感覚で自分の好きな相手を選び、メッセージを送れ、イヤになったらすぐに関係を切ることができます。現代でもこのペット育成ゲームと同じく恋愛のリセット化が起こっているのです。
メッセージのやりとりで築かれる人間関係は、コミュニケーションを取ることの心理的コストが低いと言われています。そのため、恋愛にも発展させやすくなるのです。通常は人と直接出会い、関係を築いていくものを、すべて文面を使ったやりとりとなるので、親密度は増しやすくなります。その特性が、恋愛状態をつくりだしやすいとも考えられます。
また、実際に会ってうまくいったとしても、「また次がいる」という思いから関係が長続きしないことも少なくないそうです。簡単に誰とでもつながれる分、実際の関係が希薄になっているのかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、マッチングアプリにハマる人が増える背景についてご紹介してきました。
簡単に出会えるマッチングアプリですが、一度ハマるとやめられない中毒性もあると言われています。実際に、「なかなか出会えないと飽きたり疲れたりしてやめるけど、数日すると寂しくなってまた始めてしまう」、「多くの異性に『いいね』されると、承認欲求が満たされるのでやめにくい」、「すぐに異性とつながれるため、自分がモテているように感じハマってしまう」などの声が上がっています。
利用する場合は、リスクを考えながら、あまりのめりこみすぎず、適度な距離感を保ったほうがよさそうですね。
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【参考書籍・参考サイト】
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