~集団が持つこわさ~集団思考とは?

集団思考コラム
コラム

昔、「赤信号、みんなで渡ればこわくない」という言葉が流行りましたが、このように集団になると陥ってしまいがちな心理行動のうち集団思考(集団浅慮)と呼ばれるものがあります。

今回は、この集団思考についてご紹介します。

「集団思考」とは?

集団思考とは、集団が何らかの意思決定を下す時、集団の強い結束力がマイナスの方向に働き、個人で結論を出す場合よりも、間違った結論が出やすくなることを言います。

「三人寄れば文殊の知恵」という言葉があるように、何人かで知恵を集めた方が個人で物事を考えるよりも良いアイデアが出そうなイメージがありますが、実際はそうとも限りません。
集団のメンバーが優秀な頭脳を持ち、団結力を持っているほど、この集団思考に陥りやすくなると言われています。オウム真理教事件などもこれにあたるかもしれませんね。

ジャニスの研究と「不敗幻想」

集団の中では反対意見は言いづらい

アメリカの心理学者であるジャニスは、集団思考の研究を進めた結果、集団思考の中で一番大きく働く力を不敗幻想と呼びました。これは、自分が属している集団に力があって、一人ひとりが必死に働いている。だから、自分が属している集団はどんなことがあっても乗り越えていくことができるという幻想のことです。

このような不敗幻想が集団を支配すると、全員一致であることが原則となるので、反対意見は口に出しづらくなります。そうなると、問題が発生したときには対応が遅れますし、良い案が出たとしても、それが少数派であれば否定されるので、有効な対策を見いだしづらくなります。

集団思考が行きすぎると…

攻撃的になってしまう!?

集団思考が行きすぎた場合、集団暴行やリンチ事件などが起こる可能性があります。では、なぜこんな行動が起こってしまうのでしょうか。

これは、日頃の欲求不満が原因だと考えられています。人は、欲求不満が積み重なると、そのはけ口を求め、攻撃的になります。その結果、時にスケープゴートが起こることもあります。

集団心理~スケープゴートとは?
古代ユダヤ教では、贖罪 しょくざい のために人々がヤギ(ゴート)を生け贄にしていました。このことから、集団が自分たちの持つ欲求不満を解消するために、その中の一人を攻撃しようとする集団心理のことをスケープゴートと呼ぶようになりました。
集団の中で、一人ひとりがストレスや不満を抱えていると、フラストレーションが高まり、スケープゴートが起きやすくなります。

特に他人同士の集団は、一人ひとりの責任感が希薄になることが知られています。皆が同じ行動をしているのなら、その行動は間違ったことではないと思ってしまうのです。

これは、普遍感と呼ばれるもので、人間には、多くの人の価値観に従えば間違いないと思う心理が働くことも知られています。だからこそ、「赤信号、みんなで渡ればこわくない」という言葉も生まれたのかもしれませんね。

会議で納得のいく結論が出にくい!?

会社の会議で、長時間話しているのに結論が出ない・・・ということはありませんか?こういった時に多数決に頼ると、最善の策が出なくなる可能性があるので注意が必要です。

多数決で結論を出した場合、意見が過激な方向に向かいやすくなります。その結果、危険性が高くても大きな成果が出るような結論を出しがちになります。これをリスキーシフトと言います。

一方で、個人個人の責任感が希薄になるため、集団が消極的になり、何も結論が出なくなることもあります。これをコーシャスシフトと言います。

これらを防ぐために、会議では個人の意見をしっかり聞くようにする、また、反対意見が出ても排除しないという姿勢が必要になります。

会議中のヤジや拍手にも気をつけて!

会議において、もう一つ気をつけるべきなのが、バンドワゴン効果です。バンドワゴン効果とは、ある事柄(製品)に対して、多くの人がそれを支持している場合、それらへの支持がより一層高くなることを言います。

バンドワゴンは、パレードに登場する楽隊車のこと。華やかな演奏が人々を盛り立てるように、会議でも、たとえ賛成意見が出なくても、ヤジや拍手などの同調が生まれることで、バンドワゴンの役割を果たします。そうなると反対意見が言いづらくなることはもちろん、そのお祭りムードで、安易に結論が出されてしまう危険性もあります。

もしかしたら、国会中継などで、そんな場面を観たことがあるかもしれませんね。 もし会議がバンドワゴン効果によって騒がしくなってしまったら、一度休憩を入れて、場を落ち着かせるのが良いでしょう。


今回は、集団思考についてご紹介しました。集団思考の危険性について理解した上で、会議などでは、自由に意見を言い合える雰囲気づくりができると良いですね。

今回ご紹介した集団心理は、社会心理学にあたるものです。一口に心理学と言っても、様々な分野があるので、もし今回のコラムを読んで興味を持った方は、自分がどんな勉強をしたいのか改めて考えてみると良いかもしれませんね。

【関連記事】心理学にはいくつか種類がある!?

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【参考書籍】
渋谷昌三『よくわかる心理学』西東社 1999 P173
渋谷昌三『図解 すぐに使える!心理学』PHP研究所 2013 P74~75
渋谷昌三『決定版 面白いほどよくわかる!心理学』西東社 2017 P150~151
『バンドワゴン効果とは』
『コトバンク 集団思考』

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