電話カウンセリングとは、文字通り電話を使用したカウンセリングのことで、「非対面式」で相談をします。
ここでは、電話カウンセリングならではの難しさややりがい、電話カウンセラーになる方法や役立つ資格について解説します。
電話カウンセリングとは?
インターネットで「カウンセリング」と検索すると、幾らか「電話カウンセリング」がでてきますが、近頃は多くの心理カウンセラーが所属する電話相談サイトがたくさん存在します。それだけ世の中のカウンセリングに対する需要が増している証拠と言えるでしょう。
ひと昔前まで、カウンセリングといえば「精神疾患を抱えていたり、何らかの心の病を抱えた人が使うもの」という固定概念をもった人も少なくなかったのが実際ですが、最近では気軽に電話カウンセリングを受ける人も増えてきて、カウンセリングに対する垣根も低くなってきているようです。
各自治体が自殺防止のために設けている電話センターや、「いのちの電話」のように無料で相談を受けるところもあるようですが、多くの電話カウンセリングはほぼ有料となっているようです。中には「最初の10分のみお試しで話せます」「初回のみ無料で話せます」など、気軽に電話カウンセリングを試せるようなサービスを提供している団体もあるようです。
私自身も心理カウンセラーとして活動する中で、個人で有料の電話カウンセリングをおこなっています。では電話カウンセリングでは一体どんなことをするのでしょうか?また電話カウンセリングのメリット・デメリットについてもお話しをしたいと思います。
電話カウンセリングの仕事内容
電話カウンセリングでは、クライアントから事前にインターネット等で予約をしてもらい、当日、予約の時間にカウンセラーから電話をかけるのが一般的です。
仕事内容は対面のカウンセリングと同様で、主にクライアントの悩みや相談を傾聴し、現在の環境や状況を聴き出しながら、問題や悩みの根源を分析しアドバイスをおこないます。
最近では電話の他に、ZOOMなどを使った非接触型の対面カウンセリングも普及してきています。
電話カウンセリングの難しさ
時間が決められている
有料でおこなっている電話カウンセリングの多くは、無制限に話しができるのではなく時間が決められています。多くの電話カウンセリングは1回50分で4,500円ほどが相場です。
その限られた時間の中で、ある程度建設的なカウンセリングを行わなければクライアントの満足を得られませんので、決められた時間内で臨機応変にカウンセリングを組み立てられるスキルが必要になります。
相槌のタイミングが難しい
お互いの「顔」が見えないので、相槌のタイミングが難しかったり、クライアントと話すタイミングが被ってしまうこともあるでしょう。不自然な間が空いてしまうこともしばしば起こります。またジェスチャーもできないため、何かを伝えたいときに言葉だけで伝える難しさを感じることもあります。
しかし、これらは臨床経験を積むことによって次第に解消されていきます。自分なりに感覚やコツを掴んでいくことが大切です。
実際のクライアント像を把握しづらい
対面でおこなうカウンセリングとは違い、クライアントの顔はもちろん、表情や動作も見ることができません。電話カウンセリングで唯一、心理分析の判断材料とできるものといえばクライアントの「声」があります。
声のトーンや話し方の速度でクライアントの心理状態や性格を分析することができるのです。
しかし声だけでは判断が難しい場面もあるので、やはり電話カウンセリングは心理分析をする際の情報量がとても少ないと言えるでしょう。
例えば私が経験した一つの事例ですが、電話カウンセリングで
「私はとても社交的で自分のことが大好きです!」
とハキハキとおっしゃるクライアントさんがいらっしゃいました。
何度か電話カウンセリングでお話しした後に、初めて対面のカウンセリングを受けにいらっしゃったのですが、いざ実際にお会いしてみるととても言葉数も少なく、過度に緊張された動作や自信のなさが読み取れる仕草が目につきました。
電話カウンセリングの印象と対面で実際にお会いした印象とは全く違うものでしたので、「電話カウンセリングでは顔が見えない分、自分を良く見せようとしたり偽ったりすることも可能なのかもしれない」と感じました。
電話カウンセリングのやりがい
クライアントの姿が見えない分、電話カウンセリングは難しさを感じることも少なからずありますが、それでも
「話しを聴いてもらえてとても楽になった」
「明日からまた頑張ろうと思えた」
「緊張しやすい性格なので対面でお会いするよりも電話カウンセリングの方が素直に気楽に話すことができる」
などといったご感想をいただくと、やはり電話カウンセリングもやっていて良かったと感じます。
また電話カウンセリングのメリットといえば、「日本全国どこからでも電話を受けることができる」ということです。
例えば対面カウンセリングをおこなう場所を、北海道に設けていたとします。そこに沖縄県在住のクライアントが毎週対面カウンセリングを受けにくるのは物理的になかなか難しいですよね。
しかし電話カウンセリングは、クライアントがどこに住んでようとあまり関係ありません。電話一本で日本全国だけではなく、海外在住の人のカウンセリングをおこなうことも可能です。 その点で電話カウンセリングは、全国にクライアントをもつことができるので、より沢山の人とより多くのお話しができるメリットがあると言えるでしょう。
電話カウンセラーになるには?
電話カウンセラー登録会社に登録する
電話カウンセリングサービスを行っている企業に登録してカウンセラーとして活動することができます。
企業にもよりますが公認心理士や認証心理士などの公的資格が必要ない場合が多く、民間スクールでカウンセリングを学んだ人でも電話カウンセラーとして働くことができます。
報酬は1件ごとの出来高制です。
電話相談員として活動する
求人数は少ないですが、ハローワークが募集している電話相談員として活動する方法もあります。
電話相談員は一人暮らしの高齢者宅に電話をし、安否確認や生活するうえで困っていることなどの悩み・相談を聴く業務です。
公認心理士、臨床心理士資格を必須としてない場合も多いので、敷居は低いと言えるでしょう。
ボランティアで活動する
「いのちの電話」など、ボランティアとして無償で電話カウンセラーとして活動する方もいます。分け隔てなく悩みを持つ人を救いたいという方におすすめです。
ただし、すぐにできるわけではなく研修が必要な団体もあります。例えば「いのちの電話」の場合、研修費用5~6万円で、1年間(トータル約100時間)の研修を受ける必要があります。
個人で活動する
電話カウンセラーとして開業し、個人で活動する方もいます。基本的には電話さえあれば開業できるので、主婦の方や他に本業を持っている方でも始めやすいというメリットがあります。
また、全国どこに住んでいるクライアントでもカウンセリングできるのが電話カウンセリングの強みです。ホームページやブログ等でうまく集客できれば個人でも安定した収入になるでしょう。
電話カウンセラーに役立つ資格
電話カウンセラーになるために必ずしも資格が必要ではありません。ただ、正しいカウンセリングを行うためには心理学やカウンセリングスキルを体系的に学ぶ必要があります。
特に電話カウンセリングではクライアントの表情やしぐさから気持ちを読み取ることができないので、対面でのカウンセリングよりも難しく、よりスキルが必要になります。
そのため、電話カウンセリングサービスを行っている登録会社によっては、民間資格でもいいのでカウンセラーの資格を持っていないと登録できなかったり、「実務経験〇〇時間以上の方」といった条件を設けている会社もあります。
ここでは、これから電話カウンセラーを目指す人におすすめなカウンセラー資格をご紹介します。
公認心理士・臨床心理士
心理カウンセラーの代表的な資格と言えば公認心理士と臨床心理士ですね。
公認心理士は国家資格ですがまだ出来て日が浅く、これまで心理資格のトップだった臨床心理士の資格も公認心理士と同等に扱われています。社会的に信頼性の高い資格ですので、これらを取得しているとクライアントも安心してカウンセリングを依頼できるでしょう。
ただし、取得するには大学で心理学を学んだ後、大学院に進むか実務経験を経る必要があり、とても敷居が高い資格です。
メンタル心理カウンセラー
メンタル心理カウンセラーは、日本能力開発推進公開(JDAP)の認定する資格です。
医療・福祉・教育・産業界など、幅広い業界で通用するカウンセリング能力を身につけることができるので、不特定多数のクライアントをカウンセリングする電話カウンセラーにはぴったりの資格です。
メンタル心理カウンセラーは指定の通信講座を修了し、在宅試験に合格することで資格を取得できます。心理学初心者の方、心理カウンセラーについて知識・スキルがない方でも目指しやすい資格といえるでしょう。
メンタルケア心理士®
メンタルケア心理士®は「メンタルケア学術学会」「一般財団法人生涯学習開発財団」「一般財団法人ヘルスケア産業推進財団」という3つの団体からのトリプル認定が受けられる公的学会認定資格です。
「医療・福祉・教育・産業・公共サービス等での相談援助および心理カウンセリングで求められる基礎知識・技能を有す」ことを証明でき、メンタル心理カウンセラー同様、幅広い業界で通用するカウンセリング能力を身につけることができます。
取得するにはこころ検定2級を取得後、申請が必要です。こころ検定は4級から段階的に受験することもできますので、心理学初心者の方でも安心してチャレンジできます
近年はSNSでのカウンセリングも普及
コミュニケーションのツールは電話やメールからSNSへ
近年、若年層を中心にコミュニケーションのツールは電話やメールからSNSへ移行しつつあります。特に、コロナウイルスの拡大以降、オンラインでのコミュニケーションが加速。
2022年末現在のSNSの普及率は83%と推計されています。(ICT総研調べ)
SNSカウンセリングのニーズが高まっている
その影響を受け、最近では電話カウンセリングよりもより気軽にカウンセリングを受けられる「SNSカウンセリング」のニーズが高まっています。
SNSカウンセリングでは、主にLINEなどのツールを使って、テキストのやり取りでカウンセリングをします。
若年層の方でもカウンセリングを受けやすい、電話よりも抵抗感がないなどのメリットがあります。
SNSカウンセラーの資格について
SNSカウンセリングのスキルを証明する制度として、一般財団法人 全国SNSカウンセリング協議会が「SNSカウンセラー認定登録制度」を実施しています。
登録認定は、所定の心理資格を取得したうえで講座を受講することで取得することができます。
講座に興味のある方は下記から詳細をご確認ください。無料で資料請求もできます。
SNSカウンセラーについては、下記の記事で詳しく説明していますので参考にしてください。